魔法少女のなんでも屋

贄

「俺の…役目？」
「ええ、贄よ。」
「贄って生贄！？」
事態を好転させてくれそうな感じで出てきたお姉さんが物騒なことを言った。
「まぁ、生贄とも言えるけれど、要は神の加護を受けるために対価としてあなたから差し出してもらわなきゃいけないのよ。」
「神？カゴ？」
混乱して全く話が入ってこない。
「すいません、俺から説明しますんで。」
隣の男が言った。
「その子、神様なんですよ。」
「え、いやこいつゲームの…」
「まぁそれは間違いじゃないんすけど、神様になっちゃったんですよ、あなたが愛情を向けるから。」
「ええ！？俺が？」
「じゃあエイトさんも神様なんですか！？」
夢も混乱している。
「いや、ぶっちゃけただの人間でも作れちゃうんです、付喪神。」
「つ、つくも？」
「人間が作った人工物でもね、愛着とか強い想いを向けると、魂が宿って神様になるんすよ。」
「ええ？」
「エイちゃん聞いたことない？トイレの神様とかさ。」
梨流華が言った。
「あーばあちゃんが…」
「八百万の神々っていうくらいなんで、神様ってどこにでもいるし、新しく生まれます、その子はもうゲームのキャラじゃなく、立派な神の一柱です。」
「そう、なんすね。」
「そしてその子は生まれたてなのにあなたに力を与えてしまった、これが問題です。」
一呼吸置く。
「もともあなた一人の想いから生まれた神なので、それほど強い力は持ってません、なので今体調を崩してる。」
「どうすれば…」
「あなたが贄となり、血を捧げる事、これしか方法はないです。」
「血…。」
「ここはゲーム内なので、実際にはあなたの生気を吸い取ります。」
「そんなことして…エイちゃん大丈夫なの？」
梨流華が泣きそうになっている。
「どれくらい体力を吸われるか正確にはわからないですが、そうしないとこの子は治りません。」
「俺、やるよ！」