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第6章 5 目指せ! 敗北!
拳と拳で語り合うために
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「さぁ、第七回戦! スタートです!」
そして、戦闘開始のゴングが鳴る。
ウンニーが巨大な槌を振り上げたまま突進してくる。
「誠道さーん! 睾丸だけは守ってくださいね! 私が潰す予定ですからね!」
「そんな予定はねぇよ!」
聞こえてきた聖ちゃんの声に返事をしつつ、俺は振り下ろされた大槌を難なくかわす。
攻撃のモーションが大きいので、結構簡単にかわすことができたが……もうこんな直線的な攻撃は仕掛けてこないだろう。
ウンニーは俺から距離を取り、ほお、少しは楽しめそうじゃねぇか、と言わんばかりに不敵に笑っている。
さて、どうしようか。
一方的にやられるってのは俺が本当に弱いみたいだから嫌だ。
善戦した挙句に、本当にウンニーに運が味方した的な展開で負けるのが、俺のメンツもたつから……よし、それでいくか!
ウンニー・ミハナサ・レーテルに運が味方するのかはいささか疑問だが。
そもそも強者であるウンニー・ミハナサ・レーテルに対して、そんな余裕ぶっこいた試合運びができるかも疑問だが。
「とりあえず、【|無敵の人間(インヴィジブル・パーソン)】っと」
本気を出している風を装うために、一応やっておく。
体にまとわせる炎も最小限にしておく。
様子見は大事。
さて、これを見てウンニーはどう出る?
「ほぉ、すすす、少しはやるようだな」
……あれぇ?
めちゃくちゃ手加減してるのに、ウンニーの声が震えはじめたんだけど。
「だだだだが、そんなはったりなど私には効かないぞ。お前の魂胆などお見通しなんだ。早く降参したらどうだ? 私はこんなにも重くて巨大な槌を持ち上げるほどのパワーの持ち主なんだ。お前なんか俺が本気を出したらひとたまりもないぞ。最悪死んでしまうぞ。それでもいいのか!」
「いやブーメラン半端ないな! さっき自分が言った言葉思い出せよ!」
弱いやつほどよくほざくんじゃなかったの?
拳と拳で語り合おうと言ってた人が、言葉に頼りまくりなんだけど!
やっぱりこの大会は虚勢大会にふさわしいんじゃないの?
「ここまで言ってもまだ立ち向かってくるか。ふっ、威勢だけは達者だな。そういう男は嫌いじゃないが、戦場ではそういうやつが一番先に死ぬ。慢心こそが最大の弱さだ」
その瞬間、ウンニーの放つオーラが変わった。
戦うこと自体を純粋に楽しんでいるかのように、本当に嬉しそうに笑った。
マジか。
やっぱり本当はこいつ強いのでは。
背中にねっとりとした汗が滲み、ピリピリとした緊張感が漂いはじめる。
「君が諦めないというのなら、私も、こうするしかないな」
そう言うと、ウンニーはおもむろに大槌を置いた。
腰を落として、正拳突きを放つ前のような態勢になる。
まさか、こいつは格闘家だったのか。
その圧倒的なオーラが、一瞬にして観客のざわめきすらも沈めてみせた。
静寂という名の覇気が会場を支配している。。
そうか。
本当にウンニーは、拳と拳で語り合うつもりだったんだ。
これまでは道化を演じて、俺の実力を推し量っていたにすぎないんだ。
だったら、俺もそれに応えたい。
「ウンニーさん。いきます」
俺の言葉を聞いたウンニーさんが不敵な笑みを浮かべ、すっと拳を空高く突き上げた。
それを合図に、俺も技名を唱える。
これが、強者同士の戦いからしか感じることができない武者震いか。
男同士の熱き血潮か。
なんて心地いいんだ!
負けなきゃいけないとか、女になるとか。そんなのもうどうでもいい。
俺はこの人と、全身全霊をかけて、本気でぶつかり合いたいんだ!
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎上翔砲】
「審判! 私は棄権する!」
……。
…………。
「はっ?」
なにが起こったのか、まったく理解できなかった。
高ぶっていた感情が、駆け巡っていた血潮が嘘のように体内から消え去っている。
そして、戦闘開始のゴングが鳴る。
ウンニーが巨大な槌を振り上げたまま突進してくる。
「誠道さーん! 睾丸だけは守ってくださいね! 私が潰す予定ですからね!」
「そんな予定はねぇよ!」
聞こえてきた聖ちゃんの声に返事をしつつ、俺は振り下ろされた大槌を難なくかわす。
攻撃のモーションが大きいので、結構簡単にかわすことができたが……もうこんな直線的な攻撃は仕掛けてこないだろう。
ウンニーは俺から距離を取り、ほお、少しは楽しめそうじゃねぇか、と言わんばかりに不敵に笑っている。
さて、どうしようか。
一方的にやられるってのは俺が本当に弱いみたいだから嫌だ。
善戦した挙句に、本当にウンニーに運が味方した的な展開で負けるのが、俺のメンツもたつから……よし、それでいくか!
ウンニー・ミハナサ・レーテルに運が味方するのかはいささか疑問だが。
そもそも強者であるウンニー・ミハナサ・レーテルに対して、そんな余裕ぶっこいた試合運びができるかも疑問だが。
「とりあえず、【|無敵の人間(インヴィジブル・パーソン)】っと」
本気を出している風を装うために、一応やっておく。
体にまとわせる炎も最小限にしておく。
様子見は大事。
さて、これを見てウンニーはどう出る?
「ほぉ、すすす、少しはやるようだな」
……あれぇ?
めちゃくちゃ手加減してるのに、ウンニーの声が震えはじめたんだけど。
「だだだだが、そんなはったりなど私には効かないぞ。お前の魂胆などお見通しなんだ。早く降参したらどうだ? 私はこんなにも重くて巨大な槌を持ち上げるほどのパワーの持ち主なんだ。お前なんか俺が本気を出したらひとたまりもないぞ。最悪死んでしまうぞ。それでもいいのか!」
「いやブーメラン半端ないな! さっき自分が言った言葉思い出せよ!」
弱いやつほどよくほざくんじゃなかったの?
拳と拳で語り合おうと言ってた人が、言葉に頼りまくりなんだけど!
やっぱりこの大会は虚勢大会にふさわしいんじゃないの?
「ここまで言ってもまだ立ち向かってくるか。ふっ、威勢だけは達者だな。そういう男は嫌いじゃないが、戦場ではそういうやつが一番先に死ぬ。慢心こそが最大の弱さだ」
その瞬間、ウンニーの放つオーラが変わった。
戦うこと自体を純粋に楽しんでいるかのように、本当に嬉しそうに笑った。
マジか。
やっぱり本当はこいつ強いのでは。
背中にねっとりとした汗が滲み、ピリピリとした緊張感が漂いはじめる。
「君が諦めないというのなら、私も、こうするしかないな」
そう言うと、ウンニーはおもむろに大槌を置いた。
腰を落として、正拳突きを放つ前のような態勢になる。
まさか、こいつは格闘家だったのか。
その圧倒的なオーラが、一瞬にして観客のざわめきすらも沈めてみせた。
静寂という名の覇気が会場を支配している。。
そうか。
本当にウンニーは、拳と拳で語り合うつもりだったんだ。
これまでは道化を演じて、俺の実力を推し量っていたにすぎないんだ。
だったら、俺もそれに応えたい。
「ウンニーさん。いきます」
俺の言葉を聞いたウンニーさんが不敵な笑みを浮かべ、すっと拳を空高く突き上げた。
それを合図に、俺も技名を唱える。
これが、強者同士の戦いからしか感じることができない武者震いか。
男同士の熱き血潮か。
なんて心地いいんだ!
負けなきゃいけないとか、女になるとか。そんなのもうどうでもいい。
俺はこの人と、全身全霊をかけて、本気でぶつかり合いたいんだ!
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎上翔砲】
「審判! 私は棄権する!」
……。
…………。
「はっ?」
なにが起こったのか、まったく理解できなかった。
高ぶっていた感情が、駆け巡っていた血潮が嘘のように体内から消え去っている。
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