俺と彼女のせいしをかけた戦い(ラブコメ) 〜美少女のご主人様が奴隷の俺を興奮させようとエッチなことばかりしてくるんだが〜

田中ケケ

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脱ぎたてのパンツをかけた戦い

脱ぎたてのパンツ④

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「あ、ああここここれは、その……」

 俺はばくばくと飛び跳ねる心臓を飼いならそうと、胸に手を添えた。

 慌てるな! 冷静になれ! きちんと適切な言葉を紡ぐんだ!

「あれだな。別に下着だけが置かれてても男は興奮なんかしないんだ。だってそうだろ? 布切れと一緒なんだから」
「布切れ……でもそれは私が実際に穿いてたから」
「それだって本当かわからないじゃないか。俺は実際に吉良坂さんが脱いでるのを見たわけじゃない。適当に買ってきたものを置いたって可能性は捨てきれないだろ?」
「……そう、だね」

 吉良坂さんがしゅんとうなだれる。よっしゃあ論破したぞ! なのに全然嬉しくないのはどうしてですかねぇ! 下着論を熱く語って大事なものを失った気がするんですけど気のせいですかねぇ!

「と、とりあえず、これ返すよ」

 俺は水色のパンツをポケットから取り出して、吉良坂さんの前に差し出した。

「え、でもプレゼントだから」
「こんなのいつまでも持ってられないよ」

 名残惜しいけどね。

「……わかった」

 パンツを受け取った吉良坂さんは、それをぎゅっと握りしめて胸に押し当てる。

「え? 穿かないの?」
「あ、だって……」

 きまりが悪そうに目を逸らす吉良坂さん。

「そんなに穿く姿が見たいの? 見えちゃうかもしれなけど」
「なっ――――」

 ってそうですよねぇ。男子の前でパンツを穿くなんて恥ずかしすぎますよねぇ。足を上げるから中が見えちゃう可能性もありますよねぇ。うわあなにそれ、吉良坂さんがパンツを穿いてる姿、妄想しただけで超エロっ!

「ごめん。すぐ出ていく……ってか用も済んだみたいだし俺もう帰るよ」
「待って!」

 立ち上がった俺の手首を掴む吉良坂さん。ああ、いま俺の手首と吉良坂さんの手で、水色のパンツをサンドイッチにしてるぅ!

「そういう、ことじゃなくて。穿かないのには本当の理由があって」
「理由……?」
「うん」

 深くうなずいた吉良坂さんは、スカートの裾を両手でつかむと勢いよく上へ持ち上げた。

「ち、ちょっと!」

 あなたいまノーパンでしょ!

 吉良坂さんの大事な部分が見えちゃう…………って。

「穿いて、る?」
「ごめんなさい。私嘘ついてた。実はノーパンじゃなかったの。さすがに恥ずかしくて、別で持ってきたのを穿いてたの」

 その言葉通り、吉良坂さんがたくし上げたスカートの中には、清純さを思わせる真っ白なパンツがあった。黒いリボンがアクセントになったこれまた可愛らしい下着だ。

「そ、そっかぁ」

 なんだそっか。

 ってことは俺の今日一日のあれは杞憂ってことかよかったよかった――――よくねぇよありがとうございます! 女子がスカートをたくし上げてパンツを見せてくれたって最高かよ! 誰もが夢見る憧れのシチュエーション! 嘘ついてごめんなさいって気持ちから自分からパンツを見せるって、どんだけ吉良坂さん正直者なの!

「わ、わかったから、もういいよ。怒ってないから」

 興奮しているのを悟られないように冷めた声で言うと、吉良坂さんはようやくたくし上げていたスカートを下げてくれた。

「ご、ごめんなさい。変に気を使わせて、心配させて」
「だからいいって。じゃあ、俺は帰るから」
「あっ、まだ待って!」

 また呼び止められる。

 え? え? まだなにかあるのー?
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