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二十四章 毒の器奪取作戦
159 動き出した事態
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「ーーそうですか。陛下、いえ、シャルス様がレグルス国王の王配に。では私も騎士としてついて参ります。シャルス様の側近ですから」
一連の話をした後、そうおっとりと告げながら、ミカエルが我が子であるラビに乳をやっていた。ラビはなんというか、可愛さが師匠に似ている。淡い金髪に青銀みたいな澄んだ湖の色の瞳が違うのだが、セネカ寄りあざとさがない、すこぶる可愛い男児の赤子だ。
「――可愛いでしょ、僕らの子。あれ、どこを見ているの?」
ラビを見ているはずが、ついついミカエルの乳を見てしまう。
相変わらずでっかい乳がさらに爆乳となっていて、ラビが埋まってしまいそうだなあ……。
アーネストもなんとなく服の上からは見慣れてはいるものの、何度見てもでかい瓜みたいな乳のある、そしてなかなかのデカさの男性器を持つ(のは僕もアーネストも見てしまっている)違和感たっぷりの美女めいた男性ミカエルの胸に注目してしまっていた。
「ったくぅ、ミカちゃんの胸は僕のだからねー。ーー今はラビちゃんのだけどさあ」
とセネカそう言って唇を突き出した。
「そうそう!もちろん、僕とラビちゃんもレグルス王国に行くよ。僕はレグルス王国の腹実への蛮行を許していないし、そんな貴族は裏で暗殺していくから。腹実の出産をショーにしてるなんて許せないよ。それにね、メーテル商会として便利魔道具を普及してシーちゃんを助けるんだからね」
ソファで足を組んでいるセネカは、当たり前だと言わんばかりに告げる。
父様にはシャルスが譲位後にレグルス王国に行くと密かに知らせた。すると鉄道の延長を即座に決めて、鉄道管理会社のあるラメタル王国のジェス殿下と契約して、魔石を組み込んだ線路と横かまちをガルドバルド大陸へ発注していた。
ツェッペリン領は水を得た魚の如く父上が大活躍だ。母様も大満足していると、屋敷に様子を見にいったアズールが話してくれた。
「シャルスを囲むメンバーは決まったな」
そのまま僕らの目がアーネストへと向けられる。
そうだねと僕らの空気を察したアーネストがまだ子供らしい声で
「では」
と早速切り出した。
「まずは俺とノリンとセネカで、レーダー公の屋敷周辺の貴族街の視察に向かう。宿は一応あった方がいいだろう。セネカ、メーテル商会で取ってくれ。今回はグレゴリーを置いていく。ホープは最終局面で必要になるだろうが、しばらくはシャルスのマナ補給に徹してもらおうと思う」
アーネストは軍事的なやり取りの時のように話していて、僕は戦争時のアーネストの口調を思い出して肩をすくめる。
「どうやらホープの側近の騎士が潜入しているようだが、レーダー公の屋敷は地下で魔法省と繋がっているらしい。そこへ入り込むのは難しい」
「そのために『ランカスターの亡霊』がいるんでしょ」
セネカがふんって鼻を鳴らして、親指を突き立てた。
アーネストが、
「ああ。出来るか?」
と肩を竦める。あの時よりアーネストは身体が小さいからね。しかも、レーダー公はランカスターがアーネストだって分かっているのに?
「レーダー公は俺が死んだと思っていない。表向きは死んだと言われているが、王位を奪われて廃位させられたくらいにしか考えていないだろう。他の奴らはアーネスト・ランカスターがレーダー公の手下として、セネカの変幻陣で入り込めば問題なかろう」
そこで確認のために僕に目を向けてきたから、僕は頷いた。
「潜入してすぐにホープの部下に接触する。奴らには連絡が出来ているらしいから、問題がないだろう。だが、『毒』まで辿り着けてはいないらしい」
いつの間にそこまで話したんだよ。つまりはオーガスタの死体はまだ見つけられていないってことなんだな。
日時が決まり、僕らは外に待たせていた第二近衛隊のマッチョたちが待っていた。ちなみにザクセンとルーザーではない。何故だろう、第二近衛隊がどんどんマッチョ化していくのは。アーネストが剣の練習と称してボコしたのが、マッチョ化の一旦になっていないだろうか?
「俺じゃない」
あ、口に出ていた?
玄関でミカエルが
「私はシャルス様の侍従騎士として戻ります」
と話す。産休育休はおしまいか。
「了解した。最終局面までホープの護衛を含めて頼むぞ」
アーネストが小さな声で呟き、終了となった。
近衛隊は動かせない振りで、グレゴリーはそのまま。僕らだけで動くのだ。
子供部屋に戻ると、シャルスとホープが何やら話していて、シャルスはすごく可愛い顔をしていた。その笑顔を僕は守りたいし、守らなくてはならないと思う。
シャルスも僕への気持ちが『敬愛』であり、僕への『慈しみ』の気持ちがあったことも話してくれた。僕は僕の気持ちを話すことができなった。僕はシャルスを大切だと思っている。アーネストとメリッサの大切な一人息子、王太子で陛下でーー
だからこそ、シャルスの進む道は綺麗にしておきたい。
アーネストも同じ思いだ。毒を制したら、レグルス王国の膿を掻き出すつもりだった。
一連の話をした後、そうおっとりと告げながら、ミカエルが我が子であるラビに乳をやっていた。ラビはなんというか、可愛さが師匠に似ている。淡い金髪に青銀みたいな澄んだ湖の色の瞳が違うのだが、セネカ寄りあざとさがない、すこぶる可愛い男児の赤子だ。
「――可愛いでしょ、僕らの子。あれ、どこを見ているの?」
ラビを見ているはずが、ついついミカエルの乳を見てしまう。
相変わらずでっかい乳がさらに爆乳となっていて、ラビが埋まってしまいそうだなあ……。
アーネストもなんとなく服の上からは見慣れてはいるものの、何度見てもでかい瓜みたいな乳のある、そしてなかなかのデカさの男性器を持つ(のは僕もアーネストも見てしまっている)違和感たっぷりの美女めいた男性ミカエルの胸に注目してしまっていた。
「ったくぅ、ミカちゃんの胸は僕のだからねー。ーー今はラビちゃんのだけどさあ」
とセネカそう言って唇を突き出した。
「そうそう!もちろん、僕とラビちゃんもレグルス王国に行くよ。僕はレグルス王国の腹実への蛮行を許していないし、そんな貴族は裏で暗殺していくから。腹実の出産をショーにしてるなんて許せないよ。それにね、メーテル商会として便利魔道具を普及してシーちゃんを助けるんだからね」
ソファで足を組んでいるセネカは、当たり前だと言わんばかりに告げる。
父様にはシャルスが譲位後にレグルス王国に行くと密かに知らせた。すると鉄道の延長を即座に決めて、鉄道管理会社のあるラメタル王国のジェス殿下と契約して、魔石を組み込んだ線路と横かまちをガルドバルド大陸へ発注していた。
ツェッペリン領は水を得た魚の如く父上が大活躍だ。母様も大満足していると、屋敷に様子を見にいったアズールが話してくれた。
「シャルスを囲むメンバーは決まったな」
そのまま僕らの目がアーネストへと向けられる。
そうだねと僕らの空気を察したアーネストがまだ子供らしい声で
「では」
と早速切り出した。
「まずは俺とノリンとセネカで、レーダー公の屋敷周辺の貴族街の視察に向かう。宿は一応あった方がいいだろう。セネカ、メーテル商会で取ってくれ。今回はグレゴリーを置いていく。ホープは最終局面で必要になるだろうが、しばらくはシャルスのマナ補給に徹してもらおうと思う」
アーネストは軍事的なやり取りの時のように話していて、僕は戦争時のアーネストの口調を思い出して肩をすくめる。
「どうやらホープの側近の騎士が潜入しているようだが、レーダー公の屋敷は地下で魔法省と繋がっているらしい。そこへ入り込むのは難しい」
「そのために『ランカスターの亡霊』がいるんでしょ」
セネカがふんって鼻を鳴らして、親指を突き立てた。
アーネストが、
「ああ。出来るか?」
と肩を竦める。あの時よりアーネストは身体が小さいからね。しかも、レーダー公はランカスターがアーネストだって分かっているのに?
「レーダー公は俺が死んだと思っていない。表向きは死んだと言われているが、王位を奪われて廃位させられたくらいにしか考えていないだろう。他の奴らはアーネスト・ランカスターがレーダー公の手下として、セネカの変幻陣で入り込めば問題なかろう」
そこで確認のために僕に目を向けてきたから、僕は頷いた。
「潜入してすぐにホープの部下に接触する。奴らには連絡が出来ているらしいから、問題がないだろう。だが、『毒』まで辿り着けてはいないらしい」
いつの間にそこまで話したんだよ。つまりはオーガスタの死体はまだ見つけられていないってことなんだな。
日時が決まり、僕らは外に待たせていた第二近衛隊のマッチョたちが待っていた。ちなみにザクセンとルーザーではない。何故だろう、第二近衛隊がどんどんマッチョ化していくのは。アーネストが剣の練習と称してボコしたのが、マッチョ化の一旦になっていないだろうか?
「俺じゃない」
あ、口に出ていた?
玄関でミカエルが
「私はシャルス様の侍従騎士として戻ります」
と話す。産休育休はおしまいか。
「了解した。最終局面までホープの護衛を含めて頼むぞ」
アーネストが小さな声で呟き、終了となった。
近衛隊は動かせない振りで、グレゴリーはそのまま。僕らだけで動くのだ。
子供部屋に戻ると、シャルスとホープが何やら話していて、シャルスはすごく可愛い顔をしていた。その笑顔を僕は守りたいし、守らなくてはならないと思う。
シャルスも僕への気持ちが『敬愛』であり、僕への『慈しみ』の気持ちがあったことも話してくれた。僕は僕の気持ちを話すことができなった。僕はシャルスを大切だと思っている。アーネストとメリッサの大切な一人息子、王太子で陛下でーー
だからこそ、シャルスの進む道は綺麗にしておきたい。
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