国王親子に迫られているんだが

クリム

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九章 毒を狩る者、求める者

61 平民と貴族

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「子供たちにも辛い思いをさせたが、ノリンのおかげとアッシュの努力で私の実家への立ち入り禁止令も解かれ復縁を果たし、エルサの親族とも和解をすることが出来た。だから私の実家に預けていた使用人も戻ってきたんだよ」

 そういえば父様の実家ってどこだろうと思い聞いてみた。

「父様の実家って?」

「シュトラウス商会だよ」

 ……シュトラウスって、王室御用達だよな。ロータスの香りのアメニティを含むリネンやタオル食器は全てシュトラウスマークだった。

「ーー父様って大商会の出だったんですね」

「ははは、弟がシュトラウス商会を継いだがね。貴族の跡取り令嬢が伴侶に平民を得る。しかもエルサの祖母は公爵の血筋だから、それを前王は是としなくて、ツェッペリン家は伯爵から男爵に降格したんだよ。エルサの祖母も母も婚姻を結んだ直後、病気で亡くなり、祖父も父も先の戦いで戦死して、エルサは身寄りが無くなったに等しいのに。私の実家はロイヤルワラントを外されたが、メリッサ王妃の実家の御用伺いだったから有難いことに復権していたよ」

 ああ、平民を伴侶にした貴族への見せしめか。オーガスタ時代も平民のしかも孤児出身のために、アーネストと並んでいたら露骨に嫌な顔をする貴族もいたな。ってなると、母様の家族のその病気も戦死も怪しいもんだ。

 父様と母様は誰にも助けてもらえず、しかもグラミーに搾取され続けながら二人は、必死でツェッペリン家と魔の森の管理をし続けたんだろう。頭が下がるよ。

 だから長い年月王宮に招かれなかったツェッペリン家が登城し、シャルスの誕生日に招かれ、王の言葉を賜るのには意味がある。最南魔の森管理貴族ツェッペリン家が伯爵家として復権を果たす段取りらしいが、アーネストよ、お前大役だけど大丈夫か?

「旦那様、おめでとうございます。坊ちゃんは今後殿下の婚約者として、離宮の留学生殿下の接待など多くの役目を果たされます。今まで私が家令スチュアート執事バトラーを兼ねておりましたが、屋敷馴染みのエリックさんに家令の座をお返し、私と妹のレーンを坊ちゃん専用の従者バレットバトラー・メイドとして下さいますようお願い申し上げます」

 アズールがいつものように丁寧に頭を下げた。父様は母様と顔を見合わせた後、

「いつも欲のない君たちだが、私は君たちに感謝しているんだよ」

と告げる。

「私の幼馴染みで商会から一緒に来たエリックをスチュアートにするのは嬉しいが、それで構わないのかい?」

「はい。ただ、今まで以上に坊ちゃんの近くにいたいので、坊ちゃんの部屋の横の納戸を私どもの部屋に下さいまし」

 レーンが深々と頭を下げた。僕の部屋の隣には確かにガラクタ置き場みたいな小さな部屋がある。ベッドを一台置けるかなくらいの小さな部屋だ。あっさりそう決まると、夕食前に引っ越しが決まり、僕は二人の部屋になるはずの部屋の中を見て驚いた。

「お前たち、バスタブで寝るの?」

 シャワー水栓付き猫足バスタブが置いてあったからだ。

 そして一階に戻るとさらに驚いた。家庭魔道具っていうのだろうかなーー

「うわあ……」

師匠の魔法学舎の台所でしか見たことのないものが、ツェッペリン家に所狭しと並んでいた。

「メーテル商会の方がお祝いにと運んでくださいました」

と長いスカートのクラシカルなメイド服のリタが教えてくれた。メーテル商会ってセネカが隠れ蓑にしている名前だよな。ここ、魔法掃除具や魔法洗濯器まであるじゃないか?ええと、セネカはなんで言ったっけ

「オール魔道具……?」

「はい。マナの弱い者にも補助具があれば扱えますし、魔石燃料の定期的な取り替えで常に快適に使うことが出来ます」

 平民であるリタが手首にしているのは魔石をはめ込んだブレスレットで、レーンがお皿を並べたりしていて、どうやらリタがメイド長ってことで落ち着いたらしい。僕ら家族が先に食べて、下げ渡されたものを使用人で分け合う。アズールとレーンは淫魔だから食べないんだけれど、どう誤魔化すのかな。

 浴室は一階にあるんだけど、レーンが王室御用達のロータスの香りをシャルスから得たから僕だけ二階の浴室を使うことになったんだけどーー

散湯シャワーの使い方、お、おかしくない?ーーや、あ、あああっ!」

 猫足のバスタブの中で裸で三人。レーンが僕の裏筋にシャワーを当てて来て僕は、背後からアズールの指を感じながら、イきそうになってはシャワーを当てられる箇所をずらされて悶えていた。

「乳首もぷっくりですね」

 レーンとアズールの細い尻尾が巻きついて引っ張りあげる乳首が嫌に赤くてズキズキする。それとシャワーの刺激でおかしくなる。

「イ、くっ……イけなっ……なんで、なんでずらすのっ!」

 イかせてもらえたのはシャワーを止めて、前後から二人同時に受け入れた瞬間だった。イきすぎて意識が飛んで気がついた時には、座ったアズールの上で揺らされていた。その眼差しが親友の若い頃によく似ていて、心臓がはねてそれで腹に力が入ってしまった。

「い、いつもより深ぁぁい……っ」

 目の奥がチカチカして僕はアズールにしがみつき、背後からレーンが乳首を摘んでは転がしてきた。

「そうですか?」

「マスターの結腸、開き癖がついてるんですよ。だめですからね、お子様を望んでは。すぐに孕んじゃいますよ」

 そうレーンに言われた。でもすごく奥が気持ちよくて、アズールに体液を出されてからもずっと気持ちよくて痙攣している僕に、アズールは腰に腕を回して抱きしめてくれる。

「寂しかったです、マスター」

 耳、ダメだって、噛むの禁止。

「アズール、次、僕だからね。出て行かないなら、僕、もう入っちゃうよ」

 背後から尻たぶを開いて隙間をこじ開けるように入ってくるレーンの顔を見て、レーンが親友の息子の小さな頃の顔に似ているのに気づいた。

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