国王親子に迫られているんだが

クリム

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十一章 密輸組織殲滅部隊

73 殲滅前にマナ充填

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 王宮から転移陣で出たのは林だった。しばらく手入れしていない林は下草が生えていて、意外にも身を隠すにはちょうどいい。旧ランカスター男爵邸はまさにごった返していた。ブレンダー子爵家から馬車で持ち込まれたものが、次々運び込まれている。夕方にはまた出て行くのにだ。

「なんだ、増えて五十人くらいいるんじゃないか?ノリンとアーネストは裏に回ってくれ」

「あ、はい」

「わしらが正面から突破したのを合図に、背後から攻めてくれ」

 そのまま裏手に辿り着いて林の中で身を潜める。横のアーネストは無言だ。旧ランカスター男爵邸って、アーネストの母様の生家だったはずだ。後継ぎがいない屋敷はこんな風になるんだなとぼんやり思っていたら、背後にアーネストがいて、

「何を考えている、ノリン」

と聞かれた。

「うん、貴族名鑑にあったランカスター男爵邸って、アーネストの母様のお屋敷ですよね?その大事なお屋敷を燃やしてしまっていいのですか?」

 こんな味わいのある屋敷を、僕は火炎陣で一気に燃やしてしまうのに躊躇していた。

 アーネストは背後から僕の肩に額をつけると、

「構わん」

と呟く。

「俺とお前以外知っている奴はいないし、住める訳でもない。ならば更地にしてもいい。ただし林に類焼させるなよ」

 林を燃やすな、か。

 だったら瓦解陣の方が楽なんだが、派手に炎が上がる方がレーダー公含むレーダー派には有効なんだろうな。

「ーーはい」

 密着して背後にいるアーネストは背がかなり高く、僕の肩に置く指も長くしっかりとしていた。

 僕はアーネストが近過ぎて、アーネストの放つ雰囲気に気付くのが遅れて、抱きすくめらた時、

「アーネスト?」

と口を開いて聞いた。

「ん、んーっ」

 背後から唇を塞がれて唾液ごと持ってかれたような気がする。舌の付け根が痛い。

「舌がちぃせえなあ。お前はケツも小さいがな」

 アーネストは肩口でそう呟くと、すぐ僕のキュロットに手を掛けて引き下ろし、慌てる僕に向かって

「声出すなよ。大丈夫、だいじょーぶ、お前毎晩シャルスと遊んでるんだろ。すぐに拓く」

と囁く。

「拓く?なにーーぅぐ!」

 スパイスミントの香りの中で練り香油の香りを感じると、そのまま熱を狭間につけられた瞬間身体の中に入ってきた。香油で滑る切っ先が一気にお腹の奥に来て、爪先立った足が浮きそうになる。結腸を突き抜けたのが分かる衝撃に、涙と鼻水が溢れた。苦しくて目を閉じてしまう。

「ーー動くな、俺に熱を吐かせろ」

 手が胸を弄ろうとしたのを止めて、いつもみたいにお腹へ回した。シャルスは何故かお腹を触れて揉たがる。まるで猫の子供が母乳のための足踏みをするように触れてきて、それがすごく気持ちいいことを知っているから、僕は添えるように手を重ねる。

「ーーほう、俺の息子はテクニシャンだな」

と、背後の声に血の気が引いた。

 目を見開く。

 は?アーネスト?ここはーー潜伏先の林じゃねーか!

 ゆっくりお腹を押し入っている箇所を揉まれると、中でイく。立ってられなくてアーネストにもたれかかり、声が出そうになってアーネストの首を掴んで唇で塞がせた。

「ゔ、ゔ~~っ!」

 軽く揺らされて臍の下がじわじわと熱くなる。出された。頼むからこれ以上刺激するな、またーー

「おっと、これを忘れていた」

 アーネストは僕の前を二、三度扱くとあっさり精を出させ、それをべろりと舐めた。

「ーーよし、マナの充填完了だ。奥に出したからしばらく漏れてこないぜ。ケツをしまうぞ、ノリン」

 アーネストはゆっくりと僕から離れると服の袖で狭間を拭い、下着とキュロットを引き上げた。

「最近、マナ不足で困っていたが、このやり方はいいな。ノリン、お前のマナをもらうとするか。シャルスの部屋の横を貰ったんだったな。たびたび邪魔させてもらう」

「何言ってんだ、お前!僕はその息子の婚約者だぞ!隣の部屋でなんて!」

 うっかり素で喋っていたが、もう取り繕う気もなくなっていた。

「どうせ、従者が結界陣を張るだろう?バレても上等じゃないか。うっかり孕んでも出どころは王族。あいつなら誰の子でも可愛がるさ。ーーどーせ、同じような顔が出てくるだろうしなあ……」

 最後の方は苦笑したような言葉になり、僕は謎過ぎて首を捻る。

 マナ充填って、相手からマナを得る譲渡の陣なんてなかったはずだ。あれば師匠がとっくに使っている。師匠はマナもオドも少ない小人で、伴侶から供給を受けていると聞いていた。指輪とあと、なんだっけーー

「ノリン、優しくしてやったんだから、動けるはずだ」

 ハッとして考えを中断する。

「おまっ……なんでこんなところで!」

 お腹の中はそんなに違和感がない。ただじわりと熱いだけだった。

「久々の出動で滾ったからだ。ーーグレゴリーの動きが分かるか?」

 僕は悪態をつきながらシーカーを意識する。片方のシーカーは屋敷の上空に待機させているから、グレゴリーとセネカの様子がすぐに知れた。人の集まり具合を確認して、セネカが爆裂陣を組み立てている。

「あれ?なんで複数陣を組むんだ?」

「玄関な、木の扉に見えるが、鉄を一枚挟んでいる」

 マジか!

「裏手の使用人通用口は木の一枚でザルだがな」

 セネカには悪いことしたなあ。ま、あいつも王族、しかも破壊系の陣が得意ときたもんだ。

「ようし、マナも漲ったし、合わせるぞ!」

 って、僕が爆裂陣を展開するんじゃなかったのーー?

 アーネストは両手を広げた。
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