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第二章 二度目の異世界
28.身勝手
しおりを挟むユリウスside
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『………ごめん。今日はユリウスと一緒に居たくない』
コンコン。ガチャ……
「失礼します。殿下、先程……うわあっ!」
オーウェンが何かを持って俺の執務室に入ってきた。
「殿下! どうされたのですか。そんな部屋の端っこに座り込んで」
「………」
「無視ですか……てかそれ何です?」
「……………服だ」
「いや、それは見たらわかりますよ。俺が聞いてるのは、なんで服を頭からかぶってるんですかって事です」
俺が今、服を頭からかぶっている。
「…………シュウの匂いを嗅いでないと死ぬ」
そうだ、これはシュウの服だ。
「うえっ!?殿下………それは流石に引きます」
オーウェンが一歩後ろに下がった。
おい、本当に引くなよ!
「シューヤ様と喧嘩でもされたのですか?」
オーウェンが俺の側まで近寄った。
「………なんでそう思う?」
「そりゃわかりますよ。隙あればシューヤ様を抱きしめて、仕事サボろうとしてるのに今日は朝からここに居る時点で何かあったか一目瞭然です」
「そうか……」
「とりあえず、座りましょう」
俺はオーウェンに促されてソファに座った。
「服はかぶったままなんですね……」
◇
「まずはこちらをお召し上がりください」
そう言ってオーウェンが持っていたものをテーブルに置いた。
「これは……」
おにぎりだった。
「っ……」
「ここに来る前、殿下のお部屋に伺った時にシューヤ様から手渡されました。朝ごはん、まだ召し上がってなかったのですね」
「………」
「あ、部屋に伺ったのはいつもギリギリまで寝てる殿下が悪いからですよ」
そう言ってオーウェンは緑茶も用意して一緒に置いた。おにぎりと緑茶はシュウの故郷のものだ。
「………いただきます」
俺はシュウが作ってくれたおにぎりを食べた。
「美味しい……」
「よかったですね。それでシューヤ様とどうして喧嘩をされたのですか?」
「別に喧嘩した訳じゃないんだ、ただ俺が———」
俺は今朝のことをオーウェンに話した。
「———というわけなんだ」
最後まで口を挟まず聞いてくれたオーウェンは口を開いた。
「成程……殿下、正直に申し上げます」
オーウェンは真っ直ぐ俺を見据えて言った。
「殿下、貴方は身勝手すぎます。 俺はシューヤ様に全て話されていると思ってました。その上でシューヤ様は受け入れて殿下と一緒に居られるのだとずっと思ってました」
「………」
「しかし、昨日陛下のお話を聞いて、シューヤ様のあの反応を見て違うんだと知りました」
「あぁ……それについてはほんと悪いことをしたと思ってる」
「そうですね。特に刻印や妊娠が出来ることについては、まずお二人で相談して決めるべきだったと俺は思います」
「ああ……」
俺は本当に自分勝手で身勝手なことをしたんだと、後悔した。
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本日でBL大賞最終日ですね。
あっという間で、中盤中々更新出来ずに申し訳ございませんでした。
投票してくださった方々、本当にありがとうございます。
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次回もユリウス視点です。
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