ボクっ娘と陰キャお兄ちゃんが魔法少女と一緒に義理の妹のscpを取り返しに行く話

髪

その人は、ボクと良く似た人だった。同じような長さの黒髪、同じような背格好、鏡を見てるみたいだった。
目が青いことを除けば、お兄でも見分けがつかないだろう。
だけど、疲れた顔をしていた、お父さんとうまくいっていないのだろうと思った。
ボクの家族はお兄だけだ、きっとこの人の家族もお父さんだけ。
苦しかった、たった一人の家族が、自分を見てくれないなんて。
だから家出しようと誘ってみた。
その子は、私と良く似ていた、王国に黒髪の人は私だけだと思っていた。
父には妻がたくさんいる、私は母にあったことがない、正妻ではないから。
けれど珍しい黒髪を気に入った父が私を姫にした。
「その美しい髪を伸ばしなさい、姫として美しくあるのだ。」
父のことが嫌いだ、父にとって私は姫、王家の血、それだけ。
父の命令で伸ばした髪が嫌いだった、だが好きになれそうだ。
「ねえ、貴方名前は？」
「ミヤだよ！」
「いい名前ね、何だか妹みたい。」
「ボク達そっくりだもんね。」
「ええ、貴方を見てると、この髪方も悪くない気がするわ。」
「髪？」
「父に言われたの、姫として美しい髪を伸ばせって。」
「何それ！？」
「あら、怒ってくれるの？」
「怒るよ、子供を物みたいに！」
「私もヤ！」
金髪の女の子が言った。
「優しいのね、貴方の名前も聞きたいわ。」
「ニナ！」
「珍しい名前ね、この国の命名法とは違う。」
「お兄ちゃんにもらったの！」
「あなたたち、北部で生まれたのよね？もしかして開拓移民の家系なの？」
「いや、ボク達別の世界から来たの。」
「ええ！？」
変な声が出てしまった。
「ごめんなさい、そういう魔法があるのは知っているのだけれど、本当に召喚者がいたなんて…」
「うーん、魔法みたいなもんだけど、ちょっと違うの、悪い奴らに巻き込まれちゃって。」
「悪い奴ら？」
「この子が狙われてるんだ。」
ミヤちゃんが顔を伏せた、ニナちゃんが手を握る。
「ねえ、隠れ場所が必要なら心あたりがあるの。私の…故郷。」