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「あら、いけないいけない。気を付けないとね」

そう言いながら要ちゃんに塩の入った入れ物を渡すとニッコリ笑った。

「……このおっさんに嫌な事されそうになったらこれ投げつけなさいね」

「うん、わかったさくさく」

「即答で受け取らないでぇぇぇーーーーー!」

号泣しながら要ちゃんに突撃かましたおっさんは、見事無表情のままの要ちゃんに塩を顔面に投げつけられて悶絶した。要ちゃんナイスよ。


「……オッサン、帰ってお菓子のやけ食いしちゃうもんねーだ(泣)」

おっさんはフラフラと家の方へ帰って行ったので要ちゃんの頭を撫でていると彼女は服の裾を引っ張った。じっとおっさんが行った方向を見続けたままこう言った。

「さくさくの言ってたあの人、幽霊ではないね。ああいった、何か分からないようなのは恐くて危険な存在が多い筈なんだけど……」

あれだけはっきり見える存在は妖怪とかそういった類いだったとしてもかなり強い存在の筈……と続けた要ちゃん。そういった存在は好戦的なのが多いが、おっさんのように全くの人畜無害、強いていうなら人の頭の上でお尻をボリボリ掻く迷惑極まりないというだけの存在に、要ちゃんは不思議そうにしながら何かを考えているような顔をしていた。

「……さくさく、一応、知り合いにそういったことに詳しい人を知ってるから相談してみるね」

要ちゃんからのありがたい申し出に感謝の言葉を伝えた。……あ、そうだ!

「あら、ついでに塩以外の撃退方法が解ればいいのだけど……聞いてもらえる?(黒笑)」

黒いモノを放出中の私のことを要ちゃんは撫でながらこくんと頷いた。
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