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第1章 5 新必殺技! そして、ミライは

新必殺技の名は

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「おめでとうございます。ステータス【魔攻】のレベルが40に到達しました。それにより新しい必殺技を習得しました」


 自室の床に寝そべって腹筋をした後、獲得した経験値でステータスをレベルアップさせたら、おなじみの天の声が聞こえてきた。

 経験値獲得のためにコツコツと引きこもりつづけ――なんかこの言い方だと、どれだけがんばっていてもサボっているように聞こえるんだよなぁ――ようやく新たな技をゲット。

 まだ二つ目ってのが非常に不満だけど、でも獲得できるだけましだと思わないとね。

 …………え?

 今覚えた技の名前はなにかって?

 ははは、聞いて驚くなよ。

 その名もなんと!


「【リア充爆発しろ】を習得いたしました」


「だから、ふざけんなよクソ女神がぁ!」

 俺はその場に崩れ落ちた。

「もうやだ。俺トレーニングやめる。現実見たくない。なにも知らない子供でいたい」

 ああ、なんかあのオムツおじさんの気持ちがわかった気がする。

 ほんと、現実は嫌になるね。

 無条件で甘えられる赤ちゃんになりたい。

「かしこまりました。誠道さん。それではまず服を脱いでオムツをはいてください。それからバブバブ言って私に甘えてください。侮蔑の眼差しで相手してあげます」

「もうすでにゴミを見るような目で見てるよね」

「まるで自分がゴミと同様な言い方ですね。ゴミに謝ってください」

「俺ゴミより下なの?」

「オムツをはいて赤ちゃんプレイする高校生がゴミ以上とでも?」

「返す言葉もございません。ってか冗談だから。本気じゃないから」

 あと本気で赤ちゃんプレイするような人には、その侮蔑の目はむしろご褒美になるからやめた方がいいよ。

「私だって今のは冗談ですよ。誠道さんのよさは、この私が一番知っていますから」

 ミライはそう言って優しい微笑みを浮かべてくれる。

 なんかちょっと恥ずかしいなぁ。

 顔が熱くなっていくのがわかる。

 ミライから目を逸らすと、こほんという可愛らしい咳ばらいの音が聞こえてきた。

「ではゴミみちさ……誠道さん」

「今言い直したよね? やっぱりゴミだと思ってるってことだ」

「とりあえず獲得した技を試してみませんか?」

「あ、ゴミみちさん無視されちゃったよ」

 まあでも、確認は大事だと思う。

 【リア充爆発しろ】は、

『対象に衝撃派を放つ。対象が自分よりリア充であればあるほど威力は増す』

 という技だと天の声が教えてくれたが、実際はどうなのだろう。

 ってか天の声に聞けば技の詳細を知ることができるの、俺知らなかったんだよね。

 その知識を教えてくれた聖ちゃんには感謝するけどさ、普通はそういうのも神様が教えてくれるもんじゃないの?

「誠道さん。攻撃技が加わったのはでかいですよ」

「そうだけど。でも魔物にリア充の概念なんかあんのかよ? それに、ここらへんにいるボッチのゴブリンよりはさすがにリア充だと思うぞ、俺」

「そうですか……ね?」

「なんで疑問形なんだよ」

「そんなことはさておき、さっそく使ってみましょう」

 ミライに押し切られる形で、俺たちは街の外に出た。
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