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十二章 貴族学舎試験、終了
77 王族の聖廟
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シャルスが体調不良で政務を休んだから健康診断が早まり、僕はシャルスと
「おやすみなさい」
をしてから、アズールとレーンに朝まで喰われた。ずっと細く長く気持ちいいが続いた後に来た強烈な絶頂感に気を失ってしまい、レーンが喜びすぎて困ってしまった。そんなレーンに乳首を吸われ過ぎて今もむず痒い。そして眠い。体調はいいが、睡眠不足はなんともし難い、勘弁してくれ。
今日はご機嫌なレーンが選んだレースフリルショーツで、僕は絶対に誰にも見せたくない気持ちでいた。
僕はアーネストに言われた聖廟に、セネカとスバルと一緒に向かっていた。シャルスは半日検診だ。第一近衛隊に囲まれながら、後ろ髪を引かれるように振り返り振り返りするシャルスがすごく可愛い。
だが、僕にも任務?がある。時間は沢山あるならとこの日を選んだんだ。
殲滅の仕事の後、スバルとセネカはスズキ市のブティックをしらみつぶしにし、人身売買の尻尾を掴み出していた。それからすぐにラメタル王国が動き出し、アリシア王国絡みの盗賊崩れを一網打尽にした。
「聖廟を探っていいなんて、アーちゃんも思い切ったね」
あの殲滅の後の林の中で、アーネストは聖廟の王族に入れと話してきた。その聖廟は王族居住区の裏にあって、僕らは離宮から歩いていた。アズールには僕の手紙をツェッペリン家に託し、レーンにはシャルスに付き添ってもらっていた。
「本当に俺めちゃくちゃ大変だったんだからね」
から始まるスバルの長話によると、スズキ市にはガルドバルド大陸のさまざまな人種に対応するブティックが多くあり、その全てのフィッティングルームをしらみ潰しにしたが抜け道や抜け穴などはなかった。だが、ランドパークサイドホテルでは貸衣装を用意するサービスがあり、その貸衣装屋が人身売買の総元だったのだ。
「そこにたどり着くまでがマジ大変でさあ。スズキランドパークオフィシャルホテルでそんなことあるわけないって思っていたから、俺びっくりしたよ。ニッキーの夢の国台無しじゃん?ラメタル国とパールバルト王国の二つの国が出てきて、大捕物だったんだぜ。一番怖かったのはセネカさんだったけどさ」
「だって、許せなかったんだもん。メーテル商会的には損害問題だったけど、僕的にはガルドバルド大陸の人を奴隷にすることがねー」
整えられた芝生の中の小道は焼き煉瓦か丁寧に敷き詰められていて、しかも平に削ってある。その一番奥に王宮頂点のガルド神殿があり、中庭にはきっと宿り木がある。王家の宿り木もあるだろう。僕らは石造りのガゼボを通り過ぎてその左側の聖廟に用事がある。
ガゼボの右側の王宮の影にある墓標が気になったけれど、取り敢えず聖廟に向かった。
聖廟の前には第二近衛隊の衛兵が一人立っていて、背筋を伸ばして礼をする。近衛隊には僕の存在理由は知られているし面通しが済んでいるから、恥ずかしながら覚えられていた。
「おや、ノリン殿、どちらへ」
「聖廟に来ました。こちらはパールバルト王国から遊学に来られたスバル殿下です」
僕がシャルスの婚約者だと知っている近衛兵が頭を下げてから、スバルを見た。
「日頃お世話になっている陛下のご家族に対して心を寄せたくて」
とスバルは真面目な顔で訴えた。喋らないスバルの清々しさったら、瞬殺、衛兵を黙らせた。
アーネストが許可を出していたのをグレゴリーが知っていたのもあり、僕らはあっさりと聖廟に入ることが出来て、階段を上がって磨き抜かれた石畳に入るが、誰もいない。
ここには王族ゆかりの者しか来られないからだ。
「石棺の新しいものだよ」
セネカが中で呼んだ。メリッサと王と第一王子の石棺から『ドラゴン・ブラッド』を抜き出すだけだ。
「やばい、いるよ!『ドラゴン・ブラッド』が」
スバルが便を出して、中の活性化している黒い塵みたいなものを見せる。
「スバル、構えて。オーちゃん、良いよ」
「浮遊陣展開、発動する」
僕は石棺の蔦草レリーフが施された蓋をかすかに持ち上げた。スバルが魔石瓶を開けた瞬間、黒い塵のような『ドラゴン・ブラッド』が吸い込まれた。
「オッケー、ノリン。次、頼む」
魔石瓶が金に輝くのは、スバルのマナで封じているからだろう。
国王、第一王子、愛妾妃の三人の石棺から『ドラゴン・ブラッド』は抜き出され、アーネストが言うように、三人の死因がこの毒による毒殺だったのが分かった。これを報告はするが、このままでいいのか?
僕が下顎に拳をつけて考え込んでいると、
「アーちゃんは死因を突き止めて犯人を糾弾したいんじゃなくて、『ドラゴン・ブラッド』を回収してしまいたいんだよ」
セネカがまるで僕の考えに応えるかのようなことを言った。
「口から出てたよ、考え。オーちゃんは、相変わらずだねえ。独り言が出ちゃうの」
あ、口から出て……このオーガスタ時代の癖、セネカと会ってからだんだん酷くなってる気がする。
「ま、まあ、いいか。他の石棺も調べるか?」
「スバルがもうやってる」
気がついたらスバルが石棺に次々近づいていて、魔石瓶を近づけ『ドラゴン・ブラッド』の動きを見ている。仕事が早いな。
「セネカさん、もう反応がない。第一王子の棺からが一番多かったよ。正直、回収されてると思ったけどさあ、やっぱ聖廟安置だから入れなかったって考えるのが普通かなあ。俺の持たされた魔石瓶もそうなんだけど、『ドラゴン・ブラッド』は回収出来るから『原因不明の不審死』の死体が作られるだろ?じゃあ、この国には回収出来る魔石瓶を持つ人がいるんじゃない?」
スバルが聖廟の端から戻ってくる。その風貌はまさにジーン・タイタン・パールバルトだったが、口調が残念過ぎる。
「あのねえ、スバル。魔石瓶って作るの大変なんだよ。この瓶だって、パールバルト王国の坑道の墓が暴かれてたジーンの従者の腹から取り出して、コボルトのおじーちゃんたちになんとか二つに作り直してもらったものだよ。魔石カプセルは割れるのが目的だからそれなりに作れるけど、魔石瓶は無理だって大ばーちゃんも話していたよ」
スバルが
「げっ、死体から?」
とか話していたけれど、そこはまあ生理的な気持ちの問題だ。僕も、げっ、って思うからさ。
「おやすみなさい」
をしてから、アズールとレーンに朝まで喰われた。ずっと細く長く気持ちいいが続いた後に来た強烈な絶頂感に気を失ってしまい、レーンが喜びすぎて困ってしまった。そんなレーンに乳首を吸われ過ぎて今もむず痒い。そして眠い。体調はいいが、睡眠不足はなんともし難い、勘弁してくれ。
今日はご機嫌なレーンが選んだレースフリルショーツで、僕は絶対に誰にも見せたくない気持ちでいた。
僕はアーネストに言われた聖廟に、セネカとスバルと一緒に向かっていた。シャルスは半日検診だ。第一近衛隊に囲まれながら、後ろ髪を引かれるように振り返り振り返りするシャルスがすごく可愛い。
だが、僕にも任務?がある。時間は沢山あるならとこの日を選んだんだ。
殲滅の仕事の後、スバルとセネカはスズキ市のブティックをしらみつぶしにし、人身売買の尻尾を掴み出していた。それからすぐにラメタル王国が動き出し、アリシア王国絡みの盗賊崩れを一網打尽にした。
「聖廟を探っていいなんて、アーちゃんも思い切ったね」
あの殲滅の後の林の中で、アーネストは聖廟の王族に入れと話してきた。その聖廟は王族居住区の裏にあって、僕らは離宮から歩いていた。アズールには僕の手紙をツェッペリン家に託し、レーンにはシャルスに付き添ってもらっていた。
「本当に俺めちゃくちゃ大変だったんだからね」
から始まるスバルの長話によると、スズキ市にはガルドバルド大陸のさまざまな人種に対応するブティックが多くあり、その全てのフィッティングルームをしらみ潰しにしたが抜け道や抜け穴などはなかった。だが、ランドパークサイドホテルでは貸衣装を用意するサービスがあり、その貸衣装屋が人身売買の総元だったのだ。
「そこにたどり着くまでがマジ大変でさあ。スズキランドパークオフィシャルホテルでそんなことあるわけないって思っていたから、俺びっくりしたよ。ニッキーの夢の国台無しじゃん?ラメタル国とパールバルト王国の二つの国が出てきて、大捕物だったんだぜ。一番怖かったのはセネカさんだったけどさ」
「だって、許せなかったんだもん。メーテル商会的には損害問題だったけど、僕的にはガルドバルド大陸の人を奴隷にすることがねー」
整えられた芝生の中の小道は焼き煉瓦か丁寧に敷き詰められていて、しかも平に削ってある。その一番奥に王宮頂点のガルド神殿があり、中庭にはきっと宿り木がある。王家の宿り木もあるだろう。僕らは石造りのガゼボを通り過ぎてその左側の聖廟に用事がある。
ガゼボの右側の王宮の影にある墓標が気になったけれど、取り敢えず聖廟に向かった。
聖廟の前には第二近衛隊の衛兵が一人立っていて、背筋を伸ばして礼をする。近衛隊には僕の存在理由は知られているし面通しが済んでいるから、恥ずかしながら覚えられていた。
「おや、ノリン殿、どちらへ」
「聖廟に来ました。こちらはパールバルト王国から遊学に来られたスバル殿下です」
僕がシャルスの婚約者だと知っている近衛兵が頭を下げてから、スバルを見た。
「日頃お世話になっている陛下のご家族に対して心を寄せたくて」
とスバルは真面目な顔で訴えた。喋らないスバルの清々しさったら、瞬殺、衛兵を黙らせた。
アーネストが許可を出していたのをグレゴリーが知っていたのもあり、僕らはあっさりと聖廟に入ることが出来て、階段を上がって磨き抜かれた石畳に入るが、誰もいない。
ここには王族ゆかりの者しか来られないからだ。
「石棺の新しいものだよ」
セネカが中で呼んだ。メリッサと王と第一王子の石棺から『ドラゴン・ブラッド』を抜き出すだけだ。
「やばい、いるよ!『ドラゴン・ブラッド』が」
スバルが便を出して、中の活性化している黒い塵みたいなものを見せる。
「スバル、構えて。オーちゃん、良いよ」
「浮遊陣展開、発動する」
僕は石棺の蔦草レリーフが施された蓋をかすかに持ち上げた。スバルが魔石瓶を開けた瞬間、黒い塵のような『ドラゴン・ブラッド』が吸い込まれた。
「オッケー、ノリン。次、頼む」
魔石瓶が金に輝くのは、スバルのマナで封じているからだろう。
国王、第一王子、愛妾妃の三人の石棺から『ドラゴン・ブラッド』は抜き出され、アーネストが言うように、三人の死因がこの毒による毒殺だったのが分かった。これを報告はするが、このままでいいのか?
僕が下顎に拳をつけて考え込んでいると、
「アーちゃんは死因を突き止めて犯人を糾弾したいんじゃなくて、『ドラゴン・ブラッド』を回収してしまいたいんだよ」
セネカがまるで僕の考えに応えるかのようなことを言った。
「口から出てたよ、考え。オーちゃんは、相変わらずだねえ。独り言が出ちゃうの」
あ、口から出て……このオーガスタ時代の癖、セネカと会ってからだんだん酷くなってる気がする。
「ま、まあ、いいか。他の石棺も調べるか?」
「スバルがもうやってる」
気がついたらスバルが石棺に次々近づいていて、魔石瓶を近づけ『ドラゴン・ブラッド』の動きを見ている。仕事が早いな。
「セネカさん、もう反応がない。第一王子の棺からが一番多かったよ。正直、回収されてると思ったけどさあ、やっぱ聖廟安置だから入れなかったって考えるのが普通かなあ。俺の持たされた魔石瓶もそうなんだけど、『ドラゴン・ブラッド』は回収出来るから『原因不明の不審死』の死体が作られるだろ?じゃあ、この国には回収出来る魔石瓶を持つ人がいるんじゃない?」
スバルが聖廟の端から戻ってくる。その風貌はまさにジーン・タイタン・パールバルトだったが、口調が残念過ぎる。
「あのねえ、スバル。魔石瓶って作るの大変なんだよ。この瓶だって、パールバルト王国の坑道の墓が暴かれてたジーンの従者の腹から取り出して、コボルトのおじーちゃんたちになんとか二つに作り直してもらったものだよ。魔石カプセルは割れるのが目的だからそれなりに作れるけど、魔石瓶は無理だって大ばーちゃんも話していたよ」
スバルが
「げっ、死体から?」
とか話していたけれど、そこはまあ生理的な気持ちの問題だ。僕も、げっ、って思うからさ。
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