魔法少女のなんでも屋

気持ち

「ゴリラ？」
格ゲーのキャラというと、何を思い浮かべるだろう？
私のイメージは、マッチョのオジサンとか、色黒のお兄さんとかチャイナ服のお姉さん。
友達からパンダが出るやつがあるらしいという話は聞いていたが、まさかゴリラが出るとは。
「アイドルとゴリラの殴り合いって需要あるかなぁ？」
理事長から自己紹介PV 用と言われているのだが、なんだか自信がなくなってきた。
「よろしくお願いします。」
試合前には礼をする、ゲームとはいえ格闘技には変わりないし、これをやらないと落ち着かない。
「よ、よろしくお願いします。」
「あっ。」
「あ、どうも。」
ゴリラとはいえこれはゲーム、中身はちゃんと人間だ。
「なんかごめんなさい！」
ゴリラの人が殴りかかってきたが、反復横跳びの要領で避けて、突きを叩き込む。
［ぐぁ！」
「ああごめんなさい！」
殴っておいてなんだが、駆け寄ってしまう。
「オラァ！」
「うわ！」
足が頬を掠めた。
「ウオォ！」
「やああ！」
相手の懐に突きを入れる、自身も頬を殴られ吹き飛ぶ。
「ふー。」
こうしているとだんだん楽しくなってくる、相手も自分も本気で向かい合い気持ちが通じること、変わってると思われるかもしれないが、それはアイドルも武道も変わらないと思っている。
「やああ！」
やっと没入することができた、この人が本気なら、私も本気でやろう。