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届かない想い4
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家に帰り、冷凍庫から冷食を取り出し、次々と電子レンジで温める。
明日はオフだから今日は1人パーティーだ。
スイーツは食べられないから普通の食事でパーティーだ。
とは言え、普段、なかなかスーパーに行かれないのでまともな材料があるわけでもなく、仮にあったとしても母さんに長年頼ってきた俺が料理なんてまともに作れるものは少ない。
けれど、それとは反比例するように冷凍庫には冷食がたくさんある。だから今日はそれを消費する日だ。
冷蔵庫にはビールやチューハイが結構入っている。飲み物はこれだけあれば十分、というだけは入っている。俺の冷蔵庫、健康的じゃないなと苦笑を漏らした。
言い訳をするなら、外食が多い上にスーパーにはなかなか行かれないので生物はおけないし、逆に日持ちする飲み物なんかはまとめ買いしておく癖がついている。
こんな癖も芸能界を引退したら直るんだろうか。いや、健康のためには直さなくてはいけないな。
大体、母さんが入院するまでは冷蔵庫も健康的だった。今はもう、その母さんさえいないけど。
レンジでチンした冷凍ピザは美味しかった。それに、ビールをあわせるなんて禁断だけど最高だな。ってスイーツを我慢している人の食事じゃないな、と思う。
これで体重増えたらやばいな、と思うけれど好きなお店に呑みに行かれないのなら家で呑むしかない。
これを見られたら母さんにも颯矢さんにも怒られてしまう。
って自然に考えてしまうけど、母さんはもうこの世にいないし、颯矢さんは俺の記憶がない。俺のことを忘れられるくらいなら、きちんと会話をしておけばよかった。あんなにツンケンしなければ良かった。
だけど俺は颯矢さんが結婚すると思ってから俺から壁を作ってしまっていた。馬鹿だな。記憶がなくなったら、あの頃みたいな会話もうできないのに。
俺のことを思い出すように、病院でも事務所でも色々と試しているらしい。病院側は治療を。事務所は俺の出た映画やドラマを病室で観れるようにしている。
でも、まだ颯矢さんは思い出さない。記憶が戻ることはほんとにあるんだろうか。いや、でも記憶が戻ってどうする?
颯矢さんは結婚するんだ、あの香織さんっていう人と。
華奢で女性らしい人だった。きっといい奥さんになって颯矢さんのことを支えてくれるんだろう。俺にはできないことだ。
そう考えると悲しくて涙が浮かんでくる。そして、それが嫌で温めた冷食をどんどん食べていく。
唐揚げ、カニクリームコロッケ、チーズ入りハンバーグ、オムレツ。
俺が買ったんだから当然だけど、俺の好きなものばかりだ。
飲み物はビール。
好きなものを食べて呑んで、颯矢さんのことは忘れたいのに昼間見た香織さんのことが頭から離れない。
きっとあの人は俺なんかよりも颯矢さんのお見舞いに行っているんだろう。
颯矢さんは俺のことは忘れたけど、他の記憶は一切問題がないらしい。つまり生活していくのも仕事をしていくのも問題がない。
だから社長が言っていたように、怪我が良くなれば仕事に復帰するんだろう。
そして俺以外の記憶に問題はないのだから、結婚もするんだろう。だって香織さんに対しての記憶は失っていないんだから。
颯矢さんはどうして俺のことだけ忘れたの? やっぱり忘れたくなるほど俺のマネージャーなんてしていたくなかったの? 好きだよ、って事あるごとに言ってたからそれが気持ち悪くて嫌になった? だとしたら落ち込む。
ストレスで記憶をなくすことがあるっていうけど、記憶をなくした俺のことがストレスになってたの? それとも、それ以外のことでもストレスを感じていたの?
俺が颯矢さんに好きだって言わなければ、記憶を戻してくれる? いや、記憶を戻したって俺のものになるわけじゃない。颯矢さんは香織さんのものなんだ。忘れなきゃいけないんだ。それはわかってる。
テーブルに置いてあるスマホを手にとり、颯矢さんの写真を見る。颯矢さんとも仲良くしてた(俺はそのつもり)頃に写真集の撮影でグアムに行ったときの写真だ。
まだ大学を卒業して間もない頃だったと思う。この頃はもう颯矢さんのことを好きになってたっけ。芸能界に入ってよくこの世界のことを知らなかったときに、芸能界のことを教えてくれつつ、俺の世話をしてくれて、それで颯矢さんのこと好きになったんだ。
だから、割と早いうちに颯矢さんのことを好きになっている。これって刷り込みなのかな? もし、マネージャーが颯矢さんじゃなくても好きになっていたんだろうか?
わからない。だって颯矢さん以外のマネージャーなんて氏原さん以外知らない。その氏原さんは、颯矢さんが復帰するまでのピンチヒッターなわけで。
じゃあ、一番最初のマネージャーが氏原さんだったら、俺は氏原さんを好きになっていたんだろうか。考えるけれど想像がつかない。
多分だけど、最初のマネージャーが誰であれ、俺は颯矢さんを好きになったと思う。なんとなくの勘だけど。
そう思うとこうやって颯矢さんのことを考えてしまうのは仕方ないのかもしれないな。
でも、もう忘れなきゃ。颯矢さんは結婚するんだ。他人のものになるんだ。だから。だから、社長には引退のことを頷いて欲しい。
芸能界を引退して数年でいいから海外で暮らそう。そして色んな経験をしていこう。そうしているうちにきっと颯矢さんのことは少しずつ忘れていくはずだ。
仕事は、観光系ならあるんじゃないか、って小田島さんも言っていたし。タイ語に関しては現地に行ってから語学学校にでも行って覚えよう。
うん。そのためにも社長を説得しよう。そう思ってビールを一気呑みした。ネガティブな考えをすべて飲み干すかのように。
明日はオフだから今日は1人パーティーだ。
スイーツは食べられないから普通の食事でパーティーだ。
とは言え、普段、なかなかスーパーに行かれないのでまともな材料があるわけでもなく、仮にあったとしても母さんに長年頼ってきた俺が料理なんてまともに作れるものは少ない。
けれど、それとは反比例するように冷凍庫には冷食がたくさんある。だから今日はそれを消費する日だ。
冷蔵庫にはビールやチューハイが結構入っている。飲み物はこれだけあれば十分、というだけは入っている。俺の冷蔵庫、健康的じゃないなと苦笑を漏らした。
言い訳をするなら、外食が多い上にスーパーにはなかなか行かれないので生物はおけないし、逆に日持ちする飲み物なんかはまとめ買いしておく癖がついている。
こんな癖も芸能界を引退したら直るんだろうか。いや、健康のためには直さなくてはいけないな。
大体、母さんが入院するまでは冷蔵庫も健康的だった。今はもう、その母さんさえいないけど。
レンジでチンした冷凍ピザは美味しかった。それに、ビールをあわせるなんて禁断だけど最高だな。ってスイーツを我慢している人の食事じゃないな、と思う。
これで体重増えたらやばいな、と思うけれど好きなお店に呑みに行かれないのなら家で呑むしかない。
これを見られたら母さんにも颯矢さんにも怒られてしまう。
って自然に考えてしまうけど、母さんはもうこの世にいないし、颯矢さんは俺の記憶がない。俺のことを忘れられるくらいなら、きちんと会話をしておけばよかった。あんなにツンケンしなければ良かった。
だけど俺は颯矢さんが結婚すると思ってから俺から壁を作ってしまっていた。馬鹿だな。記憶がなくなったら、あの頃みたいな会話もうできないのに。
俺のことを思い出すように、病院でも事務所でも色々と試しているらしい。病院側は治療を。事務所は俺の出た映画やドラマを病室で観れるようにしている。
でも、まだ颯矢さんは思い出さない。記憶が戻ることはほんとにあるんだろうか。いや、でも記憶が戻ってどうする?
颯矢さんは結婚するんだ、あの香織さんっていう人と。
華奢で女性らしい人だった。きっといい奥さんになって颯矢さんのことを支えてくれるんだろう。俺にはできないことだ。
そう考えると悲しくて涙が浮かんでくる。そして、それが嫌で温めた冷食をどんどん食べていく。
唐揚げ、カニクリームコロッケ、チーズ入りハンバーグ、オムレツ。
俺が買ったんだから当然だけど、俺の好きなものばかりだ。
飲み物はビール。
好きなものを食べて呑んで、颯矢さんのことは忘れたいのに昼間見た香織さんのことが頭から離れない。
きっとあの人は俺なんかよりも颯矢さんのお見舞いに行っているんだろう。
颯矢さんは俺のことは忘れたけど、他の記憶は一切問題がないらしい。つまり生活していくのも仕事をしていくのも問題がない。
だから社長が言っていたように、怪我が良くなれば仕事に復帰するんだろう。
そして俺以外の記憶に問題はないのだから、結婚もするんだろう。だって香織さんに対しての記憶は失っていないんだから。
颯矢さんはどうして俺のことだけ忘れたの? やっぱり忘れたくなるほど俺のマネージャーなんてしていたくなかったの? 好きだよ、って事あるごとに言ってたからそれが気持ち悪くて嫌になった? だとしたら落ち込む。
ストレスで記憶をなくすことがあるっていうけど、記憶をなくした俺のことがストレスになってたの? それとも、それ以外のことでもストレスを感じていたの?
俺が颯矢さんに好きだって言わなければ、記憶を戻してくれる? いや、記憶を戻したって俺のものになるわけじゃない。颯矢さんは香織さんのものなんだ。忘れなきゃいけないんだ。それはわかってる。
テーブルに置いてあるスマホを手にとり、颯矢さんの写真を見る。颯矢さんとも仲良くしてた(俺はそのつもり)頃に写真集の撮影でグアムに行ったときの写真だ。
まだ大学を卒業して間もない頃だったと思う。この頃はもう颯矢さんのことを好きになってたっけ。芸能界に入ってよくこの世界のことを知らなかったときに、芸能界のことを教えてくれつつ、俺の世話をしてくれて、それで颯矢さんのこと好きになったんだ。
だから、割と早いうちに颯矢さんのことを好きになっている。これって刷り込みなのかな? もし、マネージャーが颯矢さんじゃなくても好きになっていたんだろうか?
わからない。だって颯矢さん以外のマネージャーなんて氏原さん以外知らない。その氏原さんは、颯矢さんが復帰するまでのピンチヒッターなわけで。
じゃあ、一番最初のマネージャーが氏原さんだったら、俺は氏原さんを好きになっていたんだろうか。考えるけれど想像がつかない。
多分だけど、最初のマネージャーが誰であれ、俺は颯矢さんを好きになったと思う。なんとなくの勘だけど。
そう思うとこうやって颯矢さんのことを考えてしまうのは仕方ないのかもしれないな。
でも、もう忘れなきゃ。颯矢さんは結婚するんだ。他人のものになるんだ。だから。だから、社長には引退のことを頷いて欲しい。
芸能界を引退して数年でいいから海外で暮らそう。そして色んな経験をしていこう。そうしているうちにきっと颯矢さんのことは少しずつ忘れていくはずだ。
仕事は、観光系ならあるんじゃないか、って小田島さんも言っていたし。タイ語に関しては現地に行ってから語学学校にでも行って覚えよう。
うん。そのためにも社長を説得しよう。そう思ってビールを一気呑みした。ネガティブな考えをすべて飲み干すかのように。
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