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十三章 婚約期間準備と黒い影
84 四日に一度って何だよ
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セネカを見送った時、
「アーちゃんから伝言。多分もう少ししたら殲滅だって」
とセネカが廊下の外で話す。アーネストがシャルスに殲滅以外のことを話した方がいいと言われたらしい。実は僕もそう思っていた。
その方が動きやすくなるとのことで、実際に理解したシャルスはセネカがいる前で、
「ーー心配ですけど、ノリン、頑張ってください」
と僕の肩を抱き締めて来た。でも僕が心配していたのは、グラミー商会のことだ。
だから外で
「ーーグラミー商会のこと、本当なのか?」
と低い声で聞いた。
「本当だよ。オーちゃんのお兄さんが見つけたんだ。詳しくはここでは……ね。近々グラミー商会に王国監査が入る。密輸品倉庫を殲滅は同時だと聞いていたんだけど、話がないね」
兄様が動いている。アズールからの手紙で分かるかもしれないな。
シャルスのところに戻り書類仕事を手伝っていた夕方、グレゴリーが合流した。グラミー商会の密輸の話がやはり出て、シャルスは心配した。心配しすぎて、グレゴリーが心配したほどだ。
「ノリン、ノリン、絶対にいなくならないで下さい」
アズールが戻ってきたのは夕食前で、手紙は母様が近況を書いてくれたものだけだった。兄様はほとんど帰宅していないとのことで、詳しくは書いていない。ツェッペリン男爵家はとりあえず平和のようだった。
シャルスは食欲がなくて、夕食は少なめになり、ゼブー肉は今日もお預けだ。
それにシャルスのお誘いがなくて、僕はアズールとレーンに浴室で喰われていた。
アズールが背後から入り込んで、散湯で切っ先をいじめられている。
「マスターは左側の先が敏感ですね。飛沫が当たると中が締まります」
とアズールが声をかけて来たが僕は喋れないでいた。レーンの性器が喉に入り込み声を塞いでいる。吐きそうな程の太さと大きさだが、吐けないっそんなバランスを持って僕の喉を気持ち良くなるように軽く動いて、僕は散湯に悶えていた。
アズールは動きもせずただ飛沫が当たる感触と刺激だけでイって、僕はアズールとレーンから解き放たれた。二人とも出してはいないし、緩く長い薄い快楽に脱力する。絶頂までいかない捉え所のない感じ。僕は正直身体がもやっとしていた。
僕の婚約者であるシャルスには、
「メイザースにはマナを含んだ精を出すために四日に一度と言われました」
と次の日言われてしまった。
なんだよ、四日に一度って。
今までほぼ毎日だったし、それも多分メイザースの指示なのかな。なんかそれは嫌な気分だ。シャルスがシャルスの意思を持って営んでない感じがする。王族の義務なんだろうけどさ。初めは毎日して精液を増やせだの、今は回数減らして濃度を増せだの、なに種馬的感覚に従うっていうのか?
アズールとレーンも緩やかにしか喰っていかないから、煮凝るような感覚が下腹にある。その夜も乳首だけで感じさせられて、それだけだったし、三日目には全身キスとシャワーだけで、入れたりもしない。ただ気持ちいいんだけ。
「なに、これ。もやもやする」
四日目の朝起きていらついた。ずっとゼブー肉は食べられないし、身体はもやもやするし、昨晩もシャワーでいじめられて先っぽや乳首が変にむず痒いし。
「欲求不満ですか?」
アズールにそう指摘されて、僕は思わず口を尖らせてしまった。
考えてみればオーガスタ時代は性的な接触は皆無で、こんな感覚に陥ったことはない。成人年齢の大人としては未熟だったのかもしれないが、今の僕はどうだ?アズールとレーンにいたずらされてはいるが、快楽に流されすぎていないか?
「レーン、なんでちゃんと喰わないんだよ。なんていうか、生殺しって感じだよ。入れてるだけなんて、今までなかった」
朝、服の着替えをしながらレーンに聞いた。レーンは僕のニーソックスを丁寧に履かせながら、太腿から下着へ手を這わす。
「……んっ」
そうした感覚にひどく敏感になっている気がする。
「ささやかな淫気も僕は大好きですよ。薄く焦らして少しだけ気持ちいいーーその後に何がくると思いますか?」
何がくるっていうんだよ。レーンがくすくす笑って、キュロットの中から手をそっと抜いた。
「ーー内緒です」
淫魔の感性に引っ張られないように僕は肩から力を抜くと
「シャルスのところに行こう」
と立ち上がった。内扉で出入りできる扉の前にはアズールがいて静かに開けてくれる。カーテンは閉じたままで、シャルスはまだ寝ていた。お寝坊さんは小さな頃のままで、僕は毎日こうして起こしている。
「シャルス様、おはようございます」
可愛い。
ドレスシャツがふりふりで、しかも髪の毛が寝癖で跳ねている。口が少し空いてるとこなんか、もう、ちゅーってしたくなるが、我慢我慢。
シャルスが目を開いて、いつもは首に腕を絡めてキスしてくるんだが、今日は一瞬躊躇ってから、
「おはようございます、ノリン」
と普通に起きあがってきた。
あれ?
「おはようございます……調子が悪いのですか?」
おはようのキスもしないなんて、とは言えなかった。
「いえ、体調はいいですよ。ノリン、今日も可愛いですね」
「ありがとうございます」
僕に興味がないわけではない。と、いうことは、あのセクハラ医師メイザース・ユングの指示かよ。『四日間はお触りも禁止です』くらい言いそうだな、あいつは。
そもそも昔はメイザース・ユングは領地から出たことのない奴だった。貴族の一部分は王宮どころか王城にすら来ない奴もいる。
メリッサが同性の医師がいいと、メイザースの姉を呼んだのが始まりで、それに補助の医師として付いてきたのがメイザースだった。
シャルスが生まれた時にサポートで立ち合い、シャルスを一目見て、何やら叫んでから、姉同様医師団に加わったと聞いている。
メリッサが亡くなると姉は領地へ帰ったが、メイザース・ユングは現在の地位まで上り詰めている。
メイザースがシャルスの『好きなこと』を邪魔するなら、少しぶっ飛ばしてやろうか。
朝食後のお茶を飲みながら考えていると、
「坊ちゃん、お口から漏れています」
とアズールに嗜められた。
シャルスは食後、政務服である軍服に着替えていてソファにはいない。それが救いだった。メイザースの奴、やっぱり締めてやろう。
「アーちゃんから伝言。多分もう少ししたら殲滅だって」
とセネカが廊下の外で話す。アーネストがシャルスに殲滅以外のことを話した方がいいと言われたらしい。実は僕もそう思っていた。
その方が動きやすくなるとのことで、実際に理解したシャルスはセネカがいる前で、
「ーー心配ですけど、ノリン、頑張ってください」
と僕の肩を抱き締めて来た。でも僕が心配していたのは、グラミー商会のことだ。
だから外で
「ーーグラミー商会のこと、本当なのか?」
と低い声で聞いた。
「本当だよ。オーちゃんのお兄さんが見つけたんだ。詳しくはここでは……ね。近々グラミー商会に王国監査が入る。密輸品倉庫を殲滅は同時だと聞いていたんだけど、話がないね」
兄様が動いている。アズールからの手紙で分かるかもしれないな。
シャルスのところに戻り書類仕事を手伝っていた夕方、グレゴリーが合流した。グラミー商会の密輸の話がやはり出て、シャルスは心配した。心配しすぎて、グレゴリーが心配したほどだ。
「ノリン、ノリン、絶対にいなくならないで下さい」
アズールが戻ってきたのは夕食前で、手紙は母様が近況を書いてくれたものだけだった。兄様はほとんど帰宅していないとのことで、詳しくは書いていない。ツェッペリン男爵家はとりあえず平和のようだった。
シャルスは食欲がなくて、夕食は少なめになり、ゼブー肉は今日もお預けだ。
それにシャルスのお誘いがなくて、僕はアズールとレーンに浴室で喰われていた。
アズールが背後から入り込んで、散湯で切っ先をいじめられている。
「マスターは左側の先が敏感ですね。飛沫が当たると中が締まります」
とアズールが声をかけて来たが僕は喋れないでいた。レーンの性器が喉に入り込み声を塞いでいる。吐きそうな程の太さと大きさだが、吐けないっそんなバランスを持って僕の喉を気持ち良くなるように軽く動いて、僕は散湯に悶えていた。
アズールは動きもせずただ飛沫が当たる感触と刺激だけでイって、僕はアズールとレーンから解き放たれた。二人とも出してはいないし、緩く長い薄い快楽に脱力する。絶頂までいかない捉え所のない感じ。僕は正直身体がもやっとしていた。
僕の婚約者であるシャルスには、
「メイザースにはマナを含んだ精を出すために四日に一度と言われました」
と次の日言われてしまった。
なんだよ、四日に一度って。
今までほぼ毎日だったし、それも多分メイザースの指示なのかな。なんかそれは嫌な気分だ。シャルスがシャルスの意思を持って営んでない感じがする。王族の義務なんだろうけどさ。初めは毎日して精液を増やせだの、今は回数減らして濃度を増せだの、なに種馬的感覚に従うっていうのか?
アズールとレーンも緩やかにしか喰っていかないから、煮凝るような感覚が下腹にある。その夜も乳首だけで感じさせられて、それだけだったし、三日目には全身キスとシャワーだけで、入れたりもしない。ただ気持ちいいんだけ。
「なに、これ。もやもやする」
四日目の朝起きていらついた。ずっとゼブー肉は食べられないし、身体はもやもやするし、昨晩もシャワーでいじめられて先っぽや乳首が変にむず痒いし。
「欲求不満ですか?」
アズールにそう指摘されて、僕は思わず口を尖らせてしまった。
考えてみればオーガスタ時代は性的な接触は皆無で、こんな感覚に陥ったことはない。成人年齢の大人としては未熟だったのかもしれないが、今の僕はどうだ?アズールとレーンにいたずらされてはいるが、快楽に流されすぎていないか?
「レーン、なんでちゃんと喰わないんだよ。なんていうか、生殺しって感じだよ。入れてるだけなんて、今までなかった」
朝、服の着替えをしながらレーンに聞いた。レーンは僕のニーソックスを丁寧に履かせながら、太腿から下着へ手を這わす。
「……んっ」
そうした感覚にひどく敏感になっている気がする。
「ささやかな淫気も僕は大好きですよ。薄く焦らして少しだけ気持ちいいーーその後に何がくると思いますか?」
何がくるっていうんだよ。レーンがくすくす笑って、キュロットの中から手をそっと抜いた。
「ーー内緒です」
淫魔の感性に引っ張られないように僕は肩から力を抜くと
「シャルスのところに行こう」
と立ち上がった。内扉で出入りできる扉の前にはアズールがいて静かに開けてくれる。カーテンは閉じたままで、シャルスはまだ寝ていた。お寝坊さんは小さな頃のままで、僕は毎日こうして起こしている。
「シャルス様、おはようございます」
可愛い。
ドレスシャツがふりふりで、しかも髪の毛が寝癖で跳ねている。口が少し空いてるとこなんか、もう、ちゅーってしたくなるが、我慢我慢。
シャルスが目を開いて、いつもは首に腕を絡めてキスしてくるんだが、今日は一瞬躊躇ってから、
「おはようございます、ノリン」
と普通に起きあがってきた。
あれ?
「おはようございます……調子が悪いのですか?」
おはようのキスもしないなんて、とは言えなかった。
「いえ、体調はいいですよ。ノリン、今日も可愛いですね」
「ありがとうございます」
僕に興味がないわけではない。と、いうことは、あのセクハラ医師メイザース・ユングの指示かよ。『四日間はお触りも禁止です』くらい言いそうだな、あいつは。
そもそも昔はメイザース・ユングは領地から出たことのない奴だった。貴族の一部分は王宮どころか王城にすら来ない奴もいる。
メリッサが同性の医師がいいと、メイザースの姉を呼んだのが始まりで、それに補助の医師として付いてきたのがメイザースだった。
シャルスが生まれた時にサポートで立ち合い、シャルスを一目見て、何やら叫んでから、姉同様医師団に加わったと聞いている。
メリッサが亡くなると姉は領地へ帰ったが、メイザース・ユングは現在の地位まで上り詰めている。
メイザースがシャルスの『好きなこと』を邪魔するなら、少しぶっ飛ばしてやろうか。
朝食後のお茶を飲みながら考えていると、
「坊ちゃん、お口から漏れています」
とアズールに嗜められた。
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