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失恋さえできない4
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居心地がいいな、と思う。店自体はそんなに静かというわけではなく、かと言って騒がしいわけではない。お客さんも、この時間だからか変に酔っ払っている人もいない。みんながそれぞれにお酒を楽しんでいる風だ。
セクシャリティーも色んな人がいるっぽくて、ちょっとカオスだけど、それが面白い。俺はどっちに見えるんだろう? ゲイ? ノンケ? バイ?
そして実際のセクシャリティーを考えてみるけど、セクシャリティーなんて関係ないと気づく。ゲイとかバイとか関係なく俺はただ、颯矢さんが好きなだけだ。
そう。失恋さえもさせてくれない颯矢さんのことが好き。
颯矢さんは優しいけれど、失恋さえもさせてくれないっていうのは、優しくはない。
もしかしたら颯矢さんは、俺が本気で言ってるとは思っていないのかもしれない。だとしたら失恋さえもさせてくれない理由はわかる。
本気なんだけどな。それは伝わっていないのだろうか。
その颯矢さんは、今どこにいるんだろう。
きっと今頃は、見合い相手の女性と一緒にいるんだろう。ということは、失恋と同じなのだろうか。
だとしたらやけ酒したいけれど、残念ながら明日も撮影がある。だからあまり呑む訳にもいかない。今日はお酒を楽しむだけの日だけど、気持ちは全然楽しくない。颯矢さんのことを考えたくなくて来たけれど、結局は颯矢さんのことを考えてしまう。馬鹿としか言いようがない。
そう考えて、ため息をひとつついた。
お見合いってどれくらい時間がかかるんだろう。お見合いはもう終わっただろうか。撮影が終わって俺を事務所に送った後に行ったから、時間的には早い時間だ。だとしたら、もうお見合いも終わって家に帰っただろうか。それともまだお見合い相手の女性と一緒にいるんだろうか。
お見合い相手とは結婚するんだろうか。颯矢さんは今、32歳。結婚してもおかしくない歳だ。
颯矢さんが結婚すると言ったら、自分は祝えるだろうか。「おめでとう」って言えるだろうか。言えないな、と思う。
こんなに颯矢さんのことが好きなのに、「結婚おめでとう」なんて嘘でも言えない。役者だろう、とは思うけれど、こんな役、とてもじゃないけれど演じられない。
いつかは、「おめでとう」と言わなきゃいけないと思う。でも、それは自分の気持ちをある程度整理してからじゃないと無理だ。今はその時じゃない。
そのいつか、はいつくるんだろうか。今はその想像さえできない。それくらい颯矢さんのことが好きだ。
あぁ、ダメだダメだ。颯矢さんのことを考えたくなくて来たはずなのに、結局は颯矢さんのことばかりを考えてしまっている。
こんなに颯矢さんのことが好きなのに、肝心の颯矢さんには伝わっていないと言うのが悲しいし切ない。
そんなふうに颯矢さんのことを考えていると、店は少しずつお客さんが増えてきた。あまり人が多いと身バレする可能性もあるので、そろそろ帰った方がいいかもしれない。そう思い、お金を払い店を出た。
セクシャリティーも色んな人がいるっぽくて、ちょっとカオスだけど、それが面白い。俺はどっちに見えるんだろう? ゲイ? ノンケ? バイ?
そして実際のセクシャリティーを考えてみるけど、セクシャリティーなんて関係ないと気づく。ゲイとかバイとか関係なく俺はただ、颯矢さんが好きなだけだ。
そう。失恋さえもさせてくれない颯矢さんのことが好き。
颯矢さんは優しいけれど、失恋さえもさせてくれないっていうのは、優しくはない。
もしかしたら颯矢さんは、俺が本気で言ってるとは思っていないのかもしれない。だとしたら失恋さえもさせてくれない理由はわかる。
本気なんだけどな。それは伝わっていないのだろうか。
その颯矢さんは、今どこにいるんだろう。
きっと今頃は、見合い相手の女性と一緒にいるんだろう。ということは、失恋と同じなのだろうか。
だとしたらやけ酒したいけれど、残念ながら明日も撮影がある。だからあまり呑む訳にもいかない。今日はお酒を楽しむだけの日だけど、気持ちは全然楽しくない。颯矢さんのことを考えたくなくて来たけれど、結局は颯矢さんのことを考えてしまう。馬鹿としか言いようがない。
そう考えて、ため息をひとつついた。
お見合いってどれくらい時間がかかるんだろう。お見合いはもう終わっただろうか。撮影が終わって俺を事務所に送った後に行ったから、時間的には早い時間だ。だとしたら、もうお見合いも終わって家に帰っただろうか。それともまだお見合い相手の女性と一緒にいるんだろうか。
お見合い相手とは結婚するんだろうか。颯矢さんは今、32歳。結婚してもおかしくない歳だ。
颯矢さんが結婚すると言ったら、自分は祝えるだろうか。「おめでとう」って言えるだろうか。言えないな、と思う。
こんなに颯矢さんのことが好きなのに、「結婚おめでとう」なんて嘘でも言えない。役者だろう、とは思うけれど、こんな役、とてもじゃないけれど演じられない。
いつかは、「おめでとう」と言わなきゃいけないと思う。でも、それは自分の気持ちをある程度整理してからじゃないと無理だ。今はその時じゃない。
そのいつか、はいつくるんだろうか。今はその想像さえできない。それくらい颯矢さんのことが好きだ。
あぁ、ダメだダメだ。颯矢さんのことを考えたくなくて来たはずなのに、結局は颯矢さんのことばかりを考えてしまっている。
こんなに颯矢さんのことが好きなのに、肝心の颯矢さんには伝わっていないと言うのが悲しいし切ない。
そんなふうに颯矢さんのことを考えていると、店は少しずつお客さんが増えてきた。あまり人が多いと身バレする可能性もあるので、そろそろ帰った方がいいかもしれない。そう思い、お金を払い店を出た。
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