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第3章 1 ポストに謎のプレゼント

改名

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「なんで……こいつらが」

 意味がわからない。

こいつらはかつて俺をいじめていて、ミライを攫った。

だから俺がぶっ倒した。

復讐に来るならまだしも、さっきこいつ、謝意って言ってたような。

「誠道くん。俺たちはあの女神様のおかげで改心したんだ。俺たちは子供のころから真面目になりたくて、でもいくら勉強してもバカなままで、それでグレてしまった。でも、それじゃあダメなんだと、女神様が真面目になる薬を飲ませてくれたんだ」

「なるほど……」

 いや、冷静に考えたらなにがなるほどなのだろうか。

「俺たちは真面目になれて本当に嬉しいんだ」

「…………あ、はい」

 一応うなずく。

 大度出の話が本当だとして、子供のころからの夢を薬で叶えて、それで真面目になって本当に嬉しいものなのだろうか。

それとも真面目になる薬の影響で、そういう考え方になっただけなのだろうか。

真面目じゃなくて、ただのバカになっただけな気がするのは気のせいだろうか。

 だって、借金が好きな人(違うけど)に借用書をプレゼントしよう! なんて思うやつ、バカか借金依存症患者のどちらかだよね。

「名前だって、真面目になった記念に改名したんだ」

 真面目になった記念って……やっぱりただのバカなのではないだろうか。

「俺は大度出皇帝たいどでかいざー改め、心出皇帝こころでかいざー!」

 それ自分で言っちゃうやつの心狭さは異常だけど大丈夫か?

 やっぱりただのバカでは?

「俺は勅使太一ていしたいち改め、光聖志太一こうせいしたいち!」

 なんかすごそうな名前だけど、やっぱりバカっぽいぞー!

「俺は鶏真喜一とりまきいち改め、真枝務喜一まえむきいいち!」

 なるほど! ポジティブになろうっていうこれからの生き方を表しているのかー! ほんとバカ丸出しだなー!

「最後に俺、五升李男ごますりおんは自分の名前が好きだから絶対に変えない!」

「いやそこはお前も変えとけよ!」

「むしろ、俺はクォーターでいじめられたけど、自分は自分だと自分自身を好きになったから、これまで毛嫌いしてきたミドルネームも加えて、五升ごます・リマク・李男りおんだ!」

「前よりもっとひどくなってんじゃねぇか!」

 胡麻すりまくりって……大丈夫かこいつ。

「皇帝さん。ようやく格好よく自己紹介ができましたね。中でもやっぱり皇帝さんが一番格好よかったです」

 五升・リマク・李男が言うと嘘っぽく聞こえるからやめてー。

「おう李男! 練習したかいがあったな」

 皇帝! そいつの言うことを信じるな!

「俺たち真面目四兄弟は、これからも李男が考えてくれたカッケェ名前と共に、永久に真面目に生きていこうな」

「「「はい!」」」

 その返事とともに、四人は泣きながら肩を組む。

 いや、四人で盛り上がってるとこ悪いんだけど、一人だけ真面目じゃない人いますけど。

 醜いアヒルの子っていうと白鳥になるアヒルに失礼だけど、それと同じような感じで一人明らかに部外者が混じってるんですけど。

 これはあれですか?

 名前や外見で人を判断しちゃいけないっていう神様からの啓示でしょうか。
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