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十四章 侍従騎士ミカエル
95 再びベビードール
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シャルスから薄荷の香りがするキス付きの『お願い』をもらった。
「国民の憂いを晴らしてください」
「もちろんです」
それから、明日から出て行くにあたり、きっとこれからも起こるであろうことも含め、僕はシャルスに三つのことを『お願い』された。
「う、ぐぅ」
「いいですね、ノリン」
「でも、僕に対してもシャルスは敬語で」
「私のものははっきり言って王太子である癖です」
「僕のも……」
「無理していますね」
う、ぐぐぅ!
一つ目は、シャルスへの敬語を止めること。
二つ目は、昼食後に行くことになった。
ミカエルは急に降って沸いた『番い宣言』に実家が大パニックになっていて、使用人ともども対応に追われているから、昼食は一緒に取り一旦分かれた。
グレゴリーは今日朝だけ顔を出したが、同時に二つの仕事をしているため宰相室に閉じこもっている。
「では、ノリン、行きましょうか」
僕はシャルスと手を繋いで裏の中庭を歩き、霊廟ではなく、神殿に向かっていた。後からレーンがついてくるが、そのレーンは笑った表情をしている。三つ目の『お願い』を知っているからだ。
神殿は一番上に庭があり、そこに巨木の宿り木がある。本来なら王が変わるたび宿り木は変わるのだが、砂漠を挟んだレガリア連邦王国では、王族の宿り木として『家系木』として存在する。つまり、古い血が常に現れるのだとセネカから聞いた。
「こちらです、ノリン」
神殿長がいない神殿に王太子殿下が現れたから、驚きふためく神官には軽く頭を下げて、見たことのないくらい立派な宿り木にシャルスが触れると発光する。
「ノリンも、どうぞ」
僕が触れても発光はしない。だけど二人で触れてシャルスが呟いた。
「ノリンとの間に赤ちゃんが欲しいです。ガルド神様、お願いします」
シャルスは真剣で、だから僕も宿り木に触れながら祈りを捧げる。
シャルスが幸せになるなら孕んでも構わない。シャルスは頑張っているいい子だから、神様、助けてやってほしい。師匠も言っていた、願う祈りは自分のためではなく人のためにあると。だから、僕はシャルスのために祈った。
「ありがとうございます、ノリン」
シャルスに引き寄せられて、僕は困ってしまう。セネカやアズールやレーンが言う『平凡で並』のシャルスはどうであれ、可愛くて可愛いくて仕方ないのだ。シャルスが望むなら、僕はシャルスの望む形でありたい。それはガルド神も許してくれるはずだ。
だから、夜には三つ目の最後の『お願い』を叶えることにした。
ミカエルの控室は政務宮にあるが、ミカエルの生活のための部屋は王宮内の居住棟の一角だ。歩いて数分の貴族棟の一階の部屋というか一区画があてがわれ、料理人から複数のメイドやバトラーを含む使用人を抱えて、食料から衣類まで手持ちで調える。
僕のような空身での登城は珍しく、衣類から食料品は婚約者として国費が当てられていて、その国費での夜着がこれだ。
湯と香油で身体を清めた後、夜着を着てガウンを羽織る。ビジューサンダルを履いて内扉からシャルスの部屋に入った。浴室と脱衣所兼洗面台を挟んで、僕の部屋とシャルスの部屋は繋がっている。
「ああ、ノリン」
シャルスは机で残りの書類を読んでいた。シャルスはドレスシャツを着ていて、かなり恥ずかしい。歩み寄ってきたシャルスにガウンの腰紐を抜かれると、桃色の透け感のあるベビードールとティーバックの下着が丸見えで、僕は恥ずかしくてベッドより近いソファに座り込みそうになる。
「ノリン、可愛いです」
ソファの背に手を置いた時、背後からシャルスに抱き寄せられ下着をずらすようにシャルスの熱さが入ってきた。
「やっ、だぁ……あぅ、んっ!」
服を着てベッド以外で抱かれるのは恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。なのに僕の結腸口にシャルスの性器の先は間違いなく嵌まり込み、はあっ……と息を吐いた。
シャルスの手がお臍の上と、下着に包まれた会隠を押してくる。軽く動くだけでも気持ちよくて、下着が濡れて太腿を伝って潮が溢れた。毛足の長い絨毯は月明かりが染みすら晒してくる。
「ノリン、ノリン!」
腰を引かれる度に結腸口から切先が出て、鈍い音が体内に響いている。ソファにしがみついている僕は、シャルスの誘導によりソファに横倒しになった。
桃色のベビードレスは胸元がはだけ、濡れたシルクレースの下着を履いた僕は足を広げてお尻の孔でシャルスの熱を受け入れている。子種が放たれてシャルスが呻く。再びお尻の中がいっぱいになり、シャルスの手が気持ちいい。
気持ちいい
気持ちいい
そればかりを口にしてシャルスに下から抱きついた。足を絡みつかせ、腰を擦りつかせる。
もっと
もっと
もっと
してほしい。
僕はおかしくなっていたのかもしれない。身体はあの時の絶頂を求めていた。
「ノリン、孕んでください」
再びお腹の中が熱くなる。ああ、再び子種が来た。
「シャルス、シャルス!」
それがシャルスのためになるのなら、僕は孕んでも構わない。大事な大事な家族なんだ。シャルスの気持ちが楽になればいい。
でも意識は気持ちに変化して、窮屈なソファで抱かれる良さと熱さに飛んでいき、ただシャルスの与えてくれる悦に泣いて悶えて喘いだのは、おっさんの意識のある僕の中で不問にしておく。
ーー畜生、ベビードールなんか二度と着ない。
「国民の憂いを晴らしてください」
「もちろんです」
それから、明日から出て行くにあたり、きっとこれからも起こるであろうことも含め、僕はシャルスに三つのことを『お願い』された。
「う、ぐぅ」
「いいですね、ノリン」
「でも、僕に対してもシャルスは敬語で」
「私のものははっきり言って王太子である癖です」
「僕のも……」
「無理していますね」
う、ぐぐぅ!
一つ目は、シャルスへの敬語を止めること。
二つ目は、昼食後に行くことになった。
ミカエルは急に降って沸いた『番い宣言』に実家が大パニックになっていて、使用人ともども対応に追われているから、昼食は一緒に取り一旦分かれた。
グレゴリーは今日朝だけ顔を出したが、同時に二つの仕事をしているため宰相室に閉じこもっている。
「では、ノリン、行きましょうか」
僕はシャルスと手を繋いで裏の中庭を歩き、霊廟ではなく、神殿に向かっていた。後からレーンがついてくるが、そのレーンは笑った表情をしている。三つ目の『お願い』を知っているからだ。
神殿は一番上に庭があり、そこに巨木の宿り木がある。本来なら王が変わるたび宿り木は変わるのだが、砂漠を挟んだレガリア連邦王国では、王族の宿り木として『家系木』として存在する。つまり、古い血が常に現れるのだとセネカから聞いた。
「こちらです、ノリン」
神殿長がいない神殿に王太子殿下が現れたから、驚きふためく神官には軽く頭を下げて、見たことのないくらい立派な宿り木にシャルスが触れると発光する。
「ノリンも、どうぞ」
僕が触れても発光はしない。だけど二人で触れてシャルスが呟いた。
「ノリンとの間に赤ちゃんが欲しいです。ガルド神様、お願いします」
シャルスは真剣で、だから僕も宿り木に触れながら祈りを捧げる。
シャルスが幸せになるなら孕んでも構わない。シャルスは頑張っているいい子だから、神様、助けてやってほしい。師匠も言っていた、願う祈りは自分のためではなく人のためにあると。だから、僕はシャルスのために祈った。
「ありがとうございます、ノリン」
シャルスに引き寄せられて、僕は困ってしまう。セネカやアズールやレーンが言う『平凡で並』のシャルスはどうであれ、可愛くて可愛いくて仕方ないのだ。シャルスが望むなら、僕はシャルスの望む形でありたい。それはガルド神も許してくれるはずだ。
だから、夜には三つ目の最後の『お願い』を叶えることにした。
ミカエルの控室は政務宮にあるが、ミカエルの生活のための部屋は王宮内の居住棟の一角だ。歩いて数分の貴族棟の一階の部屋というか一区画があてがわれ、料理人から複数のメイドやバトラーを含む使用人を抱えて、食料から衣類まで手持ちで調える。
僕のような空身での登城は珍しく、衣類から食料品は婚約者として国費が当てられていて、その国費での夜着がこれだ。
湯と香油で身体を清めた後、夜着を着てガウンを羽織る。ビジューサンダルを履いて内扉からシャルスの部屋に入った。浴室と脱衣所兼洗面台を挟んで、僕の部屋とシャルスの部屋は繋がっている。
「ああ、ノリン」
シャルスは机で残りの書類を読んでいた。シャルスはドレスシャツを着ていて、かなり恥ずかしい。歩み寄ってきたシャルスにガウンの腰紐を抜かれると、桃色の透け感のあるベビードールとティーバックの下着が丸見えで、僕は恥ずかしくてベッドより近いソファに座り込みそうになる。
「ノリン、可愛いです」
ソファの背に手を置いた時、背後からシャルスに抱き寄せられ下着をずらすようにシャルスの熱さが入ってきた。
「やっ、だぁ……あぅ、んっ!」
服を着てベッド以外で抱かれるのは恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。なのに僕の結腸口にシャルスの性器の先は間違いなく嵌まり込み、はあっ……と息を吐いた。
シャルスの手がお臍の上と、下着に包まれた会隠を押してくる。軽く動くだけでも気持ちよくて、下着が濡れて太腿を伝って潮が溢れた。毛足の長い絨毯は月明かりが染みすら晒してくる。
「ノリン、ノリン!」
腰を引かれる度に結腸口から切先が出て、鈍い音が体内に響いている。ソファにしがみついている僕は、シャルスの誘導によりソファに横倒しになった。
桃色のベビードレスは胸元がはだけ、濡れたシルクレースの下着を履いた僕は足を広げてお尻の孔でシャルスの熱を受け入れている。子種が放たれてシャルスが呻く。再びお尻の中がいっぱいになり、シャルスの手が気持ちいい。
気持ちいい
気持ちいい
そればかりを口にしてシャルスに下から抱きついた。足を絡みつかせ、腰を擦りつかせる。
もっと
もっと
もっと
してほしい。
僕はおかしくなっていたのかもしれない。身体はあの時の絶頂を求めていた。
「ノリン、孕んでください」
再びお腹の中が熱くなる。ああ、再び子種が来た。
「シャルス、シャルス!」
それがシャルスのためになるのなら、僕は孕んでも構わない。大事な大事な家族なんだ。シャルスの気持ちが楽になればいい。
でも意識は気持ちに変化して、窮屈なソファで抱かれる良さと熱さに飛んでいき、ただシャルスの与えてくれる悦に泣いて悶えて喘いだのは、おっさんの意識のある僕の中で不問にしておく。
ーー畜生、ベビードールなんか二度と着ない。
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