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第21章 思惑・・・
ヴァリアス防衛戦
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旅立ちの時。
全員、馬に乗ると馬を走らせて急ぎヴァリアスに向かい始めた。
目前に森が見えてきて、森の中へ入っていくと暫くするとフローレンシアがみんなに向かって静止の声を出した。
「どうしたんだ?フローレンシア?」
和人が聞くと、その瞬間5人の何者かが突然現れて、みんなを囲うような体制をとった。
「その動き・・・あなたたちは暗殺者ですね?それに、その首にある刺青をみると暗殺集団の一味ですね。私たちは急いでいるのだけれども、おとなしく通してくれないかしら?・・・・・はぁ・・・やるおつもりですか、仕方ありませんね」
アリシアも涼音も剣を構え馬を降りようとした瞬間。
すでに馬を降りていたフローレンシアがゆっくりと長剣を抜くと同時に暗殺者5人を瞬殺した。
5人とも首と胴が離れて、首は地面に転がり落ちていた。
涼音とアリシアはフローレンシアを見ていたが剣即はおろか身のこなしすら捉えきれなかった。
「えぇ?うそ・・・・・でしょ・・・剣速どころか動きも見えなかったわ・・・」
フローレンシアは長剣を収めると、馬へまたがると、「先を急ぎましょう」その一言しか言わなかった。
涼音もアリシアも同じ剣士として各の違いを思い知らされた。
馬を走らせている途中にフローレンシアが一言だけ言った。
「今のは、どの国にも属さない暗殺集団でニザールという一味です。恐らくはデュランダルに雇われたのでしょう」
暫く馬を走らせていると、森を抜けて少し離れたところにヴァリアスがあった。
そしてヴァリアスに着くと、エリスが門番に事情を伝え城へと向かった。
国王の席のある謁見の間に案内されると暫く待つこととなった。
待っていると、国王と女王が姿を見せ、玉座に腰を下ろした。
「お前たちが第3の勢力となったセネルの者じゃな?して、どのような用件でヴァリアスまで来たのかね?詳しく話を伺おうか。その前に、それぞれの名を伺おうか。そこの者は知っておる。わが軍に協力をしてくれた・・・名は柊和人だったな」
エリスが一歩前へ出て膝間づくと、涼音とアリシアを前に呼んで膝間づかせた。
「私はデュランダルの剣士でアリシアと申します。そして、こちらは同じくデュランダルで共に戦った観音寺涼音と申します。私はデュランダルから我が配下をを引き連れてデュランダルから逃亡の末、セネルに捕らえられていました。その逃亡の理由とは国王の側近であるガルヴァーとランガスがある陰謀を企てて、国王に精神系の毒を盛り・・・今は、恐らくは国王は動くこともできない状態にあると思われます。そして、ガルヴァーとランガスの手に落ちたと思われます。私の意向はデュランダルのガルヴァーとランガスを打ち滅ぼし、平和な世の中になる事を望んでいます」
国王と女王はしばらく話し合い、まだ信用できるか決めかねている感じだった。
そして国王が指をさしたのは涼音だった。
「それで、お主もデュランダルから逃げ延びてきたのかね?
「いえ、私は和人と同じ異世界より来た感じで合って、ここの世界の住人ではありません。信じがたいと思いますが、私と和人は偶然、この世界に来て、それぞれが違う国に紛れ込んでしましました」
「う~ん・・・信じがたいが何かの文献で昔に読んだことはあるな・・・それで、そこの長い剣を持つものは何者かね?」
「私はフローレンシアと申します。私のことをお忘れですか?国王陛下」
国王は思い出したかのように席を立ちあがった。
「思い出した!フローレンシアどの・・・昔の戦で援軍として助けられた魔法師じゃったな!そうか、そなたがセネルをまとめておるのか・・・お主の武勇伝は確かに覚えておる。一度だけだが会ったことはあるな・・・忘れておった。当時はヴァリアス領土、最強の魔法剣士・・・」
国王はゆっくり腰を下ろすと詳しく事情を聞いた。
まずはフローレンシアがデュランダルから攻め込まないようにセネルの軍が防衛にあたっていること。
そして、謎の魔法を跳ね返してしまう大剣使いがいる事。
それは恐らくマダスカスの力によってでてきたこと。
謎なのは、アリシアが逃亡した後のデュランダルの状況。
すると、突然ドアが激しくノックされ、一人の兵士が駆け寄り、国王の前に膝間づいた。
「国王陛下!申し上げたいことがあり参上いたしました!デュランダルの軍勢が押し寄せてきました!数はおおよそ1500人。その進軍は、まさに津波のごとく勢いであります!戦況はセネルからの援軍と申す一軍より加勢して頂いております」
国王はエリスに向かって、すぐに軍を編成して立ち向かうように指示を出した。
エリスは返事をすると同時にフローレンシアが一歩前に出た。
「国王陛下、セネルの軍はアレフとマーリンという軍のリーダーをヴァリアス付近に待機しております。恐らくは加勢しているものと思われます。そこで、私たちも加勢したいと思います・・・あの二人が押されている・・・恐らく凄腕がいると予想されるので、急ぎ向かいます。お話は、また後程ということで、渡地たちは失礼しますわ」
エリスは素早く軍を編成すると急ぎ戦場へと向かった。
戦場に着くとすでに乱戦模様。
和人はアレフとマーリンの姿を見つけて、戦況を聞いた。
するとマーリンが状況を話した。
「和人さん!すいません。すごい勢いで押されて、ここまで撤退を余儀なくされてしまいました・・・」
「お前たちが押されるなんて、そんなに手強いのか?」
「ええ、なんだか変な剣士がいまして・・・それが強さが異常で・・・腕が4本あって4つの剣が炎で燃え上がっていて、魔法と当ててもかき消されてしまってまったく効果がありません。私の軍とアレフさんの軍も半分を失ってしまいました。アレフさんが、その剣士に立ち向かっていったんですが、右腕を切り落とされてしまいまして、今は戦える状態ではありません。どうしましょう?」
「俺たちが来たから大丈夫だ。それで、その腕が4本もある剣士はそんなに強いのか?なんなんだ?その剣士は・・・」
フローレンシアが長剣を抜き、凄まじいまでの練り上げられた闘気を発した。
「私がお相手しましょう。和人さんは魔法師部隊に指示をお願いします。それでは行ってきますわ」
フローレンシアが風の如き速さで前に出るとデュランダルの兵士を、まるで人形を切るように前進していき、4本の腕を持つ謎の剣士と対峙した。
剣士はフローレンシアを見据え、冷笑を浮かべて言った。「お前がその程度の力で私に挑むのか?消えてなくなれ!」彼は四つの剣を一斉に振り下ろした。フローレンシアはその瞬間、長剣を高く掲げ、風を纏って反撃の構えを取る。「私の剣にかかれば、貴様の腕も無駄に終わる!」その言葉が響くと、周囲の空気が緊張感に満ちた。戦いは、今まさに始まろうとしていた。
フローレンシアは鋭く目を細め、剣士に向かって一歩前進した。
「お前みたいな邪悪な闘気を纏うものは、見過ごすつもりはないわ!」
彼女の声には、覚悟と決意が込められていた。
剣士は少し驚いた表情を浮かべ、剣を振り上げたまま動きを止めた。
フローレンシアの剣術は彼にとって未知のものだった。
彼女は剣を操るだけでなく、風を操る力も持っているのだ。
「なんだと!?」剣士は声を荒げ、剣を振り下ろす気迫を取り戻した。
フローレンシアの瞳には闘志が宿り、彼女は一瞬の隙もなく剣を振るった。
風が剣と一体となり、剣速が見えないくらいに剣士に向かって疾風のように飛び込んだ。
剣士は必死に剣を交差させ、風の勢いを受け止めようとするが、フローレンシアの攻撃は容赦なく彼を追い詰めていく。
だがそれと同時にフローレンシアの腕にも切り傷が無数についている。
「くっ…!」剣士の表情に焦りが浮かび、彼は身をかわすために横に飛び退いた。
フローレンシアはその隙を見逃さず、再び剣を振り下ろし、剣士の体を狙った。
しかし、剣士はそれをかわし、カウンターの一撃を放とうとした。
しかし、その瞬間、剣士は消えたかのような動きを見せた。
残像が残るほどの速さでフローレンシアの背後に回り込んで激しく燃え盛った剣でフローレンシアの背中めがけて剣を横なぎした。
それをフローレンシアは長剣を背中に回し、行動を読んでいたかのように防いだ。
剣と剣がぶつかり合った瞬間に剣から激しい炎が纏い、背中に軽いやけどを負った。
「人間如きが我にかなうと思っているのか!食らうが良い・・・黒龍炎殺剣!」
剣士が炎を纏い激しく回転してフローレンシアに連撃を繰り出してきた。
「くっ・・・速い。ならばこちらも行きます!旋風剣、一式・風なぎ!」
素早く長剣を振りかざし、風の力を纏わせた長剣で攻撃をしのいでいる。
互角の戦いを演じてはいるが、徐々にフローレンシアは押されている。
その戦いの様子を涼音とアリシアは、ただただ呆然と見る事しかできなかった。
入り込めば間違いなくフローレンシアの足手まといになってしまうことを察知していた。
その激しい二人の戦いのさなか、和人はエリスと呼吸を合わせ、広範囲魔法によって次々と敵兵を焼き尽くしていく。
マーリンはアレフの元で待機をし、切断されてしまった腕の出血を止める為に氷魔法で凍らせて出血を止めている。
「エリス!この戦いを一気に終わらせるために大技を使う!詠唱に時間が必要だ・・・なんとか時間稼ぎを頼む。フローレンシアと戦ってるやつが気になる。この戦いを早く終わらせないと・・・フローレンシアの身が心配だ」
「わかったわ、私が光の障壁を使うわ。それでなんとか食い止めて見せるからお願い!」
和人は杖を掲げ、長い詠唱を始めた。
「蓮の炎に眠りし暗黒の竜よ その咆哮をもて 我らが前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを
我が敵を焼き尽くせ・・・カグヅチ!」
詠唱が終わり杖を振り下ろすと巨大な爆発を起こし、数多くの敵兵と塵と化していく。
和人はマナを使い切り、その場に座り込み、大の字に横になって呼吸を荒くしていた。
「はぁはぁ・・・あとは、あの腕4本やろうだけだ・・・俺はしばらくは動けそうにない。フローレンシアと呼吸を合わせて、あの腕4本野郎を退けてくれ。あいつはたぶん、マダスカスの力によって召喚された何者かだ。魔法をはじくらしいが牽制にはなるはずだ」
「わかったわ。行ってくるから、和人は休んでて。必ず退いて見せるわ」
エリスは風の魔法を用いて自信に自己加速術式をかけて一気に詰め寄った。
「フローレンシアさん、幻を作るから離れて!・・・ミラージュフェイク!」
フローレンシアが一歩下がると、エリスのかけた魔法で、周囲の光を操作して体をぼやけさせたり分身したように見せかけた。
敵は無差別に切り始めて混乱を招いている。
続けざまにエリスは拘束魔法を用いて敵の動きを封じると、その場から遠ざかって逃げ延びた。
「助かったわ、エリスさん。あれはいったい何者かしら?私ひとりでは倒せないわ・・・」
敵は魔法を消し去ると黒い空間が出て、その中へ入っていって姿を消した。
こうして、激戦の末、今回の戦は終わりを告げた。
敵兵は和人の大魔法によって消滅。
こちら側は半数近くの兵士がやられ、アレフは片腕を失った。
そして、ヴァリアスへと帰還した。
全員、馬に乗ると馬を走らせて急ぎヴァリアスに向かい始めた。
目前に森が見えてきて、森の中へ入っていくと暫くするとフローレンシアがみんなに向かって静止の声を出した。
「どうしたんだ?フローレンシア?」
和人が聞くと、その瞬間5人の何者かが突然現れて、みんなを囲うような体制をとった。
「その動き・・・あなたたちは暗殺者ですね?それに、その首にある刺青をみると暗殺集団の一味ですね。私たちは急いでいるのだけれども、おとなしく通してくれないかしら?・・・・・はぁ・・・やるおつもりですか、仕方ありませんね」
アリシアも涼音も剣を構え馬を降りようとした瞬間。
すでに馬を降りていたフローレンシアがゆっくりと長剣を抜くと同時に暗殺者5人を瞬殺した。
5人とも首と胴が離れて、首は地面に転がり落ちていた。
涼音とアリシアはフローレンシアを見ていたが剣即はおろか身のこなしすら捉えきれなかった。
「えぇ?うそ・・・・・でしょ・・・剣速どころか動きも見えなかったわ・・・」
フローレンシアは長剣を収めると、馬へまたがると、「先を急ぎましょう」その一言しか言わなかった。
涼音もアリシアも同じ剣士として各の違いを思い知らされた。
馬を走らせている途中にフローレンシアが一言だけ言った。
「今のは、どの国にも属さない暗殺集団でニザールという一味です。恐らくはデュランダルに雇われたのでしょう」
暫く馬を走らせていると、森を抜けて少し離れたところにヴァリアスがあった。
そしてヴァリアスに着くと、エリスが門番に事情を伝え城へと向かった。
国王の席のある謁見の間に案内されると暫く待つこととなった。
待っていると、国王と女王が姿を見せ、玉座に腰を下ろした。
「お前たちが第3の勢力となったセネルの者じゃな?して、どのような用件でヴァリアスまで来たのかね?詳しく話を伺おうか。その前に、それぞれの名を伺おうか。そこの者は知っておる。わが軍に協力をしてくれた・・・名は柊和人だったな」
エリスが一歩前へ出て膝間づくと、涼音とアリシアを前に呼んで膝間づかせた。
「私はデュランダルの剣士でアリシアと申します。そして、こちらは同じくデュランダルで共に戦った観音寺涼音と申します。私はデュランダルから我が配下をを引き連れてデュランダルから逃亡の末、セネルに捕らえられていました。その逃亡の理由とは国王の側近であるガルヴァーとランガスがある陰謀を企てて、国王に精神系の毒を盛り・・・今は、恐らくは国王は動くこともできない状態にあると思われます。そして、ガルヴァーとランガスの手に落ちたと思われます。私の意向はデュランダルのガルヴァーとランガスを打ち滅ぼし、平和な世の中になる事を望んでいます」
国王と女王はしばらく話し合い、まだ信用できるか決めかねている感じだった。
そして国王が指をさしたのは涼音だった。
「それで、お主もデュランダルから逃げ延びてきたのかね?
「いえ、私は和人と同じ異世界より来た感じで合って、ここの世界の住人ではありません。信じがたいと思いますが、私と和人は偶然、この世界に来て、それぞれが違う国に紛れ込んでしましました」
「う~ん・・・信じがたいが何かの文献で昔に読んだことはあるな・・・それで、そこの長い剣を持つものは何者かね?」
「私はフローレンシアと申します。私のことをお忘れですか?国王陛下」
国王は思い出したかのように席を立ちあがった。
「思い出した!フローレンシアどの・・・昔の戦で援軍として助けられた魔法師じゃったな!そうか、そなたがセネルをまとめておるのか・・・お主の武勇伝は確かに覚えておる。一度だけだが会ったことはあるな・・・忘れておった。当時はヴァリアス領土、最強の魔法剣士・・・」
国王はゆっくり腰を下ろすと詳しく事情を聞いた。
まずはフローレンシアがデュランダルから攻め込まないようにセネルの軍が防衛にあたっていること。
そして、謎の魔法を跳ね返してしまう大剣使いがいる事。
それは恐らくマダスカスの力によってでてきたこと。
謎なのは、アリシアが逃亡した後のデュランダルの状況。
すると、突然ドアが激しくノックされ、一人の兵士が駆け寄り、国王の前に膝間づいた。
「国王陛下!申し上げたいことがあり参上いたしました!デュランダルの軍勢が押し寄せてきました!数はおおよそ1500人。その進軍は、まさに津波のごとく勢いであります!戦況はセネルからの援軍と申す一軍より加勢して頂いております」
国王はエリスに向かって、すぐに軍を編成して立ち向かうように指示を出した。
エリスは返事をすると同時にフローレンシアが一歩前に出た。
「国王陛下、セネルの軍はアレフとマーリンという軍のリーダーをヴァリアス付近に待機しております。恐らくは加勢しているものと思われます。そこで、私たちも加勢したいと思います・・・あの二人が押されている・・・恐らく凄腕がいると予想されるので、急ぎ向かいます。お話は、また後程ということで、渡地たちは失礼しますわ」
エリスは素早く軍を編成すると急ぎ戦場へと向かった。
戦場に着くとすでに乱戦模様。
和人はアレフとマーリンの姿を見つけて、戦況を聞いた。
するとマーリンが状況を話した。
「和人さん!すいません。すごい勢いで押されて、ここまで撤退を余儀なくされてしまいました・・・」
「お前たちが押されるなんて、そんなに手強いのか?」
「ええ、なんだか変な剣士がいまして・・・それが強さが異常で・・・腕が4本あって4つの剣が炎で燃え上がっていて、魔法と当ててもかき消されてしまってまったく効果がありません。私の軍とアレフさんの軍も半分を失ってしまいました。アレフさんが、その剣士に立ち向かっていったんですが、右腕を切り落とされてしまいまして、今は戦える状態ではありません。どうしましょう?」
「俺たちが来たから大丈夫だ。それで、その腕が4本もある剣士はそんなに強いのか?なんなんだ?その剣士は・・・」
フローレンシアが長剣を抜き、凄まじいまでの練り上げられた闘気を発した。
「私がお相手しましょう。和人さんは魔法師部隊に指示をお願いします。それでは行ってきますわ」
フローレンシアが風の如き速さで前に出るとデュランダルの兵士を、まるで人形を切るように前進していき、4本の腕を持つ謎の剣士と対峙した。
剣士はフローレンシアを見据え、冷笑を浮かべて言った。「お前がその程度の力で私に挑むのか?消えてなくなれ!」彼は四つの剣を一斉に振り下ろした。フローレンシアはその瞬間、長剣を高く掲げ、風を纏って反撃の構えを取る。「私の剣にかかれば、貴様の腕も無駄に終わる!」その言葉が響くと、周囲の空気が緊張感に満ちた。戦いは、今まさに始まろうとしていた。
フローレンシアは鋭く目を細め、剣士に向かって一歩前進した。
「お前みたいな邪悪な闘気を纏うものは、見過ごすつもりはないわ!」
彼女の声には、覚悟と決意が込められていた。
剣士は少し驚いた表情を浮かべ、剣を振り上げたまま動きを止めた。
フローレンシアの剣術は彼にとって未知のものだった。
彼女は剣を操るだけでなく、風を操る力も持っているのだ。
「なんだと!?」剣士は声を荒げ、剣を振り下ろす気迫を取り戻した。
フローレンシアの瞳には闘志が宿り、彼女は一瞬の隙もなく剣を振るった。
風が剣と一体となり、剣速が見えないくらいに剣士に向かって疾風のように飛び込んだ。
剣士は必死に剣を交差させ、風の勢いを受け止めようとするが、フローレンシアの攻撃は容赦なく彼を追い詰めていく。
だがそれと同時にフローレンシアの腕にも切り傷が無数についている。
「くっ…!」剣士の表情に焦りが浮かび、彼は身をかわすために横に飛び退いた。
フローレンシアはその隙を見逃さず、再び剣を振り下ろし、剣士の体を狙った。
しかし、剣士はそれをかわし、カウンターの一撃を放とうとした。
しかし、その瞬間、剣士は消えたかのような動きを見せた。
残像が残るほどの速さでフローレンシアの背後に回り込んで激しく燃え盛った剣でフローレンシアの背中めがけて剣を横なぎした。
それをフローレンシアは長剣を背中に回し、行動を読んでいたかのように防いだ。
剣と剣がぶつかり合った瞬間に剣から激しい炎が纏い、背中に軽いやけどを負った。
「人間如きが我にかなうと思っているのか!食らうが良い・・・黒龍炎殺剣!」
剣士が炎を纏い激しく回転してフローレンシアに連撃を繰り出してきた。
「くっ・・・速い。ならばこちらも行きます!旋風剣、一式・風なぎ!」
素早く長剣を振りかざし、風の力を纏わせた長剣で攻撃をしのいでいる。
互角の戦いを演じてはいるが、徐々にフローレンシアは押されている。
その戦いの様子を涼音とアリシアは、ただただ呆然と見る事しかできなかった。
入り込めば間違いなくフローレンシアの足手まといになってしまうことを察知していた。
その激しい二人の戦いのさなか、和人はエリスと呼吸を合わせ、広範囲魔法によって次々と敵兵を焼き尽くしていく。
マーリンはアレフの元で待機をし、切断されてしまった腕の出血を止める為に氷魔法で凍らせて出血を止めている。
「エリス!この戦いを一気に終わらせるために大技を使う!詠唱に時間が必要だ・・・なんとか時間稼ぎを頼む。フローレンシアと戦ってるやつが気になる。この戦いを早く終わらせないと・・・フローレンシアの身が心配だ」
「わかったわ、私が光の障壁を使うわ。それでなんとか食い止めて見せるからお願い!」
和人は杖を掲げ、長い詠唱を始めた。
「蓮の炎に眠りし暗黒の竜よ その咆哮をもて 我らが前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを
我が敵を焼き尽くせ・・・カグヅチ!」
詠唱が終わり杖を振り下ろすと巨大な爆発を起こし、数多くの敵兵と塵と化していく。
和人はマナを使い切り、その場に座り込み、大の字に横になって呼吸を荒くしていた。
「はぁはぁ・・・あとは、あの腕4本やろうだけだ・・・俺はしばらくは動けそうにない。フローレンシアと呼吸を合わせて、あの腕4本野郎を退けてくれ。あいつはたぶん、マダスカスの力によって召喚された何者かだ。魔法をはじくらしいが牽制にはなるはずだ」
「わかったわ。行ってくるから、和人は休んでて。必ず退いて見せるわ」
エリスは風の魔法を用いて自信に自己加速術式をかけて一気に詰め寄った。
「フローレンシアさん、幻を作るから離れて!・・・ミラージュフェイク!」
フローレンシアが一歩下がると、エリスのかけた魔法で、周囲の光を操作して体をぼやけさせたり分身したように見せかけた。
敵は無差別に切り始めて混乱を招いている。
続けざまにエリスは拘束魔法を用いて敵の動きを封じると、その場から遠ざかって逃げ延びた。
「助かったわ、エリスさん。あれはいったい何者かしら?私ひとりでは倒せないわ・・・」
敵は魔法を消し去ると黒い空間が出て、その中へ入っていって姿を消した。
こうして、激戦の末、今回の戦は終わりを告げた。
敵兵は和人の大魔法によって消滅。
こちら側は半数近くの兵士がやられ、アレフは片腕を失った。
そして、ヴァリアスへと帰還した。
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