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二十一章 こんにちは、赤ちゃん?
142 お披露目の日取り
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「ノリン、どうかしましたか?」
僕が叫んでもんどりを打っていたら、午後の休憩で珍しく戻ってきたシャルスの声に掛布を剥いだ。
「シャルス、そのっ……」
アーネストが自身の唇に人差し指を立てていて、沈黙を意味している。シャルスには話すなと言うことだが、僕は恥ずかしくてたまらなくてベッドの端に座り込んだ。
「どうしたのですか、アーネスト?」
嫌な予感を覚えて、シャルスにとことこ歩いていく方向に目を向けてみると、シャルスに両手を差し出して抱っこの仕草を初めてしたアーネストが
「父上」
とかなり高い声を発してシャルスに抱きつく。
「ーーアーネスト、話せるのですか?」
シャルスがこの背格好だったのは、確か生まれて一年くらいだったかなと思うと、シャルスはマナがそこそこあったんだな。マナが合わなくてアーネストが乳をやっていたこともあるし。でもさ、かなり片言だった。
アーネストは僕同様おっさん時代の記憶を持っている。僕と違いアーネストは生まれる前からで、当然、喃語なんてわざわざ話す必要はない。声帯が機能していれば、明瞭に話すことができる。僕だって、オーガスタ時代の記憶を取り戻してからは、普通に話していたような気がする。
「はい、父上。心配、かけました。母上にも」
うわあっ、父上と母上かよ。
シャルスはアーネストを抱き上げていて、僕が座り込んでいるベッドサイドの椅子に腰掛けた。
「アーネストの世話を全て任せきりにしてすみません。でも、こんなにしっかりしていて……お披露目をしても大丈夫そうですね。ノリン?」
僕は顎に拳をつけて悩む。
っていうか、よちよち歩きのまだ片言の子供がお披露目されるって感じ……なんだろう?めちゃくちゃ大きいんだが?
「王配殿下、失礼します。私も割と大きめでして……獣族の血筋を持つランカスター王家の血を引いていますから、王太子殿下も幼年時の成長は早いのですよ」
そうか、ミカエルもか……は?
「坊ちゃん、心の呟きがまた漏れていました」
アズールがお茶を淹れてくれながら、話してきた。
「あ、あれ?そうか、そうなんだね。お、王族系ではよくあることなんだ。それで、シャルス、どうしたの?いつもは昼御飯か業務終わりに来るのに」
そう言うと、シャルスアーネストをソファの横に座らせてお茶を飲んでから話す。
「アーネストのお披露目の日取りが決まりました」
そりゃ、そうだろう。でも、シャルスがわざわざ言いに来ることはないのでは?
そう思っていると、大人しくシャルスの横にいたアーネストが何を思ったのか、シャルスの横から立ち上がり僕の横にくると、前開きのドレスをはだけて乳首を舐め吸い始める。
やめろとか、お前とか言えずに仕方なく背中を抱いて支えていると、
「アーネストは可愛いですね」
と言われたから、
「シャルスも可愛いーーっ痛った!」
そう返すとアーネストに乳首をがじっと噛まれた。めちゃくちゃ痛い!
「卒乳してよ、アーネスト。身体はもう大きいのだから」
痛すぎてアーネストに話したら、アーネストは唇を乳首から離して
「母上、僕、マナが足りないからーーだめ?」
と言う。ん、あれ?
「マナが足りない?そんなはずは……」
だってアーネストのマナは沢山あるはずだ。どうしてマナを……。
「ロータスは母上が好きだから」
なぜ、今、魔剣ロータスの話が?あ、また、乳に吸い付く。舌で絡めるの、ちょっと感じるからやめてくれないかと思っているとシャルスが、
「宝剣ロータスですが、お披露目で持っていくことになりました。レーダー公より父上がかつてお披露目で宝剣を鞘から抜いたことにあやかり、カモン殿とアーネストに試してはどうかと進言がありました」
と困った様子で顔を上げた。
それ、まずいのではないかと思ったが、何も言わずにいた。僕が黙っていると、乳首から口を離したアーネストが、
「ロータスは僕以外では起きない」
と僕の胸にほっぺたをつけて話す。それからやっと僕から離れてシャルスの横に座って、シャルスを見上げた。まだ随分小さなアーネストは、
「お披露目で魔剣ロータスを抜いて、父上の役に立ちます」
そう話す。シャルスは微笑みながらアーネストを抱き上げて膝に乗せる。
「アーネストはいるだけでいいのですよ。まだ小さいのだから、無理はしないでください」
「でも、父上の役に立ちたいのです」
やばい、二人とも可愛い。ダメだ、まとめて抱きしめたくなる。
というか、アーネストは魔剣ロータスを最初制御出来なかったと聞いている。だから、僕のマナを使って取り込んでロータスを最初から手懐けるつもりか?
「いいですか、アーネスト。歴史的に魔剣ロータスは抜かれることは少なかったのです。近世ではアーネストのお祖父様、あなたと同じ名前の上皇陛下だけが抜くことができたのですから気負うことはありませんよ」
シャルスはたしなめるよあにそう言うがな、こいつは当の本人だ。しかも最初から制御するつもりだろう。
「でも、ロータスを抜きます。父上いいですよね?」
まるで子供の駄々ごとみたいだけど、王族にしては三カ月きっちりではない少し遅めの、レーダー公の指定した新年祝賀の日にお披露目は決まっていたのだった。
僕が叫んでもんどりを打っていたら、午後の休憩で珍しく戻ってきたシャルスの声に掛布を剥いだ。
「シャルス、そのっ……」
アーネストが自身の唇に人差し指を立てていて、沈黙を意味している。シャルスには話すなと言うことだが、僕は恥ずかしくてたまらなくてベッドの端に座り込んだ。
「どうしたのですか、アーネスト?」
嫌な予感を覚えて、シャルスにとことこ歩いていく方向に目を向けてみると、シャルスに両手を差し出して抱っこの仕草を初めてしたアーネストが
「父上」
とかなり高い声を発してシャルスに抱きつく。
「ーーアーネスト、話せるのですか?」
シャルスがこの背格好だったのは、確か生まれて一年くらいだったかなと思うと、シャルスはマナがそこそこあったんだな。マナが合わなくてアーネストが乳をやっていたこともあるし。でもさ、かなり片言だった。
アーネストは僕同様おっさん時代の記憶を持っている。僕と違いアーネストは生まれる前からで、当然、喃語なんてわざわざ話す必要はない。声帯が機能していれば、明瞭に話すことができる。僕だって、オーガスタ時代の記憶を取り戻してからは、普通に話していたような気がする。
「はい、父上。心配、かけました。母上にも」
うわあっ、父上と母上かよ。
シャルスはアーネストを抱き上げていて、僕が座り込んでいるベッドサイドの椅子に腰掛けた。
「アーネストの世話を全て任せきりにしてすみません。でも、こんなにしっかりしていて……お披露目をしても大丈夫そうですね。ノリン?」
僕は顎に拳をつけて悩む。
っていうか、よちよち歩きのまだ片言の子供がお披露目されるって感じ……なんだろう?めちゃくちゃ大きいんだが?
「王配殿下、失礼します。私も割と大きめでして……獣族の血筋を持つランカスター王家の血を引いていますから、王太子殿下も幼年時の成長は早いのですよ」
そうか、ミカエルもか……は?
「坊ちゃん、心の呟きがまた漏れていました」
アズールがお茶を淹れてくれながら、話してきた。
「あ、あれ?そうか、そうなんだね。お、王族系ではよくあることなんだ。それで、シャルス、どうしたの?いつもは昼御飯か業務終わりに来るのに」
そう言うと、シャルスアーネストをソファの横に座らせてお茶を飲んでから話す。
「アーネストのお披露目の日取りが決まりました」
そりゃ、そうだろう。でも、シャルスがわざわざ言いに来ることはないのでは?
そう思っていると、大人しくシャルスの横にいたアーネストが何を思ったのか、シャルスの横から立ち上がり僕の横にくると、前開きのドレスをはだけて乳首を舐め吸い始める。
やめろとか、お前とか言えずに仕方なく背中を抱いて支えていると、
「アーネストは可愛いですね」
と言われたから、
「シャルスも可愛いーーっ痛った!」
そう返すとアーネストに乳首をがじっと噛まれた。めちゃくちゃ痛い!
「卒乳してよ、アーネスト。身体はもう大きいのだから」
痛すぎてアーネストに話したら、アーネストは唇を乳首から離して
「母上、僕、マナが足りないからーーだめ?」
と言う。ん、あれ?
「マナが足りない?そんなはずは……」
だってアーネストのマナは沢山あるはずだ。どうしてマナを……。
「ロータスは母上が好きだから」
なぜ、今、魔剣ロータスの話が?あ、また、乳に吸い付く。舌で絡めるの、ちょっと感じるからやめてくれないかと思っているとシャルスが、
「宝剣ロータスですが、お披露目で持っていくことになりました。レーダー公より父上がかつてお披露目で宝剣を鞘から抜いたことにあやかり、カモン殿とアーネストに試してはどうかと進言がありました」
と困った様子で顔を上げた。
それ、まずいのではないかと思ったが、何も言わずにいた。僕が黙っていると、乳首から口を離したアーネストが、
「ロータスは僕以外では起きない」
と僕の胸にほっぺたをつけて話す。それからやっと僕から離れてシャルスの横に座って、シャルスを見上げた。まだ随分小さなアーネストは、
「お披露目で魔剣ロータスを抜いて、父上の役に立ちます」
そう話す。シャルスは微笑みながらアーネストを抱き上げて膝に乗せる。
「アーネストはいるだけでいいのですよ。まだ小さいのだから、無理はしないでください」
「でも、父上の役に立ちたいのです」
やばい、二人とも可愛い。ダメだ、まとめて抱きしめたくなる。
というか、アーネストは魔剣ロータスを最初制御出来なかったと聞いている。だから、僕のマナを使って取り込んでロータスを最初から手懐けるつもりか?
「いいですか、アーネスト。歴史的に魔剣ロータスは抜かれることは少なかったのです。近世ではアーネストのお祖父様、あなたと同じ名前の上皇陛下だけが抜くことができたのですから気負うことはありませんよ」
シャルスはたしなめるよあにそう言うがな、こいつは当の本人だ。しかも最初から制御するつもりだろう。
「でも、ロータスを抜きます。父上いいですよね?」
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