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第二章 二度目の異世界
18.熱
しおりを挟む遅くなりました。
前話がイマイチだったので加筆してます。
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結論から言うと、俺は熱を出した。
ただでさえ寝不足続きで体調もボロボロだった所に、濃厚すぎる交じり合いをしたんだ。当然と言えば当然だ。
「ごほっ、はぁ~~怠い」
俺はユリウスに絶対安静だ。と言われてベッドで大人しく寝ている。
「にしてもユリウスめっちゃ慌ててたなぁ」
そう、俺が熱を出して倒れた時、ユリウスは顔を真っ青にして慌てふためいて、全裸のまま部屋を出て行こうとした時はさすがに焦った。
「しかし、すごい部屋」
俺の部屋の何部屋分もある広さ。そして豪華だが品がって落ち着いた家具、絵画や調度品が置いてある。
異世界漫画でよく見る貴族が住んでいるような豪華な部屋だ。
あの時は確認する余裕がなかったから改めてこの部屋を見たとき腰を抜かした。
『ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆゆりうす! この部屋使って本当に大丈夫なのっ?』
『問題ない、ここは好きに使ってくれて構わない』
と、言われた。
ここには俺の知らないユリウスが居ると思うと少し寂しい気持ちになった。
「15年だもんなぁ」
窓から見える空を見ながら感傷にふけっていると。
「——から、………には今あ……んだ」
ドアの向こうからユリウスの声が聞こえる。
「ですが、…………の、………です」
誰かと話してる?
「…………んだ。後にしてくれっ」
ガチャっドアを開けて
「ユリウス様っ」
パタンとドアを閉めてユリウスが入ってきた。
「ユリウス」
「! 起きてたんだ。体調はどう?」
ユリウスが何かを乗せたトレイを持って近づいてくる。
「う、うん。だいぶラクになったよ。 それより誰かと話してたみたいだけど、よかったの?」
「問題ない。それよりお腹すいてないか?」
ぐぅ~とお腹が代わりに返事をした。
「ふっ、今準備する」
嬉しそうにユリウスは笑い、ベッドの側に椅子を持ってきて座った。
「え?これって……」
持ってきてくれたのは、俺が初めてユリウスに食べさせた
「みかんゼリー……」
「そう、でもみかんはないから代用でオレッドを使ったゼリーだ。これもよくシュウが作ってくれたよな」
「なつかしい……」
ユリウスが嬉しそうに俺をみてスプーンを持った。
「はい、あーん」
「え?いいよ、自分で食べれるから」
「いいから、あーん」
「……………あー」
俺は観念して、パクッとユリウスに食べさせてもらった。
「美味しい」
「よかった」
ユリウスが嬉しそうにジッと俺をみる。
「どうしたの?」
「いや、あの時と逆だなぁって思って」
(あの時……)
俺は初めて異世界に来たときの事を思い出した。
近くに居たユリウスが熱を出して倒れた。その時看病でみかんゼリーを出して、俺もこうやってユリウスに食べさせた。懐かしい、俺の大切な思い出だ。
「っ!」
思い出して胸がキュッとした。
また泣き出した俺をユリウスは、キスで涙をぬぐい、優しく抱きめた。
(あたたかい……)
あの時は俺がユリウスを抱きしめた。
小さくて弱々しいひとりぼっちの男の子が今じゃこんなにも逞しく立派に成長したんだ。
「シュウ……」
「うっ、ゔぅ…………ユリウスっ、俺ずっと会いたかった」
「あぁ、俺も会いたかったよ」
ユリウスは俺の背中をぽんぽんっとし
「おかえり、シュウ」
「ふっ、ぐずん……ただいまぁ。ユリウス」
俺はまた異世界に来れたんだ。それがたまらなく嬉しかった。
◇◆◇
「はい、熱いから気をつけて」
ユリウスは俺にカップを渡してくれた。ふわりと懐かしい香りがした。
ゼリーを食べ終わった後。俺はユリウスと話したいとお願いした。まだ本調子じゃない俺を気遣って、しんどくなったら言うように。と言われた。
「あ、花紅茶だ。懐かしい」
「シュウはそれ好きだったよね」
「うん」
コクリと飲めば、懐かしい味が口いっぱいに広がった。
「おいしい……」
「よかった」
俺はカップを手に持ったソーサーに置き、ユリウスと向き合った。
「それでね。ユリウス、話したいことなんだけど」
「あぁ」
「俺、どうやってまた異世界へ来れたの?」
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ストックがないので、書いては上げての状態です。なので更新時間がまちまちになってます。
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