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第二章 二度目の異世界
29.護る
しおりを挟むユリウスside
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「俺は本当に身勝手だな………」
シュウとまた離れたくない、俺の手元にずっと居てほしい、俺だけを見て、俺だけを愛してほしい……
そう思ったらシュウの気持ちを考えずに身勝手な愛を押しつけてしまった。
「殿下、自分で気づけたことは凄いことです。だからシューヤ様にちゃんと謝罪されて今後についてしっかり話し合ってください」
そう言ってオーウェンは微笑んだ。
俺は小さく頷き、膝の上に置いた両手を握りしめた。
「………刻印については、シュウを怯えさせたくなかったんだ」
「妊娠が出来ることについてですか?」
「それもあるが…………まだもう一つ、シュウに相談無しに刻印を付けた理由がある」
「どういうことですか?」
「…………ディルバルドがシュウに興味を持ったからだ」
「! そんな、まさか! もしかしてこれから手を出してくる可能性があるというわけですか!?」
「そうだ」
「一体どうして! ディルバルド様は失礼ながら、シューヤ様と同じ人間を見下しています。ですので、興味を持たれないはずですっ」
オーウェンは肩で息をし興奮した様子で叫んだ。
「ああ……だが、状況が違う。あいつは……俺の大切にしているものを奪いたがるだろ」
「っ! まさか……」
俺はコクリと頷いた。
「昨日父上の執務室でのことを思い出せ」
「……………殿下が、シューヤ様を大切に抱きしめていたのを見たからですか?」
「あの時のあいつの目は今でも殺したいと思うよ。あれはオモチャを見つけた時の目だ、そしてシュウに邪な考えをもったはずだ」
そうだ。あいつは昔から俺に対抗心剥き出しだった。そして俺の周りにある物や人を欲しがり、そして飽きたらあっさり壊して殺しての繰り返し。
もちろん父上も知っているが、王妃が上手く処理をして証拠が掴めていない。いつか絶対に尻尾を掴んでやると思っていたが……
「オーウェン、お前もしつこく自分の元に来いと言っていただろう」
「はい。あれはそういう意味だったのですね」
まぁ、それだけじゃないが。
オーウェンの剣の腕は父親の騎士団長
に次いでのNo.2だ。それを従えていることで、自分の権威を周りに知らしめたいのだろう。オーウェンはほっといても大丈夫だが……
「シュウに手を出すなら手段は選んでられなかった。そして何よりシュウを怖がらせたくなかったんだ……だから」
「殿下……もしかして」
オーウェンは気づいたのだろう。刻印のもう一つの秘密に
「あの刻印は俺が改良したものだ。邪な気持ちや無理やりシュウに触れることは出来ない。無理に触れようすれば加護が発動する」
俺はずっと15年前のあの日の事が忘れられない。頭にこべり付いて離れない呪詛に侵食されるシュウの姿を、守れなかった自分の未熟さをまた繰り返さないように。
今度こそシュウを護るために———
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BL大賞お疲れ様でした。
投票してくださった方々、本当にありがとうございました。
結果はどうあれ、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
次回、秋也視点に戻ります。
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