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第2章 4 金の亡者の本懐
ジャイアントキリング
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「なんだ。お前もちょっとはやるようだな」
「黙れ。俺を怒らせたこと、後悔させてやる」
カイマセヌを睨みながら、拳に炎の龍をまとわせる。
すると、カイマセヌが感心したように目をわずかに見開いた。
「ほぉ、しかも龍属性攻撃まで使えるのか」
龍属性?
なんだそりゃ?
そういうことを女神様は懇切丁寧に教えておいてください。
「でも、残念だったな。過去の俺なら龍属性攻撃で倒せていたかもしれないが、俺はお前と同じ龍属性を持つ勇者をぶっ殺すため、この遺跡の謎を解き明かし、封印されていた魔本を手に入れて対抗策を覚えたんだ」
「そんなバカなっ!」
ミライが驚きの声をあげる。
「ここに高価な魔本があるなんてありえません! だって『ココニハゼッタイニナニモナ遺跡』なんです! この遺跡にはなにもないはずです!」
「だからそれはフラグだって言ったよなっ!」
まだそれ引きずってたんかい!
「まあ、普通はその女みたいに考えるだろうな」
カイマセヌが高らかに笑いながら自分の頭を指さす。
「しかし、その名前こそがこの遺跡の最高峰の防御システムだったのだと俺は気がついたのだ!」
自慢げに叫ぶカイマセヌ。
「な、なんですって!」
驚愕の表情を浮かべるミライ。
「ナ、ナンダッテー」
もうツッコむのも疲れたので、適当にあしらう俺。
「ははは! 俺は人間どもとは違って頭もいいんだよ。石碑の文字に、遺跡の名前、入ったときに聞こえる言葉、さらにはこの白い壁に描かれたいくつもの文字。この遺跡に張り巡らされた史上最高の防御システムの謎を解明するのに、この俺でさえも長い時間を要したが、なんとか正解にたどり着いたのだ!」
「まさか、あの文字すべてが、この遺跡の探索者を惑わすためのものだったなんて」
「ホント、シンジラレナイヨナー」
こんなもんの解読に長い時間かけてるあんたのバカさがね!
「俺様はお前らとは違って、頭脳にも長けている、高尚な人種なんだよ!」
じゃあ俺はもう神様レベルの天才ってことだな。
フラグだってすぐ見抜いたんだから。
「誠道さん。気をつけてください。この男、ものすごく頭がいいようです」
ミライさん。
気をつけてください。
あなた、ものすごく騙されやすいので、訪問販売がきたときは絶対に俺を呼んでください。
「今さら俺の恐ろしさを理解しても遅いんだよ。お前らはこの天才の天災悪魔、ピロードロー・カイマセヌにたてついたん」
「そんなもんどうでもいいんだよ!」
俺はカイマセヌに向かって突貫し、右手に宿った赤龍の拳を振りかざす。
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎上翔砲】」
おお、やっぱりかっけぇ。
こういうのを待ってたんだよ。
不敵に笑うカイマセヌの顔めがけて、俺は龍の力を宿した拳を伸ばす。
「だから無駄だっつってんだろ! 【減龍拳殺喰】!」
闇と見間違うほどの暗黒をまとったカイマセヌの拳と、真っ赤な炎龍をまとった俺の拳がぶつかる。
瞬間、轟音とともに爆風が吹き荒れ、俺もカイマセヌも互いに後方へ吹っ飛んだ。
「ぐっ……」
白い壁にぶつかって床にどさりと落ちる。
やっぱりすげぇなぁ。
この壁傷ひとつついてないや……じゃなくて、あの攻撃を防がれた?
「マジかよ」
カイマセヌの言葉ははったりではなかった。
俺の切り札に対抗できる手段をやつは持っている。
しかも、エネルギーを吸い取られたような感覚もある。
「誠道さんっ!」
心配そうな顔をしたミライが俺に駆け寄ってくる。
「大丈夫だ。これくらいなんでもない」
「ふははっ! ははははっ! こりゃすげぇ!」
俺が体勢を立て直していると、カイマセヌの笑い声が響き渡った。
「マジで龍属性の攻撃を防ぎやがった。これさえあれば、勇者なんかちっとも怖くねぇ! 嬲り殺してくれるわ!」
もう俺を倒したかのような発言が、本当に耳障りだ。
「まだ使い慣れてなくて若干ダメージはあるが、俺はラッキーだぜ。勇者と戦う前に、お前で滅龍魔法の練習ができるなんてなぁ」
こいつ、完全に俺を格下だと思ってやがる。
まあ、現状その通りだとは思うが。
「でも、今ならまだ」
間に合うかもしれない。
やつの言葉から判断するに、滅龍魔法をまだ完璧に使いこなせてはいないのだろう。
それに、やつは明らかに自分の力を過信している。
過信は油断につながる。
一回でいいから隙をついて、俺の【炎鬼殺燃龍奥義】をぶちかましてやれば、あいつを倒すことも可能だろう。
「ジャイアントキリングは格上の油断から巻き起こるって、相場は決まってんだよぉ! 【炎鬼殺燃龍奥義・炎舞龍夢】ッッ!」
俺の目の前に巨大な炎の龍が顕現する。
灼熱の暑さだ。
その龍が鋭利な牙を見せつけるようにして口を大きく開けて、唸り声をあげながら、カイマセヌへ突撃していく。
「だから、無駄だっつってんだろ。【破龍悪】」
真っ黒で巨大な盾がカイマセヌの前に出現し、炎龍とぶつかる。
ぶつかったところから炎龍は黒い煙となって消えていく。
「ふはははっ、無駄無駄ぁ! 龍属性が俺に効くわけねぇだろ!」
「その驕りがムカつくんだよ!」
「なにっ――」
俺は炎龍が消滅した瞬間に、カイマセヌの前に飛び出す。
炎龍が消滅するときに発生した黒い煙に紛れて接近していたのだ。
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎挫蹴龍】ィッ!!」
カイマセヌのみぞおち目がけて、炎龍の力を宿らせた膝をぶちかます。
ぶつかった瞬間鮮やかな炎が周囲へ飛び散る。
滅龍魔法を使う間もなく、カイマセヌは上空へ吹っ飛ばされた。
よしっ、ここからさらにたたみかける!
「まだまだぁ! 炎鬼殺燃龍奥義・炎舞龍――」
吹っ飛ばされたカイマセヌに向けて追撃の一手を放とうとしたそのとき、体中に猛烈な痛みが走った。
立っていられずにその場に倒れる。
生命力が空気中に流れ出ているようなそんな感じだ。
「黙れ。俺を怒らせたこと、後悔させてやる」
カイマセヌを睨みながら、拳に炎の龍をまとわせる。
すると、カイマセヌが感心したように目をわずかに見開いた。
「ほぉ、しかも龍属性攻撃まで使えるのか」
龍属性?
なんだそりゃ?
そういうことを女神様は懇切丁寧に教えておいてください。
「でも、残念だったな。過去の俺なら龍属性攻撃で倒せていたかもしれないが、俺はお前と同じ龍属性を持つ勇者をぶっ殺すため、この遺跡の謎を解き明かし、封印されていた魔本を手に入れて対抗策を覚えたんだ」
「そんなバカなっ!」
ミライが驚きの声をあげる。
「ここに高価な魔本があるなんてありえません! だって『ココニハゼッタイニナニモナ遺跡』なんです! この遺跡にはなにもないはずです!」
「だからそれはフラグだって言ったよなっ!」
まだそれ引きずってたんかい!
「まあ、普通はその女みたいに考えるだろうな」
カイマセヌが高らかに笑いながら自分の頭を指さす。
「しかし、その名前こそがこの遺跡の最高峰の防御システムだったのだと俺は気がついたのだ!」
自慢げに叫ぶカイマセヌ。
「な、なんですって!」
驚愕の表情を浮かべるミライ。
「ナ、ナンダッテー」
もうツッコむのも疲れたので、適当にあしらう俺。
「ははは! 俺は人間どもとは違って頭もいいんだよ。石碑の文字に、遺跡の名前、入ったときに聞こえる言葉、さらにはこの白い壁に描かれたいくつもの文字。この遺跡に張り巡らされた史上最高の防御システムの謎を解明するのに、この俺でさえも長い時間を要したが、なんとか正解にたどり着いたのだ!」
「まさか、あの文字すべてが、この遺跡の探索者を惑わすためのものだったなんて」
「ホント、シンジラレナイヨナー」
こんなもんの解読に長い時間かけてるあんたのバカさがね!
「俺様はお前らとは違って、頭脳にも長けている、高尚な人種なんだよ!」
じゃあ俺はもう神様レベルの天才ってことだな。
フラグだってすぐ見抜いたんだから。
「誠道さん。気をつけてください。この男、ものすごく頭がいいようです」
ミライさん。
気をつけてください。
あなた、ものすごく騙されやすいので、訪問販売がきたときは絶対に俺を呼んでください。
「今さら俺の恐ろしさを理解しても遅いんだよ。お前らはこの天才の天災悪魔、ピロードロー・カイマセヌにたてついたん」
「そんなもんどうでもいいんだよ!」
俺はカイマセヌに向かって突貫し、右手に宿った赤龍の拳を振りかざす。
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎上翔砲】」
おお、やっぱりかっけぇ。
こういうのを待ってたんだよ。
不敵に笑うカイマセヌの顔めがけて、俺は龍の力を宿した拳を伸ばす。
「だから無駄だっつってんだろ! 【減龍拳殺喰】!」
闇と見間違うほどの暗黒をまとったカイマセヌの拳と、真っ赤な炎龍をまとった俺の拳がぶつかる。
瞬間、轟音とともに爆風が吹き荒れ、俺もカイマセヌも互いに後方へ吹っ飛んだ。
「ぐっ……」
白い壁にぶつかって床にどさりと落ちる。
やっぱりすげぇなぁ。
この壁傷ひとつついてないや……じゃなくて、あの攻撃を防がれた?
「マジかよ」
カイマセヌの言葉ははったりではなかった。
俺の切り札に対抗できる手段をやつは持っている。
しかも、エネルギーを吸い取られたような感覚もある。
「誠道さんっ!」
心配そうな顔をしたミライが俺に駆け寄ってくる。
「大丈夫だ。これくらいなんでもない」
「ふははっ! ははははっ! こりゃすげぇ!」
俺が体勢を立て直していると、カイマセヌの笑い声が響き渡った。
「マジで龍属性の攻撃を防ぎやがった。これさえあれば、勇者なんかちっとも怖くねぇ! 嬲り殺してくれるわ!」
もう俺を倒したかのような発言が、本当に耳障りだ。
「まだ使い慣れてなくて若干ダメージはあるが、俺はラッキーだぜ。勇者と戦う前に、お前で滅龍魔法の練習ができるなんてなぁ」
こいつ、完全に俺を格下だと思ってやがる。
まあ、現状その通りだとは思うが。
「でも、今ならまだ」
間に合うかもしれない。
やつの言葉から判断するに、滅龍魔法をまだ完璧に使いこなせてはいないのだろう。
それに、やつは明らかに自分の力を過信している。
過信は油断につながる。
一回でいいから隙をついて、俺の【炎鬼殺燃龍奥義】をぶちかましてやれば、あいつを倒すことも可能だろう。
「ジャイアントキリングは格上の油断から巻き起こるって、相場は決まってんだよぉ! 【炎鬼殺燃龍奥義・炎舞龍夢】ッッ!」
俺の目の前に巨大な炎の龍が顕現する。
灼熱の暑さだ。
その龍が鋭利な牙を見せつけるようにして口を大きく開けて、唸り声をあげながら、カイマセヌへ突撃していく。
「だから、無駄だっつってんだろ。【破龍悪】」
真っ黒で巨大な盾がカイマセヌの前に出現し、炎龍とぶつかる。
ぶつかったところから炎龍は黒い煙となって消えていく。
「ふはははっ、無駄無駄ぁ! 龍属性が俺に効くわけねぇだろ!」
「その驕りがムカつくんだよ!」
「なにっ――」
俺は炎龍が消滅した瞬間に、カイマセヌの前に飛び出す。
炎龍が消滅するときに発生した黒い煙に紛れて接近していたのだ。
「【炎鬼殺燃龍奥義・炎挫蹴龍】ィッ!!」
カイマセヌのみぞおち目がけて、炎龍の力を宿らせた膝をぶちかます。
ぶつかった瞬間鮮やかな炎が周囲へ飛び散る。
滅龍魔法を使う間もなく、カイマセヌは上空へ吹っ飛ばされた。
よしっ、ここからさらにたたみかける!
「まだまだぁ! 炎鬼殺燃龍奥義・炎舞龍――」
吹っ飛ばされたカイマセヌに向けて追撃の一手を放とうとしたそのとき、体中に猛烈な痛みが走った。
立っていられずにその場に倒れる。
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