魔法少女のなんでも屋

撮影終わり

目の前には、巨大な騎士。
一方少年は、道着とメリケンサックのみ。
そして、フェンスと何語ともつかない怒号を響かせ、ギチギチに詰めかけるギャラリー。
「こいよ、闘ろうぜ？」
挑発に乗ったわけではない、騎士は淡々と剣を抜く。
「シッ！」
剣先が迫ろうとも、少年は動かない。
剣が鼻を掠める瞬間少年はしゃがんだ。
「！？」
騎士の股を潜り、肩に蹴りを当てる、体格差に関わらず、騎士は吹き飛んだ。　
「オラァ！」
体制を整え盾を構える。
「つってえ！」
剣が少年の脇を捉えるが、少年は剣の上に乗り、跳躍した。
「よっと！」
兜の側面に蹴りを当て、よろめいたところを突きを喰らわす。
「オラオラオラァ！」
騎士は倒れた。
,,YOU WiN,,
「よし、三十連勝達成です、ご視聴ありがとうございました！またな！」
カメラに向かってピースをする。
「ふいー、戻りましたよーっと。」
VRゴーグルを外し、伸びをする。
「お疲れ様でした、エイトさん。」
「おう、夢。」
メイド姿の少女の笑顔。
「そっちの撮影終わったのな。」
「はい、唐揚げです！」
「うわ、うまそ！」
お皿の上のカラリと揚がった幸せの塊を頬張る。
「んま！さすがメイドさん。」
「ありがとうございます！」
彼女の満面の笑顔は、いつだって嬉しいものだ。
「みんなでオバＱたちさんと潜る？」
「いいですね！」