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初恋編

20話 夜会での衝撃

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 その頃、エルミナール社交界では、いよいよカイル皇子が婚約間近であることが、まことしやかに囁かれていた。

 急に来国することとなったローゼン王国の王妃とフィオナ王女。
 この王女との婚約が濃厚ではないかと社交界はその噂で持ちきりだった。

 なぜなら王宮でカイル皇子とフィオナ王女が一緒に庭園を散歩していたとか、二人揃って王妃のお茶会に出ていたなどの目撃談が多くあり、あちこちの夜会やお茶会では、その話題が関心の的となっていた。

 そして、その二人の婚約が今夜行われる聖神祭のフィナーレで発表されると言う説が濃厚だった。

 一方、リゼルは家に無事に戻った後、別棟のアイラや怪我を負った従者の看病で忙しくしていた。
  社交界の誘いも控えていたため、カイル皇子の婚約が噂されていることなど、何一つ知らず、また事情を知っている母もリゼルには何も言わなかった。
 カイル皇子を慕っていた娘の初恋が破れ、悲しむ姿を見るのが辛かったのだ。


「アイラ、アイラ、どう?おかしくないかしら?」

 アイラは順調に回復し、簡単な着付けなどの仕事から体を慣らして仕事に復帰していた。

「ふふ、私のお嬢様はいつも極上の美しさにございますよ」

 そう言うとリゼルを上から下まで眺め、満足そうに頷いた。

「アイラに、言われてもねぇ…」

「ちゃんと心得ております。カイル皇子様にもリゼル様が一番美しく見えることでしょう」

 今宵は聖神祭のフィナーレを飾る日。
 宮殿では貴族のほとんどが出席し、盛大で煌びやかな夜会が執り行われる。

 いよいよ、今夜、カイル様に告白するのだ。
 リゼルはロマンティックな夜を思い描き胸をときめかせた。

 実は、リゼルは数日前からこの日の計画を練っていた。
 
 ーーーたぶん、カイル様は私をダンスに誘ってくれるはず。
 ダンスの後、少し疲れたふりをして外の空気にあたりたいと庭園に出よう。
 
 その時に告白するのよ…!
 
 ……だけど、もし、誰かに邪魔されたら?
 もし、庭園に人がいっぱいいたら?
 その時は、兄に頼んでカイル様をこっそり呼び出してもらおう。

 リゼルの頭の中は、告白の色々なシチュエーションを一人、あれやこれやと考え、期待と興奮に胸をざわめかせていた。

 だから今夜は、いつもの子供っぽい私ではなく、カイル様と釣り合う大人の女性にならなければ。
 せめて見た目だけでも。カイル様が私を欲してくださるようにーーー

 あでやかなドレスの整えが終わると、鏡の前に立つ。

 この日のために特別に作ってもらったドレス。
 濃い薔薇色のサテンの生地で、思い切って両肩を出してもらい、背中は腰の方まで深く括れてむき出しになっている。
 その代わり、黒髪をゆるいウェーブを出して巻き毛にして、長く垂らした。髪の毛が長いので、さほど背中が露わにならず、あまり淫らに見えない。ティアラはやめて、ドレスと同じ濃いピンクの小ぶりなバラを髪の毛にちりばめるように飾る。香りの濃厚なバラのため、香水をしなくても甘いバラの香りがほのかに漂う。

 胸は白い胸元が引き立つように宝石を何も付けなかった。
 その代わり、瞳と同じ色のエメラルドのイアリングをした。

 リゼルは、姿見すがたみに映る自分に満足した。
 いつもの自分ではない、少し大人びた女性がそこにいる。
 にこっと微笑むと、なんだか幼い気がしたので、口の端だけあげてみた。

 これでよし…。

 勝負服で決めたリゼルは、夜会に向かうべく階下に降りていった。

 階下に降りると、母と私のエスコートは兄だけで、父の公爵である宰相は、すでに王族の対応のため宮殿にいるという。兄は、私達をエスコートをするためにわざわざ宮殿を抜けてきてくれたらしい。

 階段を降りると兄と目があった。兄は、いつも服をわざと着崩しているが、正装をすると、ちゃんとした貴公子に見えるから不思議だ。

 でも兄は、私の姿をみるといきなり顔をしかめ毒づいた。

「リゼ、そのドレス、色々と出しすぎじゃないか?…背中も…そんなに開いて」

「いいの。私はもう、子供ではないんだから…!」兄はまるで、父のように着るものまで小言を言った。

「いや、そうじゃなくて…そんなドレスを着て男と踊ったりしたら、ブチ切れそうなやつが……」

 リゼルは、兄がもごもご言うのを無視して母のところに行った。

 リゼルの母は、オフショルダーの美しいブルーのドレスをまとい、母国から伝わるティアラを頭に乗せ、金色の髪の毛はゆったりとアップにまとめて公爵夫人としての気品が漂っていた。

「お母様、なんて素敵なの…!」

「うふふ、ありがとう。リゼルも…ちょっと背伸びしたようだけど、とても綺麗よ」

「…あの、お母様。カイル皇子も綺麗だと思ってくれるかしら…」

 兄に聞こえないように、母にそっと耳打ちした。

 公爵夫人は頬を染めるリゼルを見て、一瞬悲しそうな顔をしたが「リゼル、どんな殿方もあなたを見て美しいと思わずにはいられないわ…。さぁ行きましょう」そういうと、足早にリゼルをいざなった。

 馬車の中で、ランスロットは、ずっとため息をついていた。

「ランスロットお兄様、そんなため息ばかり…」

「ああ、今日は本当は夜会になど、出たくなかったんだ」

「お兄様も、もういい歳なんだから、美しい令嬢の一人でもお誘いしたら?いつもお仕事ばかりで」

「…リゼ、お前、今日…何があるか知ってるか?」

 ランスロットは心ここにあらずで、リゼルの言ったことは聞いてないらしい。

「え? 今日って、これから行く宮殿の夜会でしょう?実は、私…今夜をとても待ちわびていたの」
 
 リゼルは、夜会でのカイル皇子とのダンスが待ちきれなくて、目を輝かせていた。

 カイル様が差し伸べた手を取る時には、どんな気持ちがするのかしら?
 ふわふわと宙を舞っているような気持ちになるのかしら?
 うまくステップが踏めるかしら…
 すでに、夢見ごごちで馬車の窓から流れる街灯の光をぼうっと目で追っていた。
 
「…リゼル…今夜は各国から多くの王族の方が来国しているの。いわば、公式な社交の場よ。わが公爵家は、お父様が宰相をしているから、それだけでも注目を集めるわ。多くの王族や王子様方も来国しているから、ホスト国の公爵令嬢として、ダンスのお誘いには快く応じて、何が起こっても取り乱さずに、冷静に対処できる?」

 公爵夫人が、心配そうな眼差しでリゼルを覗き込んだ。
 
 ーそうだわ。まずは、父や母、兄の顔を潰さないように、公爵家の一員として、大人の女性の対応をしなければ…。リゼルは背筋をぴっと伸ばした。

「ええ、お母様。大丈夫よ」

 一人前のレディのような仕草で頷くと、兄をちらりと見る。
ランスロットは、馬車の窓の外を見たまま、ため息を深く吐くと眉をひそめた。

 宮殿の前の車寄せは、いくつもの馬車が立ち並び、その長い列を抜け、やっと馬車から降り立つと宮殿の階段を上る。すでに音楽が奏でられ、美しいシャンデリアの明かりが漏れて煌めいていた。

 『ダークフォール公爵夫人、ダークフォール侯爵ランスロット殿、ダークフォール公爵ご令嬢様、ご到着でございます』

 宮殿の大広間を2つ突き抜いて、いつもより2倍の広さの会場フロアには、所々に花が飾られ豪華な食事や飲み物などが提供されていた。フロアを行き交う艶やかなドレスを纏った貴婦人、シャンパンのグラスを掲げた給仕の者たちで、すでに会場はごった返していた。

 一段高い位置に皇帝陛下夫妻や皇子らの玉座があったが、まだ、お目見えしていない。

 リゼルたちが到着すると、あっという間に色々な人が挨拶に来て、母や兄は連れて行かれてしまった。
 
 リゼルは一人取り残されてしまい、近くに知っている令嬢がいないかあたりを探していると、声をかけてくる人物がいた。

「ああ、いたいた。やっと見つけた!」

 濃い栗色の髪、日に焼けた褐色の肌、金色の目をしたエキゾチックな背の高い見知らぬ男性がこちらを見て立っていた。

 …もしかして、この人、わたしに話しかけた?
 リゼルはいぶかるような眼差しを向けた。

「きみが、エルミナールの漆黒の宝石と言われるリゼル姫でしょう?」

「…あの、どちらさま、でしょうか?」

 大抵こういう場ではいきなり初対面で、若い男女が話したりしない。誰かに紹介されてから会話をしたり、ダンスをしたりするのが常識だ。

「ああ、ごめんね。やっと見つけて、嬉しくててつい。噂以上の美しさだね。私は西にあるモルドヴィン王国第一王子ルーファス・モルドヴィンと申します。どうぞ、お見知りおきを、美しい漆黒の姫」

 まぁ…王子さまだったのね。
 不審な男性ではないとわかり、ほっとする。王子様であれば、お話ししても咎められないだろう。

「こちらこそ、ご無礼をいたしました。私は、エルミナール帝国ダークフォール公爵の娘、リゼル・ダークフォールと申します。ようこそ、エルミナールへ」

 流れるように挨拶を述べると、ドレスの裾をつまんでかがみこんで、礼をとった。

「…っふ。今日はあまり深くお辞儀をしないほうがいいよ。こういうドレスを着慣れていないのかな?屈んだ時に、君の綺麗な胸元がこぼれて見えてしまいそうだよ」

 リゼルの手を掴んで自分に引き寄せると耳元で囁いた。

「・・・!!」

 なんてことをいうの!
 初対面の令嬢に向かって、なんて失礼な王子様なの!!
 普通はそんなこと思ったとしても本人には、言わないわ。

 リゼルはあまりに失礼な言動に、平手打ちしようかと思ったが、この方は我が国の高貴な賓客だ。

「・・・ご忠告、有り難うございます。では、私は、母のところに参ります」

 これ以上ないほど冷ややかな声でいうと、そのままクルッと向きを変えようとしたが、手と腰を捕まれてしまった。

「おっと、まった。逃げられては困るな。やっとみつけた宝石なのに」

 宮殿の大広間はごった返していて、誰もリゼルたちのやりとりに気がついていないようだ。
 助けを求めようと目を泳がすが、知っている顔が回りに一人もいなかった。

「あの。離してください。ルーファスさま」

「ふふ、名前で呼んでくれたね。私もリゼルって呼んでいいかな?可愛い名前だね」

 …なんて厚かましい王子様なのかしら!

「ダメです…」

「そう?じゃあ、許可を取るのはやめるね」

 どういう意味?
 リゼルは形の良い眉をきゅっとしかめた。

「ふふ、リゼル姫、実はずっとお慕いしていたんですよ。あなたのお噂をきいて」

 もしかして、この人、時間潰しに私をからかっているのでは・・・?
 リゼルは、早く母のところに戻りたいと思い、なんとか理由を探る。

「あの、本当に困ります…きっともうすぐ、皇帝陛下夫妻とカイル皇子様もお目見えになると思いますので、近くで母とご挨拶をしなくてはなりませんから…」

 今夜は、カイル様に告白するのだ。
 あまり男の人と二人きりで話しているのをカイル皇子に見られたくない。
 リゼルは皇帝陛下やカイル皇子の名を出して、早く切り上げようとした。

「ああ、そうか。お祝いの挨拶だね。カイルス皇子は今夜、婚約を発表するんだったね」

「え・・・・?」

 な、に・・・? この人は、今、なにを言ったの? 
 いきなりリゼルの目の前が真っ白になった。

「おっと、大丈夫?ちょっと混雑して空気が悪いよね。少し空いているところに行こう」

 ルーファス王子は、リゼルのむき出しの背中に手を添えて、空いているテラスの近くに誘った。
 リゼルは、今しがたこの王子から聞いた言葉が信じられず、頭が何かで弾かれたようにがんがんと鳴り響いた。

「あ、あのっ…!さきほどの話、本当…ですか?」

 お願い、何かの間違いでは…

 リゼルはルーファル王子の胸もとに手を置いて、蒼白な顔で見上げる。

 ルーファス王子はちょっと不思議そうな顔をしてじっとリゼルを見た。

「…知らなかったの? すでにエルミナールの社交界でもっぱらの噂らしいよ。それに来賓の僕たち他国の王族には、今夜、カイルス皇子が婚約発表すると伝えられている。ローゼン王国のフィオナ王女と」

「そ・・・んな、こと・・・!」

 ・・・屋敷を出るときに、母が私に言った『何があっても冷静に…』、兄の『今日は何があるか知ってるか』という言葉・・・。それらがリゼルの頭の中を駆け巡り、全てがここに来て符合した。

 その時、いきなり、盛大なファンファーレが鳴り響いた。
 会場中が広間の奥にある一段高くなった玉座に一斉に注目する。

 輝く王冠とビロードの煌びやかなマントを纏った皇帝と、金色の眩いドレスを纏った皇后陛下が現れた。

「各国の皆様、我が国の聖神祭にお集まりいただき心より礼を述べる。この聖神祭は、光の神に豊穣と平和を祀る祝いの祭です。皆様の国も平和で実りあることを祈ります」

 皇帝陛下が玉座に立ち威厳のある様子で、広間に集まる人々を見回した。

「また、今年の聖神祭は、めでたいお知らせがあります。我が息子、皇太子カイルスとローゼン王国第一王女フィオナ姫が、めでたく婚約することなった。若い二人をぜひ、各国の皆様も祝福してほしい」

 皇帝陛下が満面の笑みで述べると、広間中にどよめきと歓声が沸き上がった。

 さらにまたファンファーレがなると、二階の階段から、白と金色の縁飾りがある正装に身を包んだカイル皇子と、その隣には、薄紫色のオーガンジーの素材できた花びらのようなドレスを着て、長い金色の巻き毛を垂らした華奢な美少女が、カイル王子に手を添えられて階段をゆっくりと降りてきた。

 皇太子と婚約者の登場に、一段と会場から歓声が湧く。

 あまりの歓声にフィオナ王女が恥じらう仕草を見せると、カイル皇子が何事かを耳うちし、二人は見つめ合いながら微笑んだ。

 カイル皇子のこの上なく優しい笑顔がフィオナ王女に向けられる・・・

 リゼルは、たった今、皇帝陛下から聞いた言葉が信じられず、眼前の出来事をどこか他人事のように、茫然と見つめていた。

「・・・ゼルちゃん、リゼルちゃん!」

 ルーファス王子が震えるリゼルの肩をぎゅっと抱いて支える。

「大丈夫?真っ青で倒れそうだよ」

 リゼルは現実に引き戻され、ルーファス王子を見上げると、とたんに涙が目にたまり、唇が小刻みに震えた。 

 今、この場で、一言でも言葉を発すると、涙が溢れ泣き崩れてしまいそうになり、どんどん目に溜まった涙で目の前が滲んで、殆どなにも見ることができなくなっていた。

 このまま、私の心が凍りつき、胸が張り裂けてしまいそうだ…
 リゼルはそのまま、本当に凍りついてしまったかの様に動くことができなかった。

「…こっちへおいで」

 広間の観衆は皆、カイル皇子とフィオナ王女に釘付けになっている。ルーファス王子はそっと広間の外へ続くテラスへ滑り出ると、階段を降りてリゼルを広間から離れた庭園に連れ出した。

 ルーファス王子に手を引かれながら、庭園の奥まで来ると、すでに涙がぽとぽとと滴り落ちていた。
 急に立ち止まるとルーファス王子が優しくリゼルを引き寄せて腕の中に抱きとめた。

「可哀想に、カイルス皇子が好きだったんだね」

 そう優しく囁くとリゼルのなめらかな背中をそっと撫でた。
 安心させるように撫でられる感触が気持ちよくて、リゼルはルーファス王子の胸にすがると、小さく震えながら涙を堪える。

「涙を堪える必要はないよ。こういう時は気の済むまで泣いたらいい」

 ルーファス王子がリゼルをぎゅっと抱き締めると、リゼルはなぜかカイル皇子に抱かれているような感覚になり、思い切りその胸で泣き始めた。

 私が馬鹿だった…。どう考えてもこの国の皇太子が、たかが一貴族の娘となど結婚するわけがない。
 ましてや皇帝陛下がお許しになるはずがない。何処かの王女様と結婚するに決まっているのに、私ったら、馬鹿みたいに相応しい妃になるなどと、浮かれていた…。
 
 父も、カイル様は他国の王女と結婚すると言っていたではないか。カイル様とキスをしたあの夜は、私のことを一時、興味を示して好意を持ってくれただけ。あの約束は、気分が盛り上がっただけの戯言。
 実際、正式に結婚を申し込まれたわけではないのだ。
 …そんなことも分からずに、自分もカイル皇子に愛を告白するなど、身の程をわきまえずに考えるとは、なんて愚かなの。

 リゼルは、ルーファス王子の胸の中で嗚咽を漏らしながら打ち震えた。

 そもそも、皇子の一存で、大国エルミナールの皇太子の婚姻が決まるわけがない。
 なんのメリットもない自国の貴族の娘などど…。わかっていたはずなのに、胸が苦しい…
 カイルの隣で嬉しそうに微笑むフィオナ王女を見るのが辛い……

 ひとしきり泣くと、気持ちが少し落ち着いてきた。
 するとルーファス王子の胸を濡らしてしまったことに気がつき、自分は他国の王子様になんということをしてしまったのだろうと思い至る。
 ルーファス王子は、リゼルが落ち着くまでそっと背中を撫で続けてくれていた。

「あ、あの、取り乱したところを見せてしまって、ごめんなさい。カイル皇子は…兄とも幼馴染で、本当の兄のように慕っていたものですから。今日はなにも聞かされてなかったので、驚いてしまって…。つい、兄を取られたような気持ちになって」

「私でよければいつでも胸を貸しますよ。あなたの真珠のような涙を見るのはいたたまれない」

 胸ポケットからハンカチを取り出すと、鼻水もついてるよ、とクスッと笑いながら差し出した。

「あ、ありがとうございます」

 リゼルは、急いでひどい顔になっているだろう自分の涙と鼻水をふき取った。

「あとできちんと洗ってお返ししますから」

「いいよ。気にしないで。それよりお礼と言ってはなんだけど、今日は私とダンスを3曲踊ること。それをしたら、今夜は開放してあげる」

「え…?3曲も?」

 普通、初対面の男女が踊るのは、1曲かせいぜい2曲だ。

「今日みたいに、混雑した夜会ではだれも見てやしないよ。それにやっと出会えた麗しの君を独占するのも優越感に浸れるからね。国に帰って自慢できる」

 なんだか、気取らなくて面白い人…リゼルが思わずクスッと笑った。

「そう、その調子。僕みたいないい男もいるんだから」

 そういってリゼルの顎に手をかけると、頬に軽くキスをした。

「さあ、麗しのお姫さま。カイルス皇子など早く忘れて、あなたに恋焦がれる私のためにダンスのお相手をお願いします」

 そう大仰にいうと、リゼルの手をぎゅっと握りしめて広間に向かった。

 なぜか、戦場にもどるような気がしたが、ルーファス王子がつないでくれた手があたたかく心に染み入り、心地良かった。

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