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隣にいるために

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ユイトは悩んでいた、最近ミヤが朝いつも汗をかいて起きてくるのだ。
あいつ昔からうなされたら寝汗かいてたよな、あいつのことが心配なんだよな。
scp289と呼ばれ、財団に管理されていた少女。
ユイトたちは289を妹と呼んで共に暮らし、再収容の為にやってきたジャックブライトに勧誘され、専任職員として長い間共に暮らした。しかし、何者かにより289は連れ去られた。だが、元はといえば自分の不注意だと、ユイトは負い目を感じていた。兄としてできることをしてやりたい、だけど魔法が使えない俺ははあいつの隣に立ってやれない。いや…待て、俺もも聖霊と契約したらいいんじゃないか?
「ほお、聖霊と契約したいのかい?」
「はい、ミヤを楽にしてやりたいんです。」
「なら森にでも行ってみるといい、自然がある場所なら聖霊は大体いるからね。」
「ありがとうございます、ホムラさん。」
「まあ、今日の内に契約できなくても、思い詰めることはない。彼らは気まぐれだからね。」
「でも一人で行くのは危険かもしれないから梨流華と一緒に行ってくるといい。」
「え?」
「その…ありがとね、ついてきてくれて。」
「大丈夫ですよ、私も男の人とデートしてみたかったし。」

「で、デートォ!?」
「冗談ですよ、緊張ほぐれました?」
「え?」
「怖がってたら聖霊も寄ってきませんから。」
「そうなんだ。」
「好きなアニメとかあります?」
「へ?」
「いや、お兄さん魔法使えるようになってミヤちゃんと一緒に戦いたいんですよね?妹さん取り返すために。」
「うん」
「じゃあ、戦い方考えるのにアニメの主人公とか参考にした方がいいですよ、イメージ湧くでしょ?」
「ああそっか。」
「うーん、あの~あれいいなあれでもあっちも…」
「まあ、ごゆっくり。」
突然梨流華が足を止めた、前を見ると空間が歪んでいる。時空間異常だ。
そして中から緑色の生き物が出てきた、二足歩行だが人間ではない、アレはRPGで馴染みのある…
「ゴブリン?本物?」
「ぼーっとしてないで、逃げますよ!」
「逃げるの!?倒すんじゃなくて?」
「あいつらすばしっこいんです、大体群れで襲ってくるし、何よりキモい!」
「ええ」
手を引かれるので逃げながら後ろを振り返ると、いつの間にか群が追ってきていた。
「いやー来ないで、こっち来ないで!」
梨流華はゴブリンがよほどいやなのか火球を撃てなくなってしまっている。
アベルと戦ってたじゃん!といいたくなるが、アベルの容姿がそイケメンと呼べるものだったのに対し、ゴブリンたちは人間に例えると小太りのおっさんである。緑色のおっさんが大勢で迫ってくるのは女子にはきついだろう。
俺がなんとかしないと、聖霊さんお願いします!
「私も女の子が襲われるのは見たくないから、手伝ってあげるわ」
「ありがとうございまぁっす!」
ユイトは今まで生きてきて一番大きいであろう声で返事をした。そして…
「おーまーえーらー、美紅さんに触るなー!」
木の根を操り、ゴブリンを締め上げた。




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