魔法少女のなんでも屋

憎悪

「アンタは王になれない、絶対に。」
アクアは吐き捨てた。
「何だとお、王になるべきは私だ、この海を支配するに相応しいのはこの私だ！」
イカロスが声を荒げる。
「支配、そう思ってるなら王様は無理だね。」
「何がおかしい！？死にかけの小娘が！」
腕が畝り弾を装填する。
「死にかけ、うん、私は死にかけてる。」
一呼吸おく。
「なら何で立ってるの？」
「黙れ！虫ケラがあ！」
発砲する、破裂音が耳を掠め、火薬の匂いが鼻をつく。
「外してるじゃん、怖いの？」
「ぐぁ、耳が！」
苦しそうに顔を歪める。
「貴様なぞ、海竜を持ってすれば！」
船に戻ろうと泳ぎ出す。
「やああ！」
隙をついて足を切り落とす。
「ぐぁ！？」
「私だって船長なんだよ！」
「貴様あ！」
足が動き出す前に、腹に溜まったものを吐き出す。
「血！？」
目を抑えて痛みに苦しんでいる。
「痛いの我慢して…はぁ、ようやくタイミングが来たよ！」
「図に乗るな小娘ぇ！」
「あぐう！？」
背中に激痛が走り、耳鳴りが鼓膜を満たす。
「小娘が！今度こそ我が餌にしてやる！」
黒い液体が顔にかかる、ひどい火傷のような痛みが広がる。
「あああ！」
「図に乗るな、人間族！」
体が締め付けられ、骨が軋み悲鳴を上げる。
「私が！私こそが王だ！」