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二十一章 こんにちは、赤ちゃん?
140 腹実様と家族
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「あら、銀のナイフとトレイは?」
母様に言われて、腹実セットはメイザースが用意するって意気込んでいたのを思い出した。
僕は軽く息を吐くと足を閉じて、枕元にいつも置いている短剣状の魔剣ミスリルを手にすると、シャルスの右手に握らせる。そして僕も手を添えた。
「宿り木では宿り実を二人で捥ぐのだけれど、僕らは二人で実の被膜をカットしようよ」
「……はい」
腹実を扱いはそこそこに慣れている僕と怯えているシャルスはベッドの上、もちろん領地で手伝い経験済みの母様が横に、リアンとアズールとレーンが少し離れたところにいる中で、二人でそっと腹実の皮膜に魔剣ミスリルで触れた。
皮膜が破れると光が部屋一面に広がり、発光する中で人型を形成していく。マナが魂を形成し、オドが練られて受肉する。小さな赤子が丸まって手足を縮めていた。
ぅんにゃぁと一声上げる。
「ーーノリン、赤子ですよ」
母様がまずは僕に渡してくれる。金のサラサラの薄い髪に、ふいに開いた瞳はシャルスと同じ深い青だ。
「なんて……」
シャルスの次の言葉は分かる。
ーーなんて、アーネストに似ているのだろう。そっくりじゃないか、まるでアーネストの子供みたいだ、と。
「なんて、可愛いのだろう。ねえ、ノリン。私は母上似でしたが、この子は父上にですよ。容姿はそれぞれのマナが混ざるのですか?」
あれ、僕はてっきり……
「ええ、ノリンはお祖母様似ですよ。さあさあ、陛下も」
母様はパンニを手早くつけると、お包みに包み込みシャルスに赤子を渡す。シャルスは椅子に座って赤子を抱くと、じいっと赤子の顔を見てから、
「ノリン、可愛いこの子の名前は『アーネスト』にしませんか?」
と言い出した。
「はあっ?それは、だめだろ。だって、あ、悪名じゃないか……」
「だからです。父上は悪いことはしていません。ですが、それを分かっていただけるすべはありません。この子、アーネストが善行をし、ひいては国王になることで、父上のことが薄れて行くのではないでしょうか?」
「いや、せめて、アーサーとか、アーティクルと……」
うぎゃあうぎゃあと泣き出す赤子は僕の名付けに全否定だ。ああ、そうかよ、確かにオーガスタ時代にも、名付け下手癖があると言われたな。アズールは『危ない』で、レーンは『狭い』って意味らしいし。
「それじゃあ、アーネスト」
ぴたりと泣き止んだ。
こいつ……。
「では、アーネストにしましょう。『アーネスト』は私の父、貴方のお祖父様の名前ですよ、アーネスト」
シャルスが目を細めて喜んでいる。可愛いなあ、もう。
僕がにこにこしていると、母様が僕の肩に手をやってくれて、レーンがタオルなどを片付け始める。
「マギー商会からベビーベッドも用意がございます。もちろん今からお運び致します」
とめちゃくちゃ笑顔のリアンが告げた瞬間、響き渡る足音とそれ以上に響くメイザースの声。
「へ~い~か~~!!」
扉をアーネストが開くと、絨毯につんのめって一回転してから、床からシャルスを見上げた。
「あ、あ、あかっ、あかっ、あかっ~~っ!!吾輩っ、吾輩がっ!!」
滂沱の涙を流す悔しくて堪らない顔を見て、僕はタオルで口元を隠しながら、ざまあみろと笑う。
「私がノリンと皮膜を切ったのです」
シャルスの声には張りがあり、メイザースとは対照的に嬉しくて堪らないって顔をしていた。
「さ、さ、さ、左様ですか。王配殿下、次は吾輩が来るまで堪えてくださると」
「無理ですよ。『出物腫れ物所構わず』ですからね」
「なんなのか、それは?」
「師匠の『ことわざ』という教えです」
母様は再び泣き出したアーネストに
「乳ですわね」
と話して、僕にアーネストを寄越したシャルスと、ミカエル、後から慌ててやってきたグレゴリーの見ている中で、前開きのドレスを少し開いて乳首を口につけた。
「ちゃんと乳の実は身体の中にあって、必要なだけ飲ませられるのですよ、陛下」
アーネストは喉を鳴らして飲み始め、シャルスはそれをじっと見てから、
「ノリン、私も味見をしたいです」
ときらきらした瞳で言い出したから、僕は顔を片手で覆ってしまった。
なんだよ、アズールもレーンも、シャルスまで!!
赤子は三ヶ月後にお披露目をする。それまではごく僅かな人としか接しない。王族伴侶も同様に三ヶ月は部屋にこもり赤子の面倒や体調を整えるのだ。
赤子を出したその晩、シャルスに抱かれた。レーンが、
「腹実を出した後は、伴侶の精がいいのですよ」
とシャルスを唆したからだ。もちろん、シャルスのフルーツワインを断る気はさらさらない。
だからアーネストをレーンに任せて、国王陛下の部屋でシャルスに気持ちよく身を任せていると、アーネストが泣き出したようで、内扉からレーンが入ってきた。
「殿下はお腹が空いているのですわ」
と膝をつき僕の乳首にアーネストの口をつけて飲ませ始める。それがきゅうっと腹の中を締める良さがあり、レーンを全く気にしないシャルスが軽く動きながら、
「私も……」
と反対側の乳首に唇をつけて舐めて乳を吸われた。両乳首を吸われながら、お尻の孔を責められて、僕は歯を食いしばり絶頂を得ていた。
「腹実を出したところはマナが通り、いつもより気持ち良くなるのですよ。さあ、陛下、ご存分に」
シャルスは閨ごとは週に一度程度とメイザースに言われているからか、久しぶりだからかめちゃくちゃ長くて、アーネストが満腹で眠ってしまいレーンが部屋へ連れていくと、珍しく僕を膝に座らせ、乳首を吸いながら僕の中に精を出した。
その染み渡りも熱くて気持ち良くて、僕はシャルスの頭を抱き締めながらイってしまい腰が抜けたようになってしまった。
母様に言われて、腹実セットはメイザースが用意するって意気込んでいたのを思い出した。
僕は軽く息を吐くと足を閉じて、枕元にいつも置いている短剣状の魔剣ミスリルを手にすると、シャルスの右手に握らせる。そして僕も手を添えた。
「宿り木では宿り実を二人で捥ぐのだけれど、僕らは二人で実の被膜をカットしようよ」
「……はい」
腹実を扱いはそこそこに慣れている僕と怯えているシャルスはベッドの上、もちろん領地で手伝い経験済みの母様が横に、リアンとアズールとレーンが少し離れたところにいる中で、二人でそっと腹実の皮膜に魔剣ミスリルで触れた。
皮膜が破れると光が部屋一面に広がり、発光する中で人型を形成していく。マナが魂を形成し、オドが練られて受肉する。小さな赤子が丸まって手足を縮めていた。
ぅんにゃぁと一声上げる。
「ーーノリン、赤子ですよ」
母様がまずは僕に渡してくれる。金のサラサラの薄い髪に、ふいに開いた瞳はシャルスと同じ深い青だ。
「なんて……」
シャルスの次の言葉は分かる。
ーーなんて、アーネストに似ているのだろう。そっくりじゃないか、まるでアーネストの子供みたいだ、と。
「なんて、可愛いのだろう。ねえ、ノリン。私は母上似でしたが、この子は父上にですよ。容姿はそれぞれのマナが混ざるのですか?」
あれ、僕はてっきり……
「ええ、ノリンはお祖母様似ですよ。さあさあ、陛下も」
母様はパンニを手早くつけると、お包みに包み込みシャルスに赤子を渡す。シャルスは椅子に座って赤子を抱くと、じいっと赤子の顔を見てから、
「ノリン、可愛いこの子の名前は『アーネスト』にしませんか?」
と言い出した。
「はあっ?それは、だめだろ。だって、あ、悪名じゃないか……」
「だからです。父上は悪いことはしていません。ですが、それを分かっていただけるすべはありません。この子、アーネストが善行をし、ひいては国王になることで、父上のことが薄れて行くのではないでしょうか?」
「いや、せめて、アーサーとか、アーティクルと……」
うぎゃあうぎゃあと泣き出す赤子は僕の名付けに全否定だ。ああ、そうかよ、確かにオーガスタ時代にも、名付け下手癖があると言われたな。アズールは『危ない』で、レーンは『狭い』って意味らしいし。
「それじゃあ、アーネスト」
ぴたりと泣き止んだ。
こいつ……。
「では、アーネストにしましょう。『アーネスト』は私の父、貴方のお祖父様の名前ですよ、アーネスト」
シャルスが目を細めて喜んでいる。可愛いなあ、もう。
僕がにこにこしていると、母様が僕の肩に手をやってくれて、レーンがタオルなどを片付け始める。
「マギー商会からベビーベッドも用意がございます。もちろん今からお運び致します」
とめちゃくちゃ笑顔のリアンが告げた瞬間、響き渡る足音とそれ以上に響くメイザースの声。
「へ~い~か~~!!」
扉をアーネストが開くと、絨毯につんのめって一回転してから、床からシャルスを見上げた。
「あ、あ、あかっ、あかっ、あかっ~~っ!!吾輩っ、吾輩がっ!!」
滂沱の涙を流す悔しくて堪らない顔を見て、僕はタオルで口元を隠しながら、ざまあみろと笑う。
「私がノリンと皮膜を切ったのです」
シャルスの声には張りがあり、メイザースとは対照的に嬉しくて堪らないって顔をしていた。
「さ、さ、さ、左様ですか。王配殿下、次は吾輩が来るまで堪えてくださると」
「無理ですよ。『出物腫れ物所構わず』ですからね」
「なんなのか、それは?」
「師匠の『ことわざ』という教えです」
母様は再び泣き出したアーネストに
「乳ですわね」
と話して、僕にアーネストを寄越したシャルスと、ミカエル、後から慌ててやってきたグレゴリーの見ている中で、前開きのドレスを少し開いて乳首を口につけた。
「ちゃんと乳の実は身体の中にあって、必要なだけ飲ませられるのですよ、陛下」
アーネストは喉を鳴らして飲み始め、シャルスはそれをじっと見てから、
「ノリン、私も味見をしたいです」
ときらきらした瞳で言い出したから、僕は顔を片手で覆ってしまった。
なんだよ、アズールもレーンも、シャルスまで!!
赤子は三ヶ月後にお披露目をする。それまではごく僅かな人としか接しない。王族伴侶も同様に三ヶ月は部屋にこもり赤子の面倒や体調を整えるのだ。
赤子を出したその晩、シャルスに抱かれた。レーンが、
「腹実を出した後は、伴侶の精がいいのですよ」
とシャルスを唆したからだ。もちろん、シャルスのフルーツワインを断る気はさらさらない。
だからアーネストをレーンに任せて、国王陛下の部屋でシャルスに気持ちよく身を任せていると、アーネストが泣き出したようで、内扉からレーンが入ってきた。
「殿下はお腹が空いているのですわ」
と膝をつき僕の乳首にアーネストの口をつけて飲ませ始める。それがきゅうっと腹の中を締める良さがあり、レーンを全く気にしないシャルスが軽く動きながら、
「私も……」
と反対側の乳首に唇をつけて舐めて乳を吸われた。両乳首を吸われながら、お尻の孔を責められて、僕は歯を食いしばり絶頂を得ていた。
「腹実を出したところはマナが通り、いつもより気持ち良くなるのですよ。さあ、陛下、ご存分に」
シャルスは閨ごとは週に一度程度とメイザースに言われているからか、久しぶりだからかめちゃくちゃ長くて、アーネストが満腹で眠ってしまいレーンが部屋へ連れていくと、珍しく僕を膝に座らせ、乳首を吸いながら僕の中に精を出した。
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