魔法少女のなんでも屋

反逆

,,整合性を維持せよ,,
サーバーの管理システムに与えられた、最も優先される命令。
ドラゴンアドベンチャーの世界があるべきゲームとしての形を維持するよう、バグを修正する。
修正し、維持する、機械仕掛けの神は、世界のため無情にこれを実行する。
「な？甘いのうめえだろ？」
「う、私…」
整合性を維持せよ、修正せよ。
人狼たちは銃を構える、世界を維持せよ、バグを修正せよ。
矛盾を、排除せよ。
少女たちを守ったのは、スライムだった。
「逃げましょう！」
ゾンビも人狼も、果てはヴァンパイアまでもが、シナリオを無視し動き出す。
整合性を維持せよ。
しかし、世界は気まぐれに、舞台上の役者たちを振り回す。　
甘美でありながら、定められた理を自ら放り投げる世界の気まぐれ。
,,奇跡,,
少女は、舌を噛んだ。
「何してんだ！おい！」
そして、エイトにキスをした。
電子の少女は、少年を愛した。
与えられたシナリオではない、少年の想いは、定められた運命を生きる少女に選択を与えた。
人の手で作られようと、想いを向けられば魂は宿る、昔から人々は、それを付喪神と呼んだ。
一つのプログラムに過ぎなかった少女は愛を受け、付喪神となった。
私は飛べないし、お母様やおじさまたちみたいに戦えない、でも…
,,血を分けた人は、同じ吸血鬼になる,,