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「にゃあ(わかった)。」

“………あ、もちろんその助ける相手に人間も含まれているからな。”

「にゃあ(それって)。」

“…………まずはその兵士の呪いを解いてあげればいい。”

「にゃ(あ)。」

忘れてたぜ(汗)。

浮かんでいるそのアイテムを受けとる…………というより咥えるっていうかな………まあ慌てて兵士の側に近寄って咥えたまま前足を兵士に乗せた。

パアァァァァァァァァァァァァァァーーーー!

そのアイテムが光ると兵士達は身動きすらしなかったのに今度は地面に倒れて目を閉じて寝息をたてはじめた。

「にゃあ(これで大丈夫だな)。」
寒くないし、凍え死ぬことはないはずだし、逆に、暑すぎて死ぬほどでもない。
あとは彼らが責められないように所々誤魔化しつつ王様に伝えるだけだな。あ、もちろんいりこの人とオリガを助けてからだけどな。

さて、いりこの人の所に帰るぞ!

“………あ、待て!”

「にゃあ(ん)?」

“精霊達に伝えておけ。古の守りし者の地は解放された……とな。”

「にゃあ(わかったぜ)!」

それならやっぱり先に伝えた方がいいよな。先に暗い森に寄ろうか!

“………いや後でいいぞ。その前に屋敷に戻った方がいい。”

「にゃあ(え)?」

“あの屋敷に赤黒いもやが出ている部屋があるはずだ。恐らくそこにも何かに紛れて闇の一族の命の石が紛れているはずだ。王城の封印されている場所には何も感じられないから恐らくないはずだ。”

「にゃあ(どうしてトラバス家の屋敷に闇の一族の命の石があるんだ)?」

“恐らくは元々王城にあった物が増えて置けなくなった呪具の移動の際に紛れ込んだのだろう。………もしかしたら別の理由もあるかもしれないがな。”

「にゃあ(え)?」

“急げ。またそのうち声をかけよう。”

そう言い残してまた、声が聞こえなくなった。

しばらく、私は先程の言葉の意味を考えていたが彼が急げって言っていたのを思いだして慌てて大きさを変えて屋敷に向かって走り始めた。

だだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!

風になるかの如く素早い動きで移動しながらときどき、障害物を避ける。

だだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!

屋敷に着くのはそれほど時間はかからなかった。

遺跡を破壊して安心していたのだが、屋敷の状態はむしろ悪化していた。

「にゃあ(これは酷い)。」

屋敷全体から赤黒いもやが放出されており、中にいるはずの人のことが心配だ。

急がなくちゃいけないぜ!

ぽんっ!

大きさを普通のにゃんこサイズに戻すと慌てて屋敷の玄関まで走り出した。

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