魔法少女のなんでも屋

モブ乙

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海の王

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暗くて冷たい檻の中、みんな怖い顔をしていて、手を握ってくれる人はいない。
「ふえ、お姉ちゃん!」
「黙ってろ、食っちまうぞ?」
「ごめんなさい、静かにします、大人しくてます!」
牙の生えた魚に恨まれる、あの時と、同じだ。
,,よくも旦那様に楯突いたな!目をくり抜かれたいか?,,
,,怖かったね、お姉ちゃんいるから平気だよ、大丈夫だから,,
「ひっ、うう。」
「うっ!うう!マリン…」
妹が泣いている、閉じ込められて、本当はお姉ちゃんと叫びたいだろうにそんなことも許されずに。
「待ってて…今行くから、こわくないからね。」
「総督殿、人魚はいかがかな?」
鋭い目つきをした男が、水晶玉に映っている。
「何が人魚だ、人間ではないか。」
「落ち着かれよ、あれは人魚姫の子だ、貴殿の野望ため排除しておいて損はない。」
「正当なる海の王の子、くだらん。」
「ああ、たかだか魚を服従させる程度の力だ。」
男は大きく頷いた。
「神の使徒を名乗る貴殿も、海の力を恐れるか?」
「恐れているのではないさ、我が父の子供達を穢さぬよう、帝国の名において服従させる、神の奴隷としてな。」
男は道化のように全能者たる神の物語を語る、偽りの慈悲と祝福で、民を操ってきたのだ。
「海に神はいるか?」
「我が父こそ万物の王だ、全て見ておられる。」
「ふん。」
「いかがでしたか、陛下?」
「イカ野郎は神に怯えてるよ、くだらねえ。」
聖帝は嘲笑うように言った。
「まあ、あいつもいいように使ってやるよ慈悲幽き父は全てをお赦しになる、海賊でもな、俺の正義が神の正義だ!」
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