切なくて、恋しくて〜zielstrebige Liebe〜

水無瀬 蒼

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切なくて残酷で綺麗で2

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 料理部は毎日部活があるわけではない。週3回、月・水・金曜日に部活がある。今日は金曜日で部活があった日。なので部活終わりに大輝と一緒に帰る。途中寄り道をして。
 正門せいもんで大輝のことを待っていると、大輝はいつも走ってくる。そんなに急がなくてもいいよ、と言うのだけどあまり俺を待たせたくないみたいだ。
 大輝の隣を歩くと大輝からデオドラントのグリーンフローラルの香りがする。最近はこの香りがするとなんだか落ち着くようになった。

「今日はカフェ行こうか」
「うん」

 学校帰りの寄り道はファーストフードかカフェのどちらかだ。カフェはコーヒーが好きな俺には嬉しいチョイスだ。
 お店に入り大輝はアイスオレを、俺はモカマキアートを頼んだ。アメリカンやブレンド、エスプレッソも好きだけど、ラテなどクリームを使ったコーヒーは家ではなかなか飲めないからこういうときに飲む。味も好きだけど美味しそうに淹れられた外見もいい。自分でも淹れられるようになりたいといつも思っている。

「あ、大輝。これ部活で作ったから後で食べて」

 俺は部活で作ったもので持ち帰れるときは大輝にお裾分けしてる。俺が作ったものをいつも「美味しい」と言って食べてくれる。

「今日は何作ったの?」
「今日はお菓子で、ブルーベリーマフィンだよ。俺も食べたけど、なかなか美味しくできたと思うんだ」
「そっか。じゃあ家帰って宿題終わったら食べる。いつもありがとう。でも湊斗は料理上手いよな。ずっと湊斗の作ったもの食べてたい」

 ずっと俺の作ったものを食べていたいって将来もずっとっていうことだろうか。大人になってもずっとずっと。それなら俺はずっと大輝と過ごせるということになる。学生の今だけじゃなくて大人になっても一緒にいたい。それは俺の願いだ。将来俺たちがどんな仕事をするのかわからない。でも、どんな仕事をしていてもずっと大輝と一緒にいられたら。それはどんなに幸せだろうか。そんな未来が来ることを願っている。でも、そんなこと言えないから俺は軽く流す。

「大学にあがっても家で作るからそのときは差し入れするよ」
「ありがとう」

 エスカレーター式の学校に通っている俺も大輝も大学はこのままあがる。だからわかるけれど、大学には料理系のサークルはない。だから今までのように定期的に作ることはなくなる。それでも週末には作れると思うから、大輝さえ良ければそれを差し入れしようと思う。

「でも、後1年は料理部だから安心して」
「ああ」

 でも、大学生になったら新しい出会いもあるし、何より俺と大輝は希望学部が違う。俺が経営学科なのに対し大輝は英語文化学科だ。それに加えサークルも違う。俺はまだ決めてないけれど、大輝はサッカーだ。うちの大学のサッカー部は強い。そんなところに大輝が入らないはずがない。だってプロサッカー選手になると言っているのだから。だからそうしたら会う時間は限られるだろう。だから家で何かを作って差し入れする口実がないと会えなくなりそうで不安なんだ。そんなこと大輝に言えないけれど。とにかく今は部活で作ったものを持ち帰れるときは大輝に差し入れする。失敗したときはしないけれど。

「どんなに疲れてても湊斗の作ったもの食べたら元気になれるから嬉しい」

 そう言って爽やかに笑う大輝を見て俺は、大輝に対しての”好き”を更新する。
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