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第3章 3 ミライと謎の猫娘

玉手箱の中身は

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 目を疑う。

 そんなはずはない。

 人間の頭に……いや、ここは異世界だからそういう人種がいてもおかしくないのか?

 目をぱちぱちさせたり、頬をつねったり、一度部屋の外に出てからまた入ってみたりしたけど、猫耳女がベッドの上から消滅することはなかった。

 年齢は、あくまで人間として見た場合は、俺と同い年くらいに見える。

 上下セパーレートタイプのピンク色の毛皮の服を着ているため、かわいらしい小さなおへそがのぞいている。

 大きな胸を覆う毛皮の中央はハート形の穴が開いており、豊満な谷間が丸見えだ。

 首には小ぶりの銀の鈴をつけている。

 下は毛皮のもこもこショートパンツで、手足は人間というより猫のそれに近く、ぷにぷにしていそうな肉球がついている。

 そのかわいらしい手で丸見えのお腹をぽりぽり書きながら、「うにゃぁああ」と気持ちよさそうな寝言を発した。

「これは……」

 …………どうしたもんかね。

 この謎の状況にどう対処していいかまったくわからない。

 ミライを起こしに来たのにミライはおらず、代わりに猫耳姿の女の子が寝ている。

 うん、端的に言って意味がわからないけど猫耳最高です!

「ミライが……変身? 真の姿?」

 そうか。

 ミライは猫だったのか。

 それ以外考えられないもんね。

「…………うにゃぁ、ぁにゃ?」

 その時、猫耳娘が目を覚ました。

 何度か瞬きした後、猫の手で顔をサスサスしはじめる。

 うつ伏せになって「うにゃぁああああぁあん」と鳴きながらお尻を突き上げた(猫がよくやる背伸び?)後、お座りの体勢で、またうとうとしはじめた。

「え、なにこれ、超かわいいんですけど」

 やばい。

 俺、圧倒的な犬派だったけど、犬と猫耳娘なら断然猫耳娘派だ。

 こんなもん鞍替えしない男はいないだろう。

 俺は本能的な欲求に抗うことができず、ベッドの上にぺたんと座る猫耳娘の前でしゃがむ。

 大丈夫。

 これは猫のあごの下をわしゃわしゃするだけなんだ。

 猫耳があるってことは、彼女は人間ではなく猫なのだ。

 俺はうつらうつらしている猫耳娘のあごの下に右手をそおっと伸ばした。

「よーし、いい子だ。わしゃわしゃわしゃわしゃ」

 わしゃわしゃいうとりますけど……わしゃ歯の抜けた爺さんになったわけではないですよ。

 猫の顎を撫でるときって、わしゃわしゃわしゃわしゃって無意識に言っちゃうものなんです、わしゃね。

「うにゃあああん」

 猫耳娘は顔を蕩けさせながら、気持ちよさそうな声をあげる。

 ああもうかわいい眼福至高の最高潮タイム到来!。

 触り心地がもう本当にやばすぎる。

 なにもかもがどうでも良くなってくるほど、穏やかで幸せな感触だ。

「ああ、わしゃあもう満足じゃ」

 俗世間から解き放たれたおじいさんになった気分だ。

 わしゃ、もうわしゃわしゃできるだけで満足じゃ……って、本当におじいさんになっちゃったよ。

 もしかして、猫耳娘が玉手箱の中身だったの?

「うにゃあああん。うにゃあああん。――うにゃ?」

 猫耳娘が目を開けて――――があった。

 俺のことを警戒したのか、びゃっと飛んで俺から距離を取る。

 ……ああ、もう少し撫でていたかったのに。

 仰向けにさせてお腹を撫でたかったのに。

 実際にその絵面を想像したら俺はただのエロど変態なんだけど、これはあくまで猫をなでているだけだからね!

「お前、何者にゃ?」

 うん、言葉をしゃべれるなら猫をなでているだけですって言いわけは通用しない可能性が高そう……って。

「お前、しゃべれるのか?」

「もちろんにゃ。我は猫又にゃ」

「ねこ、また?」
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