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第4章 5 私はあなたを選ばない
最後まで言わせて
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「ちくしょう。そういうことかよ」
ねっとりした汗が首筋から肩甲骨を沿うようにして流れ落ちていく。
これは考えうる限りの、最悪の展開だ。
「マーズさん。そんな……」
ミライの声にも希望は含まれていない。
マーズが消息を絶っていたのはそういうことだったのか。
マーズが相手だなんて、かなり、いや超絶やばい。
「……いつのまにあんなに太ってしまって」
「心配するのそこじゃないからね! マーズが操られてんだぞ!」
「あっ! よく見たら大量の服を重ね着しているだけでした!」
「どうでもいいわそんなこと! ……いやなんで大量の服を重ね着してるのか普通に気になるわ!」
……と、的確にミライ相手にツッコんでる場合じゃなかった。
俺は小さく息を吐き出す。
「普通に考えて、相手はマーズだぞ。俺たちは攻撃できねぇ。けどマーズに攻撃せずに洗脳を解除するなんて、どう考えも無理だ」
そもそも洗脳を解除する方法がわからない。
ワルシュミーを倒そうとしても、マーズが割って入ってきてしまう。
「え、どうしてマーズさんを攻撃できないんですか?」
こてんと首を傾げ、純粋な目を向けてくるミライ。
「いや当たり前だろ! マーズは俺たちの仲間で」
「マーズさんはドMですよ?」
「…………よしっ! 許せマーズ。遠慮なく攻撃するぞ」
そう宣言した瞬間、マーズの頬がピンクに染まった気がしたけど、気のせいか?
「私も、援護いたします」
ミライも立ち上がって、俺の隣に立つ。
そして、当然のようにマーズは鼻息を荒くしはじめた。
操られているのに攻撃という言葉に反応するってことは、マーズは生まれながらの、本能的なドMなのだろう。
「はっ? ドMじゃなくてドSだろ、こいつは」
なんかワルシュミーが変な事を言っている。
もしかして、こいつ昔のマーズと面識があるのだろうか。
「つれを容赦なく攻撃できるなんて、薄情なやつだな、お前ら」
「お前に言われたくねぇんだよ」
俺はワルシュミーと操られているマーズの出方をうかがう。
むやみやたらに突撃するなんてことはできない。
そんなことしたら、ものの数秒で返り討ちにあってしまうだろう。
しかもこっちは、コハクちゃんの全力の【離澄虎】を防ぐために、かなり体力を持っていかれている。
さらに動けないコハクちゃんまで側にいるっつーのに。
「おいおい、戦う前からそんなに息が上がってて、大丈夫か?」
「お前に心配される筋合いはねぇよ」
「そうです!」
ミライも言い返してくれる。
「誠道さんに対しては心配じゃなくて罵倒をしないと!」
「ミライは俺のことを心配してね! なんで敵に心配されて仲間に罵倒されてんの?」
「それは誠道さんがドMだからですよ。常識じゃないですか」
「だから俺はドM――」
「【氷の調教鎖】」
俺の言葉を、マーズの抑揚のない言葉が遮る。
だからタイミング!
いまのだと俺がドMだって認めたみたいになるからっ!
ドMじゃねぇって、最後まで言わせてよ!
ねっとりした汗が首筋から肩甲骨を沿うようにして流れ落ちていく。
これは考えうる限りの、最悪の展開だ。
「マーズさん。そんな……」
ミライの声にも希望は含まれていない。
マーズが消息を絶っていたのはそういうことだったのか。
マーズが相手だなんて、かなり、いや超絶やばい。
「……いつのまにあんなに太ってしまって」
「心配するのそこじゃないからね! マーズが操られてんだぞ!」
「あっ! よく見たら大量の服を重ね着しているだけでした!」
「どうでもいいわそんなこと! ……いやなんで大量の服を重ね着してるのか普通に気になるわ!」
……と、的確にミライ相手にツッコんでる場合じゃなかった。
俺は小さく息を吐き出す。
「普通に考えて、相手はマーズだぞ。俺たちは攻撃できねぇ。けどマーズに攻撃せずに洗脳を解除するなんて、どう考えも無理だ」
そもそも洗脳を解除する方法がわからない。
ワルシュミーを倒そうとしても、マーズが割って入ってきてしまう。
「え、どうしてマーズさんを攻撃できないんですか?」
こてんと首を傾げ、純粋な目を向けてくるミライ。
「いや当たり前だろ! マーズは俺たちの仲間で」
「マーズさんはドMですよ?」
「…………よしっ! 許せマーズ。遠慮なく攻撃するぞ」
そう宣言した瞬間、マーズの頬がピンクに染まった気がしたけど、気のせいか?
「私も、援護いたします」
ミライも立ち上がって、俺の隣に立つ。
そして、当然のようにマーズは鼻息を荒くしはじめた。
操られているのに攻撃という言葉に反応するってことは、マーズは生まれながらの、本能的なドMなのだろう。
「はっ? ドMじゃなくてドSだろ、こいつは」
なんかワルシュミーが変な事を言っている。
もしかして、こいつ昔のマーズと面識があるのだろうか。
「つれを容赦なく攻撃できるなんて、薄情なやつだな、お前ら」
「お前に言われたくねぇんだよ」
俺はワルシュミーと操られているマーズの出方をうかがう。
むやみやたらに突撃するなんてことはできない。
そんなことしたら、ものの数秒で返り討ちにあってしまうだろう。
しかもこっちは、コハクちゃんの全力の【離澄虎】を防ぐために、かなり体力を持っていかれている。
さらに動けないコハクちゃんまで側にいるっつーのに。
「おいおい、戦う前からそんなに息が上がってて、大丈夫か?」
「お前に心配される筋合いはねぇよ」
「そうです!」
ミライも言い返してくれる。
「誠道さんに対しては心配じゃなくて罵倒をしないと!」
「ミライは俺のことを心配してね! なんで敵に心配されて仲間に罵倒されてんの?」
「それは誠道さんがドMだからですよ。常識じゃないですか」
「だから俺はドM――」
「【氷の調教鎖】」
俺の言葉を、マーズの抑揚のない言葉が遮る。
だからタイミング!
いまのだと俺がドMだって認めたみたいになるからっ!
ドMじゃねぇって、最後まで言わせてよ!
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