魔法少女のなんでも屋

モブ乙

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誰かの声

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あー、血出てるよ、死にたくねー。
ずいぶんとのんびりした思考に、自分でも驚く。
失血で頭が回っていないせいだろう。
俺は今、騎士の人形に貫かれ死にかけている。
友人を庇った結果だ。
よくわからないが、まだ意識もあるし、体も動く。
ならばコイツを何とか倒そう、勝算はないがこのまま死んだら次は白鳥さんが狙われる。
「うおお!」
剣を持ち、渾身の力で押し戻す、こういう時には刺さったものを抜かない方がいいと聞いた気もするが色々考える余裕はない。
「うおらあ!」
騎士を放り投げた、火事場の馬鹿力というやつだろう。
「あー。」
その場にへたり込む、何だか目も霞んできた気がする、ヤバいかもしれない。
「マスター、マスター!」
「白鳥さん、俺はいいから…逃げ…」
「やだ!」
,,白鳥さん、やだとかいうんだ,,
彼女は人見知りで歳が近い俺にも敬語だった、何だか意外だ。
「絶対、死なせないもん!」
お姫様抱っこされた、当たり前だが人生初。
「俺のこと…すき?」
「大好きですよ!」
白鳥さんの顔は涙でぐちゃぐちゃだ。
「そし、たら…いい人生だったかも…」
「バカ言わないで!」
「ごめん、でも…笑ってよ、俺、最後は…」
「最後とかいうな!バカ、元気になって、また笑ってください…じゃないと許さない!」
俺はとても愛されていたようだ、女子との交友関係は半ば諦めていたのだが、ここまで言われたら、何とか生きてみよう。
方法などないが、とにかく意識を保たなければ。
「あのさ、俺、カレー好きなんだ…また作ってよ。」
「うん、いっぱい食べて。」
白鳥さんが笑っている、胸が暖かくなる。
,,あなたたちはいい人,,
ん?誰か喋ったか?
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