3 / 16
3
しおりを挟む
家に帰ると、やはりあのおっさんが今度は部屋の隅でのの字かいて拗ねていた。
…くそめんどくせー。
思わず男の方が出ても悪くないはずだ。
「そこの珍種のおっさん、いつまでも拗ねてる気よ。」
「…………(つーん)」
ぶちっ。
取り敢えず塩投げてみる。
痛っ!
…あ、効いちゃった(汗)
「なにするんだよお~。おっさん繊細なんだぞお。」
…繊細に見えない。ただの珍種に見えるわよ。
「珍種って酷くないかそれえっ!おっさんただの翅の生えたおっさんだからああっ!」
…それ種族名?
「そうそう。“ただの翅の生えたおっさん”までが種族名。」
…まじすか。
「ちなみに何でお母さんには見えないの?」
「わからん」
がくっ。
「他の人に見える見えないの基準も不明!」
そうなのね。なんか今日は疲れたわ。
お母さんに買ってきたケーキを冷蔵庫に入れておかないとね。そしたら部屋に戻って少し休みたいわ、………はぁ。
ため息をつくと冷蔵庫にケーキを入れてお母さん宛てにメッセージを書く。
お母さんへ
冷蔵庫の中のケーキ食べてね。
書き終えるとセロハンテープで冷蔵庫に貼りつけるとおっさんにビシッと指先を向ける。
「そこの珍種なおっさん………。」
「だからぁ~せめて珍種はやめてくれよぉ~!」
「だまらっしゃい!………冷蔵庫のケーキ、絶対食べるんじゃないわよ。食べたら容赦しないわ。」
ドスの効いた声でそう言いつつ右手塩を投げる準備をしているとおっさんは慌ててわかった、わかったと頭をブンブン振って頷いていた。その顔は少しだけ残念そうに見えた。何て言えばいいのか。………あ、そうだ!好物を没収された飼い犬!
………しょうがないわね。
私はおっさんに向けてカバンの中からあのカフェで買っておいたクッキーを取り出し投げつけた。
「!おっとっと!」
私が投げたお菓子をなんとか受け止めたおっさんは中身がクッキーだと分かると目をキラキラさせてこちらを見た。何度もクッキーとこちらを交互に見ているおっさんの考えていることなんてすぐにわかったわ。
…………これ、おっさん食べていいの?本当に?
って顔してヨダレ垂らしているのだもの。私はため息をつくと手で食べろと合図してそのまま自分の部屋に入ることにした。
「久しぶりのクッキーだぁ~!」
クッキーごときで大喜びしているおっさんが視界に入り少しだけ、ほんの少しだけよ?嬉しくなっちゃった。男なんてみんな屑だと思っているのによ?
………なんとも複雑な気分ね。
…くそめんどくせー。
思わず男の方が出ても悪くないはずだ。
「そこの珍種のおっさん、いつまでも拗ねてる気よ。」
「…………(つーん)」
ぶちっ。
取り敢えず塩投げてみる。
痛っ!
…あ、効いちゃった(汗)
「なにするんだよお~。おっさん繊細なんだぞお。」
…繊細に見えない。ただの珍種に見えるわよ。
「珍種って酷くないかそれえっ!おっさんただの翅の生えたおっさんだからああっ!」
…それ種族名?
「そうそう。“ただの翅の生えたおっさん”までが種族名。」
…まじすか。
「ちなみに何でお母さんには見えないの?」
「わからん」
がくっ。
「他の人に見える見えないの基準も不明!」
そうなのね。なんか今日は疲れたわ。
お母さんに買ってきたケーキを冷蔵庫に入れておかないとね。そしたら部屋に戻って少し休みたいわ、………はぁ。
ため息をつくと冷蔵庫にケーキを入れてお母さん宛てにメッセージを書く。
お母さんへ
冷蔵庫の中のケーキ食べてね。
書き終えるとセロハンテープで冷蔵庫に貼りつけるとおっさんにビシッと指先を向ける。
「そこの珍種なおっさん………。」
「だからぁ~せめて珍種はやめてくれよぉ~!」
「だまらっしゃい!………冷蔵庫のケーキ、絶対食べるんじゃないわよ。食べたら容赦しないわ。」
ドスの効いた声でそう言いつつ右手塩を投げる準備をしているとおっさんは慌ててわかった、わかったと頭をブンブン振って頷いていた。その顔は少しだけ残念そうに見えた。何て言えばいいのか。………あ、そうだ!好物を没収された飼い犬!
………しょうがないわね。
私はおっさんに向けてカバンの中からあのカフェで買っておいたクッキーを取り出し投げつけた。
「!おっとっと!」
私が投げたお菓子をなんとか受け止めたおっさんは中身がクッキーだと分かると目をキラキラさせてこちらを見た。何度もクッキーとこちらを交互に見ているおっさんの考えていることなんてすぐにわかったわ。
…………これ、おっさん食べていいの?本当に?
って顔してヨダレ垂らしているのだもの。私はため息をつくと手で食べろと合図してそのまま自分の部屋に入ることにした。
「久しぶりのクッキーだぁ~!」
クッキーごときで大喜びしているおっさんが視界に入り少しだけ、ほんの少しだけよ?嬉しくなっちゃった。男なんてみんな屑だと思っているのによ?
………なんとも複雑な気分ね。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お姉様といっしょ
菫川ヒイロ
ライト文芸
ここは、長い歴史のある由緒正しき学園
名のある家のご息女も通っている乙女の園
幼稚舎から大学までのエスカレーター式で
ここで教育を受ければ、素晴らしき淑女の完成だ。
その教育の中には姉妹制度が導入されており
二人は姉妹になった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
いろいろな作家の文体で書く
中七七三
ライト文芸
いろいろな、良く知られた物語や、なんかを有名な作家の文体で書くというもの。
文体模写という文芸のいちジャンルである「パスティーシュ」に挑戦してみました。
名手としては清水義範先生が有名ですね。
声劇台本置き場
栄花れむ
ライト文芸
皆様初めまして。栄花れむ(さかはなれむ)と申します。
私が書いた声劇台本が投稿されている場所です。
~利用規約~
基本は利用許可はいりません。しかし、動画・音声作品投稿サイトで本台本を利用する場合は作者名と作品URLの表記をお願いいたします。
それでは皆様楽しい劇狂いライフを!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる