魔法少女のなんでも屋

笑えるように

「袖まくって腕を噛ませてください、それで元気になりますから。」
「うす！」
「エイトさぁん！」
夢が抱きついた。
「大丈夫、俺ちゃんと帰ってくる。」
頭を撫でて、頬に触れる。
「ヒグッわかってるんです、クインちゃんの為だって…でも、でも私！」
「いいんだ、それで、寂しいって当たり散らしたって…そういうもんだよ人間って。」
「ふええ、私わかりません！この気持ちが、わかりません！」
「わかんないでいいんだよ、辛い時は泣いて、嬉しい時は笑ってさ、それでいい。」
「うええん！」
「だから俺は、二人とも笑えるように…気合い入れてやるよ！」
「クイン、俺のこと噛んでいい、だから、また笑ってくれよ。
「だめ、そんなことしちゃお兄ちゃんが…」
「無理しないでいい、素直に行こうぜ？もっと頼ってわがまま言ってくれていい、お嬢様ってしんどいだろ？せっかく自由になれるんだ、クインがやりたいことやれるように、俺のこと頼ってくれよ。」
「いいの？」
顔を歪め、ボロボロと涙をこぼしている。
「おう、一緒にひまわり見ような。」
「ありがとう。」
腕に噛み付いた。
「う！痛え！うぅ。」
「エイちゃん大丈夫！？」
「大丈夫っす、俺体力あるんで。」
油汗をかき、痛みに耐えている。
「うう、ぁ、ふう、元気になったらいろんなとこ行こう、海とか…欲しいものなんでもやるよ、ケーキ食べよう、ハァ、ハァ。」
意識が遠くなるが、歯を食いしばって立ち続ける。
「ずっと、寂しかったもんな、何回助けてもらっても、次には元通りだもんな、もう大丈夫、俺が…ずっと一緒にいてやるから。」
「ハァ、うう！」
「踏ん張れえいちゃん！」
梨流華が背中を叩いた
「あんたやるって言ったんだからちゃんとやんなさいよ！じゃないと引っ叩くからね！」
「ハァ、リルさんに引っ叩かれたら、倒れるわけにいかないっす。」
「ありがとう、もう平気だよ。」
「あ、そう？よかった、ホントに俺嬉しいよ、あー前見えねえ。」
エイトは倒れ込んだ。