【第二章開幕】男子大学生は二度召喚される

皇める

文字の大きさ
上 下
20 / 33
第二章 二度目の異世界

18.熱

しおりを挟む

遅くなりました。
前話がイマイチだったので加筆してます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 結論から言うと、俺は熱を出した。


 ただでさえ寝不足続きで体調もボロボロだった所に、濃厚すぎる交じり合いをしたんだ。当然と言えば当然だ。

「ごほっ、はぁ~~怠い」

 俺はユリウスに絶対安静だ。と言われてベッドで大人しく寝ている。

「にしてもユリウスめっちゃ慌ててたなぁ」

 そう、俺が熱を出して倒れた時、ユリウスは顔を真っ青にして慌てふためいて、全裸のまま部屋を出て行こうとした時はさすがに焦った。



「しかし、すごい部屋」

 俺の部屋の何部屋分もある広さ。そして豪華だが品がって落ち着いた家具、絵画や調度品が置いてある。
 異世界漫画でよく見る貴族が住んでいるような豪華な部屋だ。

 あの時は確認する余裕がなかったから改めてこの部屋を見たとき腰を抜かした。

『ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆゆりうす! この部屋使って本当に大丈夫なのっ?』

『問題ない、ここは好きに使ってくれて構わない』

 と、言われた。

 ここには俺の知らないユリウスが居ると思うと少し寂しい気持ちになった。

「15年だもんなぁ」

 窓から見える空を見ながら感傷にふけっていると。

「——から、………には今あ……んだ」

 ドアの向こうからユリウスの声が聞こえる。

「ですが、…………の、………です」

 誰かと話してる?

「…………んだ。後にしてくれっ」

 ガチャっドアを開けて

「ユリウス様っ」

 パタンとドアを閉めてユリウスが入ってきた。

「ユリウス」

「! 起きてたんだ。体調はどう?」

 ユリウスが何かを乗せたトレイを持って近づいてくる。

「う、うん。だいぶラクになったよ。 それより誰かと話してたみたいだけど、よかったの?」

「問題ない。それよりお腹すいてないか?」

 ぐぅ~とお腹が代わりに返事をした。

「ふっ、今準備する」

 嬉しそうにユリウスは笑い、ベッドの側に椅子を持ってきて座った。

「え?これって……」

 持ってきてくれたのは、俺が初めてユリウスに食べさせた

「みかんゼリー……」

「そう、でもみかんはないから代用でオレッドを使ったゼリーだ。これもよくシュウが作ってくれたよな」

「なつかしい……」

 ユリウスが嬉しそうに俺をみてスプーンを持った。

「はい、あーん」

「え?いいよ、自分で食べれるから」

「いいから、あーん」

「……………あー」

 俺は観念して、パクッとユリウスに食べさせてもらった。

「美味しい」

「よかった」

 ユリウスが嬉しそうにジッと俺をみる。

「どうしたの?」

「いや、あの時と逆だなぁって思って」

(あの時……)

 俺は初めて異世界に来たときの事を思い出した。
 近くに居たユリウスが熱を出して倒れた。その時看病でみかんゼリーを出して、俺もこうやってユリウスに食べさせた。懐かしい、俺の大切な思い出だ。

「っ!」

 思い出して胸がキュッとした。

 また泣き出した俺をユリウスは、キスで涙をぬぐい、優しく抱きめた。

(あたたかい……)

 あの時は俺がユリウスを抱きしめた。
 小さくて弱々しいひとりぼっちの男の子が今じゃこんなにも逞しく立派に成長したんだ。

「シュウ……」

「うっ、ゔぅ…………ユリウスっ、俺ずっと会いたかった」

「あぁ、俺も会いたかったよ」

 ユリウスは俺の背中をぽんぽんっとし

「おかえり、シュウ」

「ふっ、ぐずん……ただいまぁ。ユリウス」


 俺はまた異世界に来れたんだ。それがたまらなく嬉しかった。





◇◆◇





「はい、熱いから気をつけて」

 ユリウスは俺にカップを渡してくれた。ふわりと懐かしい香りがした。

 ゼリーを食べ終わった後。俺はユリウスと話したいとお願いした。まだ本調子じゃない俺を気遣って、しんどくなったら言うように。と言われた。

「あ、花紅茶だ。懐かしい」

「シュウはそれ好きだったよね」

「うん」

 コクリと飲めば、懐かしい味が口いっぱいに広がった。

「おいしい……」

「よかった」

 俺はカップを手に持ったソーサーに置き、ユリウスと向き合った。

「それでね。ユリウス、話したいことなんだけど」

「あぁ」




「俺、どうやってまた異世界へ来れたの?」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ストックがないので、書いては上げての状態です。なので更新時間がまちまちになってます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...