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第一章 一度目の異世界
10.嫉妬
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『やだやだっ!ぼくもいっしょにいく!!!!』
ユリウスが俺の脚にしがみつく。
『ごめんね、ユリウス。すぐに帰ってくるから孤児院のみんなと一緒にお留守番しててくれないかな?』
『やーだっ シュウといっしょがいい!はなれたくない!!!』
わあああああああんっと、泣き出してしまった。
『すみません、シスター』
『いえいえ、アトラが街に行く時も泣いていたけど、こんなに泣くユリウスは初めて見たわ。シューヤさんのこと大好きなのね』
今、俺とユリウスはシスターの居る孤児院に来ている。
〈ちょっとアンタ! シューヤはこれから街に行かないといけないの。だから大人しく待っていなさい〉
ユリウスがルルを見る。
『そんなのしらないっ』
ぷいっとそっぽを向いてさらにぎゃん泣きしだしたユリウスを俺は抱っこをして背中をポンポンとしながら
『ユリウス……俺はすぐに帰ってくるから、いい子で待ってて。ね、帰ったらユリウスの好きなものいっぱい作ってあげるから』
本当はユリウスをひとりにしたくない。
でもアトラさんはユリウスを絶対街には連れて行かなかったとシスターに聞いた。家の結界といい魔法石のあの量、そしてシスターと孤児院の子どもたち以外の人と関わらせない用心深さ。多分ユリウスを守っているというより隠してる。その答えがしっくりきた。
だからユリウスは街には連れて行かない。俺はこの子の保護者だ、絶対に守る。
『……ぐすん、ぜりー』
『ユリウスはほんとゼリーが大好きだね』
俺はくすっと笑いながらユリウスをぎゅーっと抱きしめた。
〈もういいかしら?行くわよ、シューヤ〉
『うん、行こうか。ユリウス いってきます』
ちゅっと、ユリウスのおでこにキスをした。
『!!!???』
〈わー真っ赤〉
からかうルル。
『う、うるさいっ! シュウはぼくのなの!!おまえなんかに絶対あげないんだからっ』
ん〝んんんんっっっ!!!!やばい、めちゃくちゃ可愛いっっ 萌え死ぬ。でも
『お前って言っちゃダメだよ。ユリウス』
『ごめんなさい……』
しゅんっと耳と尻尾を下げて反省するユリウス。すぐに謝れるのはこの子の良いところだ。
〈今度こそ行くわよ〉
ルルがゲートを開けて待っている。
『わかった。それじゃあ、いい子で待ってて』
『シュウ!』
ちゅっ
『え?』
『いってらっしゃい』
◇◆◇
「あれは可愛すぎるだろ……」
〈シューヤ、顔がニヤけてて気持ち悪い〉
「酷い!だってユリウスが俺の頬にキスをしたんだよ!!可愛いと言わずに何という!?」
〈はいはい、私には嫉妬丸出しに見えたわよ〉
嫉妬?それはルルに俺が取られると思ったからだよね?
〈あの子の手綱しっかり握っていなさいよ。下手すると将来とんでもない執着と束縛の塊になるわよ〉
「ちょっとルル~変なフラグ立てないでよ。ユリウスは将来良い子に育つよ!」
〈……〉
「ちょっと、なんか言ってよ!」
〈……その時が来たらわかるわ〉
ルルの言葉に納得出来ないまま、俺たちは次の場所に移動した。
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