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第4章 3 新技と誘惑
けがされた純情
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「さぁ! 誠道くん! 今度は私と一緒に楽しみましょう。……私も早く楽しみたいの」
マーズがさらに俺を強く抱きしめてくる。
なんでこうなったのかはわからないが、とりあえずこれ以上はもう抵抗しないでおくことにしますね。
だって【盾孤燃龍】を限界までつかって疲労困憊なんだから、おっぱいに顔がうまったままだけど、仕方ないよね。
ばくばくと脈打つ心臓の音は、世界の果てまで届きそうなほど大きい。
「ああっ! 雲一つない青空の下で、こんな開放的な空間で、はやくぅ、もう私、私……」
「マーズ、さん」
そのとき、思わず戦慄するほどの綺麗な声が聞こえた。
ミライだ。
顔を見ていないのに、サイコパスな殺し屋が浮かべるような感情のない笑みを浮かべていることが伝わってくる。
絶対に気のせいだろうが、ごろごろという激しい雷を携えた暗雲がやってきているような気配もする。
俺の背後に漂っている空気だけが、ものすごく禍々しい。
ピシっ、ピシっ、って音が聞こえてくるけど、なに?
…………鞭を両手で引っ張っている音か!
「いきなり誠道さんを抱きしめて、いったいどういう心境の変化ですか?」
やばい。
怖い。
声の鋭さだけで死人が出る。
その声の冷たさだけで氷河期が訪れる。
「どういうって……見ての通りだけれど」
「誠道さんも誠道さんです! いつまでもそんなおばさんのおっぱいに顔を埋めないっ!」
「は、はいっ!」
俺は光が進む速さよりも素早くマーズから離れ、地面の上に正座する。
抵抗したら死ぬぞ、この威圧感。
「ああぅ、せっかく二人で楽しもうと思ってたのに、残念。ミライさんにはできないことが私にはできるのに」
ちちち、ちょっとマーズさん。
なに煽ってるんですか。
早く謝罪しないと、たとえリッチーと言えど死にかねないですよ。
世界の理をねじ曲げそうな迫力ですよ、いまのミライさんは。
「マーズさん。覚悟はできているんでしょうね」
「覚悟もなにも、あなたごときが私に勝てるとでも? 強さも、誠道さんのことも」
ああ、もうしーらね。
どうなっても俺はこの喧嘩に口を挟みません。
とりあえず、マーズの墓跡を探しておこうかなぁ……え。
と思った矢先。
マーズの纏う空気が一変する。
あたりを震撼させるほどの圧が広がり、マーズの体が水色に発光する。
これは、はっきり言ってヤバい。
マーズはこれまで以上に本気だ。
「お、俺を取り合って喧嘩するなんてやめて!」
なんか少女漫画のヒロインみたいなこと言ってしまったんだけど、どういう状況?
「誠道さんのことを一番、なんでも知っているのはこの私なんですから!」
ミライが鞭を振り上げ、マーズに向けて放つ。
ああもう一体どうすればいいんだ。
「【束縛】」
ダメだ。
あんな直線的な攻撃。元四天王のマーズに当たるわけがな――
「くっ……っああ。不覚、縛られてしまうなんて」
…………え?
いま、確実に避けられたと思うんだけど。
ってか自分から当たりにいったように見えたんだけど。
「くそ、はうっぅ……ミライさんに縛られるなんてえ……ああんんっ、もう、らめぇ……ああっ、んん! かいっ、かんっ」
…………はっ?
まさかとは思うけど、マーズが俺を抱きしめてミライを挑発していたのって。
「やっぱり私のっ、想像通りっ。誠道くんに色仕掛けをすれば、ミライさんに暴言を吐いて縛ってもらえるっ! ……んああっ、もう満足ぅぅう。これぞドMの本懐だわぁ」
「そんな理由で俺を誘惑してたのかよ!」
たしかにキャバ嬢とのやりとりを見て気がついたって言ってたけど!
「ねこたん、私、少しずつだけど着実に前に進んでいるわぁ!」
「進んでんのはバカさ加減だけだよ!」
あと、俺の純情をそんな理由のために弄ばないでぇ!
マーズがさらに俺を強く抱きしめてくる。
なんでこうなったのかはわからないが、とりあえずこれ以上はもう抵抗しないでおくことにしますね。
だって【盾孤燃龍】を限界までつかって疲労困憊なんだから、おっぱいに顔がうまったままだけど、仕方ないよね。
ばくばくと脈打つ心臓の音は、世界の果てまで届きそうなほど大きい。
「ああっ! 雲一つない青空の下で、こんな開放的な空間で、はやくぅ、もう私、私……」
「マーズ、さん」
そのとき、思わず戦慄するほどの綺麗な声が聞こえた。
ミライだ。
顔を見ていないのに、サイコパスな殺し屋が浮かべるような感情のない笑みを浮かべていることが伝わってくる。
絶対に気のせいだろうが、ごろごろという激しい雷を携えた暗雲がやってきているような気配もする。
俺の背後に漂っている空気だけが、ものすごく禍々しい。
ピシっ、ピシっ、って音が聞こえてくるけど、なに?
…………鞭を両手で引っ張っている音か!
「いきなり誠道さんを抱きしめて、いったいどういう心境の変化ですか?」
やばい。
怖い。
声の鋭さだけで死人が出る。
その声の冷たさだけで氷河期が訪れる。
「どういうって……見ての通りだけれど」
「誠道さんも誠道さんです! いつまでもそんなおばさんのおっぱいに顔を埋めないっ!」
「は、はいっ!」
俺は光が進む速さよりも素早くマーズから離れ、地面の上に正座する。
抵抗したら死ぬぞ、この威圧感。
「ああぅ、せっかく二人で楽しもうと思ってたのに、残念。ミライさんにはできないことが私にはできるのに」
ちちち、ちょっとマーズさん。
なに煽ってるんですか。
早く謝罪しないと、たとえリッチーと言えど死にかねないですよ。
世界の理をねじ曲げそうな迫力ですよ、いまのミライさんは。
「マーズさん。覚悟はできているんでしょうね」
「覚悟もなにも、あなたごときが私に勝てるとでも? 強さも、誠道さんのことも」
ああ、もうしーらね。
どうなっても俺はこの喧嘩に口を挟みません。
とりあえず、マーズの墓跡を探しておこうかなぁ……え。
と思った矢先。
マーズの纏う空気が一変する。
あたりを震撼させるほどの圧が広がり、マーズの体が水色に発光する。
これは、はっきり言ってヤバい。
マーズはこれまで以上に本気だ。
「お、俺を取り合って喧嘩するなんてやめて!」
なんか少女漫画のヒロインみたいなこと言ってしまったんだけど、どういう状況?
「誠道さんのことを一番、なんでも知っているのはこの私なんですから!」
ミライが鞭を振り上げ、マーズに向けて放つ。
ああもう一体どうすればいいんだ。
「【束縛】」
ダメだ。
あんな直線的な攻撃。元四天王のマーズに当たるわけがな――
「くっ……っああ。不覚、縛られてしまうなんて」
…………え?
いま、確実に避けられたと思うんだけど。
ってか自分から当たりにいったように見えたんだけど。
「くそ、はうっぅ……ミライさんに縛られるなんてえ……ああんんっ、もう、らめぇ……ああっ、んん! かいっ、かんっ」
…………はっ?
まさかとは思うけど、マーズが俺を抱きしめてミライを挑発していたのって。
「やっぱり私のっ、想像通りっ。誠道くんに色仕掛けをすれば、ミライさんに暴言を吐いて縛ってもらえるっ! ……んああっ、もう満足ぅぅう。これぞドMの本懐だわぁ」
「そんな理由で俺を誘惑してたのかよ!」
たしかにキャバ嬢とのやりとりを見て気がついたって言ってたけど!
「ねこたん、私、少しずつだけど着実に前に進んでいるわぁ!」
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