魔法少女のなんでも屋

口裂け女

「寝れねえか？」
助六さんの優しい声がする。
「ごめんなさい。」
「おめえは悪かねぇ、安心しろ、怖えヤツはここにはこねえよ。」
「…」
頭にポンと手が置かれる。
「なでなで、て…柄じゃねえな。」
「うんう、嬉しい。」
「そっか。」
「眠い…」
「おやすみ。」
「妹がいたら、こんな気分なのかねえ。」
助六は天井に向かってつぶやいた。
「面倒なのが入り込みやがったな。」
勢いをつけて上半身を起こす。
「鬼が悪者退治ってのも、悪かねぇだろ。」
壁に立てかけてある金棒を取る。
「行くぜぇ、相棒！」
階段を降り、裏口から外に出る。
「桃太郎さん…じゃねえな。」
白い服の女、顔色が悪い。
「私、キレイ？」
「ああ、キレイだよ、お嬢さん。」
「これでも？」
女がマスクを外す、口が耳元まで裂けている。
「私と同じにしてあげる♡」
「そりゃ遠慮してえな。」
「キャハハ！」
巨大なハサミが大量に飛んでくる。
「オラァ！」
金棒を振るうと、ハサミが潰れた。
「俺ぁ、こわーい鬼さんだ。」
女との距離を詰め、顔面を殴ろうとする。
「キャハハハハ！」
女が上半身をのけ反らせる。
「ぐっ！」
「顎を蹴られる。
「フフ！」
ハサミが腹に刺さった。