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夜の足音
しおりを挟むいつの頃からだろう。
私を見つめる存在がいることに気が付いてしまったのは。
奴は、夜になるとほぼ毎日私をストーカーしてくる。
近付いて来ることもなく、一定の距離を保ってただこちらを見ている。
もちろん勘違いなのではと疑ったりもした。
でも、家にいてふと窓の外を見ると、奴はいつだって同じ位置から私を覗いている。
たまに来ない日もあったり、私があまりに凝視していると、あちらから身を潜める事もある。
そんな日々が続くにつれ、私の精神は疲弊していった。
あまりにも辛くなったある日、友人に相談をしてみた。でも友人は気にもとめない様子で、
「そんなの誰だって経験あるよ。気にしすぎじゃない? …大丈夫だよ、大丈夫」
そう言って笑った姿が、私には酷くおぞましく見えた。
それからもずっと、奴からのストーカー被害は続いた。
見てる。奴に見られている…
もう嫌だ、外に出るのが怖い…
誰かに見られているのが怖い…
日に日に外に出ることは無くなった。
買い物にも行くこともなく、布団にくるまって一日を過ごす。
家の中にいるのに、布団の中にいるのに、
私の不安が払拭されることはなかった。
もう不安なのは嫌だ
怖いのは嫌だ…
助けて、助けて、助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助からないなら………
私が自分を、タスケテあげなくちゃ
ーーーーーー
ある日、一人の女性が自宅で自殺をした。
女性の部屋の窓には、新聞紙やガムテープが張り巡らされていた。まるで外界との交流を拒むかのように。
女性は自室で首を吊った状態で発見され、近くには恐らく死ぬ間際に書かれたであろうメモが残されていた。
メモの内容は以下の通り。
『窓の外に、ヤツがいる…』
女性の自宅を捜査していた警察は、窓のバリケードを外し外を眺めた。
「おや、綺麗な満月だな」
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