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二十一章 こんにちは、赤ちゃん?
138 母様の言葉
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アリシア王国では珍しく雨が降っていた。それは朝になっても引き続き降り続いていて、サラサラとした音を立てている。
砂漠に接するアリシア王国は、北へ行けばなかなか寒いのだが、魔の森の暖かい地脈が影響して気温は常春で高いのだが、雨があまり降らない。
腹実ももう三ヶ月になりいつ光出してもいい感じで、下腹は少しだけぽこっとしていた。
「うーん……」
もやもやする。あの黒いローブって、人だったよなあ。密輸団の一人かなあ。
「坊ちゃん、マナが足りませんか?」
「ぅ、ひゃっ!」
耳元でレーンが囁いてきてびっくりした。
窓枠近くに椅子をやりぼんやりと下の草木を見ていた僕は、お茶を持ってきたレーダーに耳元に息と共に言葉を吐かれる。
「今からでもお注ぎ致しますよ」
テーブルにお茶を置き、メイド服の裾を大胆に摘んで、黒いガーターベルトを見せた。
「うふふ」
「いらないよ」
あのスカートの中の中心はかなりの狂器だよ。昨晩も二人がかりで注がれた。特にレーンは乳首を摘んだり噛んだりするから、またまじんじんしているし、お尻の穴はレーンが性器を大きくして縁まで広げすぎて捲れてしまい、今もふわふわしている。
排泄のたびになんとなく気持ちよくなっているって、僕どうなのだ?
「残念ですーーあ、奥様が到着したようですよ」
レーンはアズールと繋がっているからか、マナで察知しているようだ。僕は使わないようにしている。今はマナ温存だ。考えを中断し僕はお茶を飲みにテーブルに向かって歩いた。うん、少し重いな。身体のバランスが違う。
珍しい雨降りの天候の中、正門からツェッペリン公爵家となって新調された貴族馬車は正門につき、母様はアズールが迎えてくれているのだろう。
王配である僕への面会のため、書面を提出し国王陛下まで行くのに少し時間がかかる。母様が腹実の報告を内々に受けてから有に三ヶ月弱だ。これはもう少しスムーズにしないとだめだな。王に連絡が来るのが遅すぎだ。
当のシャルスは今日の午後、メイザースの健診を受けるために医局に向かっている。ラメタル王国からマナ充填補助具を取り寄せて試すとも話していた。
香り高い魔の森マナ茶を飲んでから、母様を待った。母様とツェッペリン公爵家の御用伺いになったマギー商会を代表してリアンが一緒らしい。
「坊ちゃん、奥様が参りました」
レーンが扉を開くと、上品な空色に白のドレスを纏う母様が、なんだかすごく若返っているような感じがしていて、気品溢れる姿で立っていた。
僕は部屋の中央に立って、母様にトレーンを片手で広げて挨拶をする。
母様は僕を見た途端に、目にいっぱい涙を溜めてそれでも笑顔で、ドレスの両端を摘んで腰を下げて貴族淑女の礼をした。レーンが
「坊ちゃん、お言葉を」
と言い、
あ、そうかーー
「どうぞ、ツェッペリン公爵、部屋へ」
と声を掛けると、母様とリアンが部屋へ入り、アズールが扉を閉めた。
「お久しぶりです、母様」
「ああ、ノリン」
思わずといった様子で駆け寄ってきた母様に抱きしめられて、リアンがクスリと笑うのが聞こえてくる。でも、僕も母様の背中に手を回した。春から会っていない母様は綺麗になっていて痩せてはいないし、髪だって僕と同じ金色なんだ。
しばらく抱き合ってから、顔を見つめ合い笑ってしまった。だってもう成人している僕を小さな子扱いでさ。
「坊ちゃん、奥様、お席へ。リアンさんはお荷物の内容をお伝えください」
アズールに言われて僕は母様をテーブルに招いた。
「はい、奥様からは腹実様の産着、腹実を産む時の前開きのドレスですわ」
リアンの言葉に
「ドレスシャツではダメなの?」
と僕が聞くと母様が、
「腹実を出せばすぐに乳になるからですよ。バスローブでもいいのですけれど、ラメタル王国から取り寄せていただきましたの」
と僕に話してくれた。ああ、あそこは腹実の方が多いものな。なかなか気配りがいい。
お茶と魔の森の木の実クッキーが出てきて、母様がお茶を飲んだ。
「まるで我が家のような味ね。アズールもレーンも二人ともツェッペリン家によく来ては、ノリンからの贈り物をくれるのよ。お肉や茶葉はマギー商会に売るくらいなのです。ノリンは今も我が家のことを心配してくれるのね」
母様、当然だ。僕にアズールとレーンと別れてから、再び家族を教えてくれた優しい人。僕はお茶を口にしてから頷いた。
「あら、腹実が少し光るのね。もうそろそろなら、前開きのドレスに着替えた方がいいかしら。レーン、どうかしら?」
「ええ、奥様。試着も兼ねてお着替えした方がよろしいかと」
レーン面白がっているよな?リアンも、ふっかふかのガウンを出してきて、
「前開きドレスの上から羽織るガウンですわ、殿下」
やめて、その笑顔。ベッドに座って衝立の向こう、レーンに着替えさせられた前開きドレスはベビードールみたいな透け感はない白で、レースもフリルもたくさんついているけれど肌触りが良い。前開きも割と高い位置だ。同じ素材のニーソックスにサンダルってラフな格好でまずは母様に見せた。
「まあ、素敵。よく似合うこと」
そばで見守っているアズールもレーンも頷いている。
「肩が冷えますわ」
はい、ガウンね、薄い空色のふわっふわだなあ。リアンがにこにこしている。よし、とりあえず、母様とリアンの目を満足させたようだ。
触れると少し光る下腹を母様が撫でてから、それからふと思い出したように、
「アーネスト様は残念なことでしたね。実はツェッペリン領にアーネスト様が来たことがあるのよ」
と話し出した。
え?
「春過ぎだったかしら。王家の伴侶にノリンを得たいと話されて、わたくしたちに片膝をついて胸に手を当て頭を下げて……『我々は貴女のお子を大切にします。王家の伴侶になることをお許しください』と。赤の軍服でお一人でいらして、本当に驚いてしまったわ」
アーネスト……泣いてはダメだ。母様も、シャルスも困らせてしまう。
「そ、そうなんですか。そういえば、父様は?」
なんとか堪えて意識を切り替えたつもりだった。すると母様が勘違いして、
「アーネスト様は父様にも話しかけてね、『ノリンの剣の腕は貴方譲りだと聞いている』なんて誉めてね。あの人からっきしでしょう?目を白黒させていたわ」
ああ、ダメだ。
ほろりと涙が出てしまい、レーンがすぐに吹いてくれる。
「ノリン?」
この感情は……きっと切なくて寂しいんだ。会いたい、会いたいよ、アーネスト。僕はアーネストを愛していたんだ。
「上皇陛下には……剣技など学びました……良き指導者を失い……」
母様に抱きしめられたのは、言葉に詰まった直後だった。
砂漠に接するアリシア王国は、北へ行けばなかなか寒いのだが、魔の森の暖かい地脈が影響して気温は常春で高いのだが、雨があまり降らない。
腹実ももう三ヶ月になりいつ光出してもいい感じで、下腹は少しだけぽこっとしていた。
「うーん……」
もやもやする。あの黒いローブって、人だったよなあ。密輸団の一人かなあ。
「坊ちゃん、マナが足りませんか?」
「ぅ、ひゃっ!」
耳元でレーンが囁いてきてびっくりした。
窓枠近くに椅子をやりぼんやりと下の草木を見ていた僕は、お茶を持ってきたレーダーに耳元に息と共に言葉を吐かれる。
「今からでもお注ぎ致しますよ」
テーブルにお茶を置き、メイド服の裾を大胆に摘んで、黒いガーターベルトを見せた。
「うふふ」
「いらないよ」
あのスカートの中の中心はかなりの狂器だよ。昨晩も二人がかりで注がれた。特にレーンは乳首を摘んだり噛んだりするから、またまじんじんしているし、お尻の穴はレーンが性器を大きくして縁まで広げすぎて捲れてしまい、今もふわふわしている。
排泄のたびになんとなく気持ちよくなっているって、僕どうなのだ?
「残念ですーーあ、奥様が到着したようですよ」
レーンはアズールと繋がっているからか、マナで察知しているようだ。僕は使わないようにしている。今はマナ温存だ。考えを中断し僕はお茶を飲みにテーブルに向かって歩いた。うん、少し重いな。身体のバランスが違う。
珍しい雨降りの天候の中、正門からツェッペリン公爵家となって新調された貴族馬車は正門につき、母様はアズールが迎えてくれているのだろう。
王配である僕への面会のため、書面を提出し国王陛下まで行くのに少し時間がかかる。母様が腹実の報告を内々に受けてから有に三ヶ月弱だ。これはもう少しスムーズにしないとだめだな。王に連絡が来るのが遅すぎだ。
当のシャルスは今日の午後、メイザースの健診を受けるために医局に向かっている。ラメタル王国からマナ充填補助具を取り寄せて試すとも話していた。
香り高い魔の森マナ茶を飲んでから、母様を待った。母様とツェッペリン公爵家の御用伺いになったマギー商会を代表してリアンが一緒らしい。
「坊ちゃん、奥様が参りました」
レーンが扉を開くと、上品な空色に白のドレスを纏う母様が、なんだかすごく若返っているような感じがしていて、気品溢れる姿で立っていた。
僕は部屋の中央に立って、母様にトレーンを片手で広げて挨拶をする。
母様は僕を見た途端に、目にいっぱい涙を溜めてそれでも笑顔で、ドレスの両端を摘んで腰を下げて貴族淑女の礼をした。レーンが
「坊ちゃん、お言葉を」
と言い、
あ、そうかーー
「どうぞ、ツェッペリン公爵、部屋へ」
と声を掛けると、母様とリアンが部屋へ入り、アズールが扉を閉めた。
「お久しぶりです、母様」
「ああ、ノリン」
思わずといった様子で駆け寄ってきた母様に抱きしめられて、リアンがクスリと笑うのが聞こえてくる。でも、僕も母様の背中に手を回した。春から会っていない母様は綺麗になっていて痩せてはいないし、髪だって僕と同じ金色なんだ。
しばらく抱き合ってから、顔を見つめ合い笑ってしまった。だってもう成人している僕を小さな子扱いでさ。
「坊ちゃん、奥様、お席へ。リアンさんはお荷物の内容をお伝えください」
アズールに言われて僕は母様をテーブルに招いた。
「はい、奥様からは腹実様の産着、腹実を産む時の前開きのドレスですわ」
リアンの言葉に
「ドレスシャツではダメなの?」
と僕が聞くと母様が、
「腹実を出せばすぐに乳になるからですよ。バスローブでもいいのですけれど、ラメタル王国から取り寄せていただきましたの」
と僕に話してくれた。ああ、あそこは腹実の方が多いものな。なかなか気配りがいい。
お茶と魔の森の木の実クッキーが出てきて、母様がお茶を飲んだ。
「まるで我が家のような味ね。アズールもレーンも二人ともツェッペリン家によく来ては、ノリンからの贈り物をくれるのよ。お肉や茶葉はマギー商会に売るくらいなのです。ノリンは今も我が家のことを心配してくれるのね」
母様、当然だ。僕にアズールとレーンと別れてから、再び家族を教えてくれた優しい人。僕はお茶を口にしてから頷いた。
「あら、腹実が少し光るのね。もうそろそろなら、前開きのドレスに着替えた方がいいかしら。レーン、どうかしら?」
「ええ、奥様。試着も兼ねてお着替えした方がよろしいかと」
レーン面白がっているよな?リアンも、ふっかふかのガウンを出してきて、
「前開きドレスの上から羽織るガウンですわ、殿下」
やめて、その笑顔。ベッドに座って衝立の向こう、レーンに着替えさせられた前開きドレスはベビードールみたいな透け感はない白で、レースもフリルもたくさんついているけれど肌触りが良い。前開きも割と高い位置だ。同じ素材のニーソックスにサンダルってラフな格好でまずは母様に見せた。
「まあ、素敵。よく似合うこと」
そばで見守っているアズールもレーンも頷いている。
「肩が冷えますわ」
はい、ガウンね、薄い空色のふわっふわだなあ。リアンがにこにこしている。よし、とりあえず、母様とリアンの目を満足させたようだ。
触れると少し光る下腹を母様が撫でてから、それからふと思い出したように、
「アーネスト様は残念なことでしたね。実はツェッペリン領にアーネスト様が来たことがあるのよ」
と話し出した。
え?
「春過ぎだったかしら。王家の伴侶にノリンを得たいと話されて、わたくしたちに片膝をついて胸に手を当て頭を下げて……『我々は貴女のお子を大切にします。王家の伴侶になることをお許しください』と。赤の軍服でお一人でいらして、本当に驚いてしまったわ」
アーネスト……泣いてはダメだ。母様も、シャルスも困らせてしまう。
「そ、そうなんですか。そういえば、父様は?」
なんとか堪えて意識を切り替えたつもりだった。すると母様が勘違いして、
「アーネスト様は父様にも話しかけてね、『ノリンの剣の腕は貴方譲りだと聞いている』なんて誉めてね。あの人からっきしでしょう?目を白黒させていたわ」
ああ、ダメだ。
ほろりと涙が出てしまい、レーンがすぐに吹いてくれる。
「ノリン?」
この感情は……きっと切なくて寂しいんだ。会いたい、会いたいよ、アーネスト。僕はアーネストを愛していたんだ。
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