18 / 68
脱ぎたてのパンツをかけた戦い
脱ぎたてのパンツ④
しおりを挟む
「あ、ああここここれは、その……」
俺はばくばくと飛び跳ねる心臓を飼いならそうと、胸に手を添えた。
慌てるな! 冷静になれ! きちんと適切な言葉を紡ぐんだ!
「あれだな。別に下着だけが置かれてても男は興奮なんかしないんだ。だってそうだろ? 布切れと一緒なんだから」
「布切れ……でもそれは私が実際に穿いてたから」
「それだって本当かわからないじゃないか。俺は実際に吉良坂さんが脱いでるのを見たわけじゃない。適当に買ってきたものを置いたって可能性は捨てきれないだろ?」
「……そう、だね」
吉良坂さんがしゅんとうなだれる。よっしゃあ論破したぞ! なのに全然嬉しくないのはどうしてですかねぇ! 下着論を熱く語って大事なものを失った気がするんですけど気のせいですかねぇ!
「と、とりあえず、これ返すよ」
俺は水色のパンツをポケットから取り出して、吉良坂さんの前に差し出した。
「え、でもプレゼントだから」
「こんなのいつまでも持ってられないよ」
名残惜しいけどね。
「……わかった」
パンツを受け取った吉良坂さんは、それをぎゅっと握りしめて胸に押し当てる。
「え? 穿かないの?」
「あ、だって……」
きまりが悪そうに目を逸らす吉良坂さん。
「そんなに穿く姿が見たいの? 見えちゃうかもしれなけど」
「なっ――――」
ってそうですよねぇ。男子の前でパンツを穿くなんて恥ずかしすぎますよねぇ。足を上げるから中が見えちゃう可能性もありますよねぇ。うわあなにそれ、吉良坂さんがパンツを穿いてる姿、妄想しただけで超エロっ!
「ごめん。すぐ出ていく……ってか用も済んだみたいだし俺もう帰るよ」
「待って!」
立ち上がった俺の手首を掴む吉良坂さん。ああ、いま俺の手首と吉良坂さんの手で、水色のパンツをサンドイッチにしてるぅ!
「そういう、ことじゃなくて。穿かないのには本当の理由があって」
「理由……?」
「うん」
深くうなずいた吉良坂さんは、スカートの裾を両手でつかむと勢いよく上へ持ち上げた。
「ち、ちょっと!」
あなたいまノーパンでしょ!
吉良坂さんの大事な部分が見えちゃう…………って。
「穿いて、る?」
「ごめんなさい。私嘘ついてた。実はノーパンじゃなかったの。さすがに恥ずかしくて、別で持ってきたのを穿いてたの」
その言葉通り、吉良坂さんがたくし上げたスカートの中には、清純さを思わせる真っ白なパンツがあった。黒いリボンがアクセントになったこれまた可愛らしい下着だ。
「そ、そっかぁ」
なんだそっか。
ってことは俺の今日一日のあれは杞憂ってことかよかったよかった――――よくねぇよありがとうございます! 女子がスカートをたくし上げてパンツを見せてくれたって最高かよ! 誰もが夢見る憧れのシチュエーション! 嘘ついてごめんなさいって気持ちから自分からパンツを見せるって、どんだけ吉良坂さん正直者なの!
「わ、わかったから、もういいよ。怒ってないから」
興奮しているのを悟られないように冷めた声で言うと、吉良坂さんはようやくたくし上げていたスカートを下げてくれた。
「ご、ごめんなさい。変に気を使わせて、心配させて」
「だからいいって。じゃあ、俺は帰るから」
「あっ、まだ待って!」
また呼び止められる。
え? え? まだなにかあるのー?
俺はばくばくと飛び跳ねる心臓を飼いならそうと、胸に手を添えた。
慌てるな! 冷静になれ! きちんと適切な言葉を紡ぐんだ!
「あれだな。別に下着だけが置かれてても男は興奮なんかしないんだ。だってそうだろ? 布切れと一緒なんだから」
「布切れ……でもそれは私が実際に穿いてたから」
「それだって本当かわからないじゃないか。俺は実際に吉良坂さんが脱いでるのを見たわけじゃない。適当に買ってきたものを置いたって可能性は捨てきれないだろ?」
「……そう、だね」
吉良坂さんがしゅんとうなだれる。よっしゃあ論破したぞ! なのに全然嬉しくないのはどうしてですかねぇ! 下着論を熱く語って大事なものを失った気がするんですけど気のせいですかねぇ!
「と、とりあえず、これ返すよ」
俺は水色のパンツをポケットから取り出して、吉良坂さんの前に差し出した。
「え、でもプレゼントだから」
「こんなのいつまでも持ってられないよ」
名残惜しいけどね。
「……わかった」
パンツを受け取った吉良坂さんは、それをぎゅっと握りしめて胸に押し当てる。
「え? 穿かないの?」
「あ、だって……」
きまりが悪そうに目を逸らす吉良坂さん。
「そんなに穿く姿が見たいの? 見えちゃうかもしれなけど」
「なっ――――」
ってそうですよねぇ。男子の前でパンツを穿くなんて恥ずかしすぎますよねぇ。足を上げるから中が見えちゃう可能性もありますよねぇ。うわあなにそれ、吉良坂さんがパンツを穿いてる姿、妄想しただけで超エロっ!
「ごめん。すぐ出ていく……ってか用も済んだみたいだし俺もう帰るよ」
「待って!」
立ち上がった俺の手首を掴む吉良坂さん。ああ、いま俺の手首と吉良坂さんの手で、水色のパンツをサンドイッチにしてるぅ!
「そういう、ことじゃなくて。穿かないのには本当の理由があって」
「理由……?」
「うん」
深くうなずいた吉良坂さんは、スカートの裾を両手でつかむと勢いよく上へ持ち上げた。
「ち、ちょっと!」
あなたいまノーパンでしょ!
吉良坂さんの大事な部分が見えちゃう…………って。
「穿いて、る?」
「ごめんなさい。私嘘ついてた。実はノーパンじゃなかったの。さすがに恥ずかしくて、別で持ってきたのを穿いてたの」
その言葉通り、吉良坂さんがたくし上げたスカートの中には、清純さを思わせる真っ白なパンツがあった。黒いリボンがアクセントになったこれまた可愛らしい下着だ。
「そ、そっかぁ」
なんだそっか。
ってことは俺の今日一日のあれは杞憂ってことかよかったよかった――――よくねぇよありがとうございます! 女子がスカートをたくし上げてパンツを見せてくれたって最高かよ! 誰もが夢見る憧れのシチュエーション! 嘘ついてごめんなさいって気持ちから自分からパンツを見せるって、どんだけ吉良坂さん正直者なの!
「わ、わかったから、もういいよ。怒ってないから」
興奮しているのを悟られないように冷めた声で言うと、吉良坂さんはようやくたくし上げていたスカートを下げてくれた。
「ご、ごめんなさい。変に気を使わせて、心配させて」
「だからいいって。じゃあ、俺は帰るから」
「あっ、まだ待って!」
また呼び止められる。
え? え? まだなにかあるのー?
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる