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第3章 4 決意と謝罪の性感帯
それが勇気
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総勢七人となった俺たちは、マーズの指定した場所、グランダラの南の森の中にある井戸にやってきた。
真枝務のワープで来たかったのだが、事前に登録した場所じゃないと移動できないと言われたので、全力で走った。
「この井戸に飛び込めってどういうことでしょう。ミライさんを救いたければ自殺しろ、ってことですかね」
聖ちゃんが井戸を覗き込みながらつぶやく。
「違うにゃ。きっとこの井戸の中が、マーズが作り出した部屋へのワープポイントになっているのにゃ」
ネコさんが聖ちゃんの疑問に答える。
心出が質問を重ねた。
「でも、どうしてこんなところにワープポイントを? これは実は罠で、飛び降りたらそのまま井戸の底へ一直線。その可能性があり得ると思うんですが。……あとネコさんはとても可愛いですね」
「きっとマーズは、ドMの誠道に喜んでもらおうとして、井戸に飛び降りるというワープ方法を設定したのにゃ。そもそもマーズはいま自分がドSだと思い込むために、理想的なドMである誠道を欲しておる。罠のはずがないのにゃ」
ネコさんの言うことは正しいように思える。
俺はドMじゃないけど。
あと華麗に褒め言葉をスルーされた心出がかわいそう。
「でも、私」
聖ちゃんが腕で自分の体を抱く。
「ワープできるとわかっていてもちょっと怖いです。誠道さんみたいに痛みや恐怖を楽しめるドMじゃないので」
「だから俺はドMじゃねぇ」
「飛び降りるとき、怖いので誠道さんの睾丸を掴んでいてもいいですか?」
「そのまま抉り取る気だろ!」
俺は股の間を押さえながら、聖ちゃんから距離を取る。
目、目が怖いってぇ!
「大丈夫ですよ」
五升が手をポンと叩いて茶髪のロン毛をかき上げ、注目を集めた。
「みなさん、安心してください。なんのために皇帝さんがいると思ってるんですか」
「え、俺?」
「こういうときに先陣を切るのは皇帝さんです。ああ、みんなのために実験台――先陣を切る皇帝さん、すげぇ格好いいなぁ」
五升ってやっぱり心出のことバカにしてるよね。
心出を使って本当に安全かどうかたしかめようとしてるよね。
「そうか。たしかに一番に乗り込むのは俺の役割だな」
だから心出は都合のいいように使われすぎな。
どういう思考を経て五升の言葉に納得したのか、ぜひとも開示要求してみたい。
「それじゃあ、まず俺が飛び込んでみる。ワープするってことだから、俺の体が消えれば成功。そのまま井戸の底にぶつかれば失敗して俺は死ぬ――いや、絶対に成功させてみせる」
心出は失敗した場合の危険性についてようやく理解したようだ。
恐怖を振り払うためか、頬を二度たたいて気合を入れている。
でもあの、それ意味ないですよ。
成功させてみせるって、気合でどうにかなるものじゃないでしょ、これは。
「さすが皇帝さん。格好よくて涙が出そうです。さあ、早く飛び込みましょう」
五升が感動しているフリをして心出を急かす。
力強くうなずいた心出が井戸の縁の上に立った。
聖ちゃんが聖剣ジャンヌダルクの光で井戸の中を照らす。
「俺は絶対に成功させてみせる」
だからあなたがどうこうできる問題じゃないんだってば。
「よっしゃあいくぞぉおお! おらっ!」
心出が井戸の中へ勢いよくダイブし、すぐに俺たちは井戸の中を覗き込んだ。
心出の体にノイズのようなものが走ったあと、忽然と姿が消える。
井戸の底にぶつかる音や、心出の悲鳴も聞こえない。
「どうやら、安全みたいだな」
俺は順にみんなを見て、小さくうなずく。
「よし、俺たちもいくぞ」
実験台になってくれたバカな――先陣を切ってくれた勇気ある心出のあとを追って、俺たちは次々に井戸の中に飛び込んだ。
真枝務のワープで来たかったのだが、事前に登録した場所じゃないと移動できないと言われたので、全力で走った。
「この井戸に飛び込めってどういうことでしょう。ミライさんを救いたければ自殺しろ、ってことですかね」
聖ちゃんが井戸を覗き込みながらつぶやく。
「違うにゃ。きっとこの井戸の中が、マーズが作り出した部屋へのワープポイントになっているのにゃ」
ネコさんが聖ちゃんの疑問に答える。
心出が質問を重ねた。
「でも、どうしてこんなところにワープポイントを? これは実は罠で、飛び降りたらそのまま井戸の底へ一直線。その可能性があり得ると思うんですが。……あとネコさんはとても可愛いですね」
「きっとマーズは、ドMの誠道に喜んでもらおうとして、井戸に飛び降りるというワープ方法を設定したのにゃ。そもそもマーズはいま自分がドSだと思い込むために、理想的なドMである誠道を欲しておる。罠のはずがないのにゃ」
ネコさんの言うことは正しいように思える。
俺はドMじゃないけど。
あと華麗に褒め言葉をスルーされた心出がかわいそう。
「でも、私」
聖ちゃんが腕で自分の体を抱く。
「ワープできるとわかっていてもちょっと怖いです。誠道さんみたいに痛みや恐怖を楽しめるドMじゃないので」
「だから俺はドMじゃねぇ」
「飛び降りるとき、怖いので誠道さんの睾丸を掴んでいてもいいですか?」
「そのまま抉り取る気だろ!」
俺は股の間を押さえながら、聖ちゃんから距離を取る。
目、目が怖いってぇ!
「大丈夫ですよ」
五升が手をポンと叩いて茶髪のロン毛をかき上げ、注目を集めた。
「みなさん、安心してください。なんのために皇帝さんがいると思ってるんですか」
「え、俺?」
「こういうときに先陣を切るのは皇帝さんです。ああ、みんなのために実験台――先陣を切る皇帝さん、すげぇ格好いいなぁ」
五升ってやっぱり心出のことバカにしてるよね。
心出を使って本当に安全かどうかたしかめようとしてるよね。
「そうか。たしかに一番に乗り込むのは俺の役割だな」
だから心出は都合のいいように使われすぎな。
どういう思考を経て五升の言葉に納得したのか、ぜひとも開示要求してみたい。
「それじゃあ、まず俺が飛び込んでみる。ワープするってことだから、俺の体が消えれば成功。そのまま井戸の底にぶつかれば失敗して俺は死ぬ――いや、絶対に成功させてみせる」
心出は失敗した場合の危険性についてようやく理解したようだ。
恐怖を振り払うためか、頬を二度たたいて気合を入れている。
でもあの、それ意味ないですよ。
成功させてみせるって、気合でどうにかなるものじゃないでしょ、これは。
「さすが皇帝さん。格好よくて涙が出そうです。さあ、早く飛び込みましょう」
五升が感動しているフリをして心出を急かす。
力強くうなずいた心出が井戸の縁の上に立った。
聖ちゃんが聖剣ジャンヌダルクの光で井戸の中を照らす。
「俺は絶対に成功させてみせる」
だからあなたがどうこうできる問題じゃないんだってば。
「よっしゃあいくぞぉおお! おらっ!」
心出が井戸の中へ勢いよくダイブし、すぐに俺たちは井戸の中を覗き込んだ。
心出の体にノイズのようなものが走ったあと、忽然と姿が消える。
井戸の底にぶつかる音や、心出の悲鳴も聞こえない。
「どうやら、安全みたいだな」
俺は順にみんなを見て、小さくうなずく。
「よし、俺たちもいくぞ」
実験台になってくれたバカな――先陣を切ってくれた勇気ある心出のあとを追って、俺たちは次々に井戸の中に飛び込んだ。
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