魔法少女のなんでも屋

おじーちゃん

「このかんざしは売れるか？」
「五百Gになります。」
「ほう、持ち物が売れるのか。」
昔人間の娘にもらったかんざしが売れた、妖怪にやるのも惜しいが自分は着けないので、扱いに困っていたのだ。
「ふう、それにしても、懐かしいのう。」
人間の家に上がり込み、ファミコンやら64やら色々とやって、こういう異世界ものも知っていたが、まさか中に入れる日が来るとは。
「妖怪とは付き合いが長いが、魔王とは顔を合わせたことがない。」
異界で魔王と呼ばれていた娘は知っているが、あれは人間だ。
「世界の半分をもらって見ようかのう。」
「だめです！」
「娘っ子！」
「ムギって呼んでください！」
「坊主はどうした？」
「ご主人様いないんです~！」
「泣くな、手持ちが少ないが、菓子を買ってやろう。」
孫はいないが、孫のようなものはいる、長く相談役としてやってきたからだろう。
「こいつに飴玉をやってくれ。」
手持ちの五百Gを払って飴を買う。
「きれい！」
飴を陽にかざして喜んでいる。
「良かったな。」
「お！むぎむぎ！」
「お姉様！」
娘っ子が走り出す。
「これ、転んでも知らんぞ。」
「はい抱っこ！」
「わーい！」
魔王に抱っこされ、頬を擦り寄せる。
「おい、年寄りを置いていくな。」
「ぬらりのおっちゃんが飴あげたの？」
「ああ。」
「おじーちゃんしてんね。」