国王親子に迫られているんだが

クリム

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二十二章 黒ローブの謎

146 隣人は変態でした

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 お披露目が無事に終わった。結果的にはカモンに助けられた形になるのだが。アーネストの手に戻った魔剣ロータスはとても良い剣で、アーネストが戦闘狂になるような要素は見られなかった。

 王太子として一階の子供部屋を整備することを話したのだが、アーネストは嫌がって卒乳した代わりに、その、まあ、あれだ。アズールとレーンに喰わせていた時に、せ、性器を吸われました。

 我慢できるタイプでもなく、アーネストの口に……。

「ちょ、ちょっと、アーネストっ!は、吐き出して」

 アズールに喰われていて身動き取れない僕の懇願にもけろりとしていて、

「オーガスタのは甘くていいな。しかもマナが沁みる」

と言われてしまい僕は不思議に思ったのだが、こんな時はなんだか頭が働かない。だから僕はアーネストのそんな行為を受け入れてしまっていた。

 ダメなやつと笑ってくれてもいい。でも、僕はアーネストが生きていてくれて嬉しいのだから仕方ない。もちろんシャルスとの伴侶仲もいい。週末に一度抱き合うそれは、気持ちが良くて下腹が温まる。

 回数が満ちれば腹実が出来ると、アーネストは話していたし、シャルスのマナが僕の腹実に定着するのはリアルな回数だから伏せておく。

 シャルスは『チーム・シャルス』と政務をすることにより、近代化を含めた平民の生活は一気に向上し、シャルスは最先端の文化を受ける『実験』も買って出ている。

 つまりシャルスくらいのマナで起動させられれば、平民にも扱えるだろうとの基準なのだけれど、それは父様がやればと思ったのだが、『ロイヤルワランティ』とかなんとかセネカが言っていたな。シャルスが使用しているその事実を盾に売り捌くのだとか。さすが闇?の商売人だよ。

 不意に思い出した黒ローブとセネカを結びつけ、メンテナンスに出していたグランドシーカーを回収しようと思い、朝食の時にシャルスに話した。

「シャルス。僕、ミカエルの屋敷に行きたいのだけれど、いいかな?」

「父上、僕も行きます」

 くっ、アーネストの声が可愛い。シャルスが、頭を撫でるそのシャルスも可愛い。

「隣の離宮だから構わないですよ。ミカエルの様子も教えてください。母上を頼みましたよ、アーネスト」

 ミカエルは腹実の出る月になったので、いわゆる腹実休暇みたいなのを取っている。実は三ヶ月前はマナ酔いで半月程休んだ経緯があり、マナの力量がひどい酔いを生むのだと知り、とりあえず差し入れに魔の森の木の実入りのザクザククッキーを持っていくことにした。

 昼食後シャルスと別れ、ザクセンとルーザーを従えるとアーネストと二人で離宮だった小さな屋敷に向かう。アズールは魔の森へ狩りに、レーンはシャルスのお茶係だ。

 僕らは趣きの変わり華やかになった離宮、もとい、メルク公爵邸に足を踏み入れて、数秒ほど沈黙した。

 なにしてるの、お前たちは。

 玄関に全裸の人がいた。

 しかも二人。

 身体の一部がくっついている。

「……なんか、妙にデカい腹だな」

 アーネストがしみじみ呟いたのを聞いて、僕は少し距離を開け背後にいたザクセンとルーザーからクッキーを掻っ攫うと、扉を思いっきり閉めた。

 どちらにしても公爵とラメタル王族の屋敷には、二人は許可なくして入ることが出来ない。

 悦に浸っていたミカエルは扉の音に悲鳴を上げて硬直して、ついでに精を溢れさせ痙攣しているし、巨乳に妙にでかい下腹を揺らしていた。

「あれ、二人とも」

 セネカは可愛い顔に似合わない立派な性器をミカエルから出すと、にっこり笑いかけた。反省の色はないらしいな。

「……お前らさあ、少なからずここは王宮の一部だ!なんだよ、裸族か?あちこちでくっついているな!」

「…………王配殿下、これはその、マナ酔い対策といいますか腹実にマナの栄養を。え、ええ、はっきりおっしゃってくれてかまいません。でも、これは腹実にマナを……」

 ミカエルはもじもじしながらふりふり。

「『リンク』は露出性癖か?オーガスタ」

とアーネストがズバリ聞いてくるから、

「露出好きはセネカだ。ミカエル、服を着てくれないかな。アーネストには刺激が大きい」

そう話すと、きゃあああとミカエルが部屋に駆け込み、セネカは肩をすくめる。その後ろに家令の姿で、セネカにもガウンを持って寄越した。

 それにしても乳房も下腹も大きすぎて、性器の存在をうっかり忘れるところだった。

「あれだけ腹実がデカいと、出すのが大変だな」

 幼い王太子殿下の口調にはありえない言葉を吐き出したアーネストに、

「アーちゃんは黙ってて。大変だよねえ、うん、大変だ。ミカちゃん苦しくて泣いちゃうかも」

 おい、お前、わざとか。ドSだな、まじで。

 獣族で巨人の血も小人の血も引いているセネカだから、どんな腹実がミカエルから出てくるやら。とりあえず、メイザースにも話しておくべきか?お抱えの医師だけでは対応し切れないだろう。

 明るく白い壁に変わってレースのカーテンが引かれた居間に通されて、白い革張りのソファに腰掛ける。

 お茶はミカエルの入れの老メイドが入れてくれ、アーネストが手渡しして差し入れたクッキーもさっそく出されていた。

 少しの間三人で無言のままお茶を飲んでいたが、アーネストが不満げに、

「ミルクと砂糖が入っていて甘い」

とあきらかに一人だけ色が違うお茶に顔を歪めた。

 可愛いのだから仕方ないではないか。つい最近まで乳を飲んでいた子供の匂いを、老齢のメイドは嗅ぎ取ったのかもしれないな。

 痴態を繰り広げていたセネカはすましたもので、

「で、どうしたの?二人で来てさ。久々に旧友トークでもしたくなった?アーネスト、オーガスタ。貴族の家に先触れもなしにどうしたの?」

なんて言い放つ。

 あ、そうだよな。普通、アズールかレーンに伝令を頼んでから僕らが赴くのだが、すっかり忘れていた。

「王族が入っていけない場所はない」

 生まれてずっと王族のアーネストが言い放つのだが、セネカだって王族だ。

 しかし、セネカはアーネストと会うのは初めてなのに、やっぱり分かったみたいで、

「分かってしまうのだなあ」

なんて呟いてみた。

「当たり前じゃない。マナもオドも見た目も同じなんて、もはやアーちゃんしかいないじゃない?」

 その返答に僕は軽く息を吐いた。もう参ったよ。記憶を取り戻したのを、もっと早くに話しておけばよかったなあなんて思ってしまう。

「まあまあ、オーちゃんのうっかりはいつものことだから。で、何かあったの?」

「あ、ああ、メンテナンスに出していたグランドシーカーを寄越してくれないか。調べたいことがある」

 すると恐る恐るって感じで真っ白なドレスに身を包んだミカエルが部屋に入り、お姫様よろしくセネカの横に座る。下腹が目立たないとはいえ、白肌に白、部屋も服も白かよ。白好きなのは、ミカエルか。

「先程は失礼しました……」

 あの変態チックなプレイはマナを高めるためだとかなんとかセネカが言っていたが、どうなんだろうなあ。恐らく、セネカの趣味だ。あの恥ずかしがっているミカエルの顔を見たいからそうしているのだろう。その美少年顔は澄ました表情をして、箱を取り出した。
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