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二十章 二人と一人の平和な日常
131 腹実手帳と宿り木手帳
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シャルスがベッドから起き上がり政務につけるまでに有に一ヶ月掛かった。
「陛下方、お茶です」
僕らは政務室で午後の政務の間の休憩をしていた。アズールの入れてくれた魔の森茶が少し甘いのは、魔の森のベリーを少し入れているからだ。
僕も腹実にマナを持っていかれるし、シャルスは自身で作らなくてはならない。
「美味しいですね」
と僕に視線を向けたシャルスの政務用の青く背中の長い軍服には青色のブローチがあり、僕は嬉しくなってしまう。うん、よく似合っていて可愛い。
ミカエルは今日は珍しく体調不良でお休みだから、アズールが控えているだけで政務室の中は僕とシャルスだけだった。
レーンは二ヶ月になる腹実の産着とやらを、母様に話に行っている。母様とは何度か王宮で合わせてもらっているけれど、日に日に綺麗になっていく母様は公爵として相応しいって感じていた。
「こんにちは~。オーちゃん、シーちゃん」
扉はアズールによって開けられ、セネカが入ってくる。
何しに来たんだと僕らの向ける視線も全く気にすることなく、僕らのソファの前にストンと腰掛ける。
「あ、僕にもお茶ちょうだい」
と言いながら、
「シーちゃんごめんね、ミカちゃん休ませちゃって」
とシャルスの方を向いた。
「体調不良のようですね。メルク家のバトラーが話に来たとのことですが、大丈夫ですか?」
シャルスの事務的な『大丈夫ですか?』にセネカが、
「大丈夫……じゃないかも」
とため息をつく。
「ーーミカエルの具合が……」
シャルスの言葉にセネカの口端が歪み口角が上がりかかるのを見た僕は慌てて思わず、
「おい、セネカ、止めろ」
と素の口調で制止したが、しかし、それよりも先にセネカがシャルスの前に前のめりになると、キラキラした瞳でシャルスを見つめてとんでもないことを言った。
「聞いてシーちゃん。昨日初めてミカちゃんの結腸を突破しちゃたんだ。もうミカちゃんの可愛い泣き顔も鳴き顔がもう堪らなくて」
こいつ、泣き顔と鳴き顔って言ったぞ。
「そうなのですか」
あっ、シャルス、肯定してはダメだ!シャルスが聞いて返事をしたからか、スバルよろしくマシンガントークが始まった。
「ミカちゃんは腹実じゃないから、退化した腹実を太らせるために結腸口から精を注がなくちゃなんだけど、怖いって毎晩逃げててね。だから昨日はちょっとお尻のお肉を掴んで、愛情たっぷり一気に貫いたわけ。確かに僕のものはすこーしおっきいかもしれないけど、ミカちゃん顔をぐしゃぐしゃにして泣いて、でも突いたり捏ねたりするうちに濁声で鳴き始めてて。ミカちゃんのお胸を揉みながら腰を入れたら潮を噴きながら痙攣しちゃって可愛くてたまらないの。一晩中寝かせないで結腸に注いだから、やっと腹実が太り始めて今腹痛の真っ最中なんだよ。ーーごめんね、シーちゃん」
可愛い顔をドSな告白をして嬉しそうな顔をしてるセネカに、
「はい、分かりました。そうなのですね」
と平然な顔をしているシャルスに、僕は顎に拳を付けて考え込んだ。
「でね、ミカちゃんのお腹はぼこっとなって僕のものが入ってるのが分かるくらいで、ああこれが冒険者ギルドで聞いた『腹ぼこ』なんだって思ったんだ」
「ハラボコですか」
これってシャルスは臣下から『報告』を受けている気持ちではないだろうか。
待て待て待てよ、セネカのこれは明らかにのろけを含む伴侶自慢の『猥談』で、冒険者ギルドではしばしば酒の席で話されるやつだ。真面目に聞く方が馬鹿をみるから、ちゃんとシャルスに教えてやらなくてはダメだ。ついでに僕のことを『報告』しないように釘を刺さなければ……
「あ、ああ、そうなんですか。これが猥談なんですね」
シャルスが真っ赤な顔をして、僕を見下ろす。
「ーーえ?」
セネカが
「またまた口に出ていたよ。うっかりだねえ、オーちゃん」
と僕の顔を指差して笑った。
「ああ、楽しかった。まだあるんだけれどね、ミカちゃんのお胸に僕のものを挟んで先っぽ舐めさせたら、涙しながらおえってしても舐めてくれるんだ……っと、まあ、この辺りはお胸がおっきくないオーちゃんじゃできないしね~」
おいおい、貴様、一体何をしに来た。
こんなくそエロ話をしにきたのなら追い返すまでだなと、僕が腰を上げた時セネカが鞄から、
「ラメタル王国経由でパールバルト王国の腹実手帳を取り寄せたの。ついでに宿り木手帳も。一冊ずつメイザース医師に渡してあげて」
出してテーブルに置く。手のひらより少し大きな植物紙の冊子を手にすると、腹実についてだとか、一ヶ月ごとの様子だとか、腹実の出産の仕方などが書かれていた。そこに書き込む形になっていて、出してからも赤子の様子を書き込む欄があり、腹実の記念になるなあと思い、シャルスにも見せた。
「アキラの世界では女性が子を孕むから『母子手帳』って言うらしいけれど、僕らは平等で、ただ腹実と宿り木の違いしかない。どちらにしても手帳を作ったのは、落実予防になるんだ。冊子を目で見て伴侶同士で理解して話し合う。それが大事なんだよ」
腹実手帳にも伴侶の名前を書く欄があって、それを平民も手にしているんだ。
「手帳をもらう場所は神殿で、名前は神官に書いてもらうんだ。特別なマナ文字じゃないんだよ」
セネカから聞いてシャルスが、
「夜、二人で名前を書きましょう」
と囁いて僕は嬉しくて頷いた。余りの腹実手帳と宿り木手帳はメイザースに渡すとして、ぼちぼち休憩も終わりじゃない?セネカには帰ってもらいたいものだな。
「陛下方、お茶です」
僕らは政務室で午後の政務の間の休憩をしていた。アズールの入れてくれた魔の森茶が少し甘いのは、魔の森のベリーを少し入れているからだ。
僕も腹実にマナを持っていかれるし、シャルスは自身で作らなくてはならない。
「美味しいですね」
と僕に視線を向けたシャルスの政務用の青く背中の長い軍服には青色のブローチがあり、僕は嬉しくなってしまう。うん、よく似合っていて可愛い。
ミカエルは今日は珍しく体調不良でお休みだから、アズールが控えているだけで政務室の中は僕とシャルスだけだった。
レーンは二ヶ月になる腹実の産着とやらを、母様に話に行っている。母様とは何度か王宮で合わせてもらっているけれど、日に日に綺麗になっていく母様は公爵として相応しいって感じていた。
「こんにちは~。オーちゃん、シーちゃん」
扉はアズールによって開けられ、セネカが入ってくる。
何しに来たんだと僕らの向ける視線も全く気にすることなく、僕らのソファの前にストンと腰掛ける。
「あ、僕にもお茶ちょうだい」
と言いながら、
「シーちゃんごめんね、ミカちゃん休ませちゃって」
とシャルスの方を向いた。
「体調不良のようですね。メルク家のバトラーが話に来たとのことですが、大丈夫ですか?」
シャルスの事務的な『大丈夫ですか?』にセネカが、
「大丈夫……じゃないかも」
とため息をつく。
「ーーミカエルの具合が……」
シャルスの言葉にセネカの口端が歪み口角が上がりかかるのを見た僕は慌てて思わず、
「おい、セネカ、止めろ」
と素の口調で制止したが、しかし、それよりも先にセネカがシャルスの前に前のめりになると、キラキラした瞳でシャルスを見つめてとんでもないことを言った。
「聞いてシーちゃん。昨日初めてミカちゃんの結腸を突破しちゃたんだ。もうミカちゃんの可愛い泣き顔も鳴き顔がもう堪らなくて」
こいつ、泣き顔と鳴き顔って言ったぞ。
「そうなのですか」
あっ、シャルス、肯定してはダメだ!シャルスが聞いて返事をしたからか、スバルよろしくマシンガントークが始まった。
「ミカちゃんは腹実じゃないから、退化した腹実を太らせるために結腸口から精を注がなくちゃなんだけど、怖いって毎晩逃げててね。だから昨日はちょっとお尻のお肉を掴んで、愛情たっぷり一気に貫いたわけ。確かに僕のものはすこーしおっきいかもしれないけど、ミカちゃん顔をぐしゃぐしゃにして泣いて、でも突いたり捏ねたりするうちに濁声で鳴き始めてて。ミカちゃんのお胸を揉みながら腰を入れたら潮を噴きながら痙攣しちゃって可愛くてたまらないの。一晩中寝かせないで結腸に注いだから、やっと腹実が太り始めて今腹痛の真っ最中なんだよ。ーーごめんね、シーちゃん」
可愛い顔をドSな告白をして嬉しそうな顔をしてるセネカに、
「はい、分かりました。そうなのですね」
と平然な顔をしているシャルスに、僕は顎に拳を付けて考え込んだ。
「でね、ミカちゃんのお腹はぼこっとなって僕のものが入ってるのが分かるくらいで、ああこれが冒険者ギルドで聞いた『腹ぼこ』なんだって思ったんだ」
「ハラボコですか」
これってシャルスは臣下から『報告』を受けている気持ちではないだろうか。
待て待て待てよ、セネカのこれは明らかにのろけを含む伴侶自慢の『猥談』で、冒険者ギルドではしばしば酒の席で話されるやつだ。真面目に聞く方が馬鹿をみるから、ちゃんとシャルスに教えてやらなくてはダメだ。ついでに僕のことを『報告』しないように釘を刺さなければ……
「あ、ああ、そうなんですか。これが猥談なんですね」
シャルスが真っ赤な顔をして、僕を見下ろす。
「ーーえ?」
セネカが
「またまた口に出ていたよ。うっかりだねえ、オーちゃん」
と僕の顔を指差して笑った。
「ああ、楽しかった。まだあるんだけれどね、ミカちゃんのお胸に僕のものを挟んで先っぽ舐めさせたら、涙しながらおえってしても舐めてくれるんだ……っと、まあ、この辺りはお胸がおっきくないオーちゃんじゃできないしね~」
おいおい、貴様、一体何をしに来た。
こんなくそエロ話をしにきたのなら追い返すまでだなと、僕が腰を上げた時セネカが鞄から、
「ラメタル王国経由でパールバルト王国の腹実手帳を取り寄せたの。ついでに宿り木手帳も。一冊ずつメイザース医師に渡してあげて」
出してテーブルに置く。手のひらより少し大きな植物紙の冊子を手にすると、腹実についてだとか、一ヶ月ごとの様子だとか、腹実の出産の仕方などが書かれていた。そこに書き込む形になっていて、出してからも赤子の様子を書き込む欄があり、腹実の記念になるなあと思い、シャルスにも見せた。
「アキラの世界では女性が子を孕むから『母子手帳』って言うらしいけれど、僕らは平等で、ただ腹実と宿り木の違いしかない。どちらにしても手帳を作ったのは、落実予防になるんだ。冊子を目で見て伴侶同士で理解して話し合う。それが大事なんだよ」
腹実手帳にも伴侶の名前を書く欄があって、それを平民も手にしているんだ。
「手帳をもらう場所は神殿で、名前は神官に書いてもらうんだ。特別なマナ文字じゃないんだよ」
セネカから聞いてシャルスが、
「夜、二人で名前を書きましょう」
と囁いて僕は嬉しくて頷いた。余りの腹実手帳と宿り木手帳はメイザースに渡すとして、ぼちぼち休憩も終わりじゃない?セネカには帰ってもらいたいものだな。
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