魔法少女のなんでも屋

合理性と私情

「ふーむ。」
理事長が髭をしきりに撫でている。
生徒会長は、理事長が何を考えているかを察していた。
「理事長、一つお聞きしても？」
「なんだね？」
「なぜ彼らに初音様を？」
理事長は顔が広く、霊能力者の知り合いもいる、霊能力の制御訓練なら、適任はいくらでもいただろう。
「桑島君じゃ。」
「桑島？」
「彼女はとても優しい子じゃ、初音も懐くと思うての。」
「なるほど。」
「それに明るい、初音はどうも遠慮がちというか、あまり元気な性格ではない、無論無理に明るくならずともよいが、我慢をさせることが多かったからのう、桑島君と一緒に過ごして、少しでも穴が埋まれは良いと思うての。」
「珍しいですね、慎重にご判断されると思っていたのですが。」
「よく言うわい、キミも桑島君に肩入れしておるじゃろう。」
「私は桑島に個人的な感情は持っていません。」
「では、あの予算は何じゃ？」
「何のことですか？」
「軽音部の部費を増額したじゃろう？あそこは今度の学園祭でアイドル部のバックバンドをやるはずじゃ、いつも慎重なキミにしては思い切ったじゃないか。」
「我々生徒会の仕事は、生徒が健全に生活できるようにすることです、ライブの質を上げることが
生徒たちの疲れを癒すと判断したまでです。」
「キミは硬いな、素直に彼女達の歌が好きだといえばいいじゃろう。」
「俺は私情で権限を行使することはありません。」
「,,俺,,か、君焦っとるな？」
「うっ！」
「ふあっはっはっは！」