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この腕輪はある程度近付いたら自動的に収納してくれるみたいなので、時々後ろを確認しながら歩いていく。歩けば歩くほど、後ろの明かりが消えるほど腕輪が重く感じられた。

………………………………………これが命の重みなのだろうか。

数多いる古き時代の犠牲者達。

永きに渡り愛する者達から引き離された。

永きに渡り利用され、そして一人また一人と消えていく。


…………………なんと悲しいことか。


そんな彼らをこの地に本来祭られているはずの者は必死に守ろうとしていたのかもしれない。

そして闇の一族や人間からの残酷悲惨な行いに怒りどころか憎しみすら覚えていてもしかたないだろう。

「にゃうぅぅぅ…………………………(ごめんな)。」

絶対、何とかして見せるから。

いりこの人とオリガを助けたいからっていうのも本当だけど、古の一族を含めた異種族を助けたいっていう気持ちは本物だ。

とととととととととととととととととととととととと。

廊下を歩き続けながら見落としがないように周りを注意深く観察していた私はふと足を止めた。

「にゃにゃ?」

足を止めたのは廊下の端が見えたからではない。

私の視線の先には一つの大きな扉があった。色とりどりの石が嵌め込まれた美しい扉だった。深紅のような赤、新緑のような緑、海のような碧、ただ並べられて嵌め込まれているのではないだろう。一定の法則のようなものがあるようだが、そういったことには詳しくない私には全くといっていいほど理解できなかった。

……………扉の美しさは理解できるがな。うん。

だが私は何故か近付こうと思えなかった。

……………………………………何か胸騒ぎかする。

私は冷や汗が流れた。

扉自体はおそらく何らかの細工を、することで開くことは予想できる。だがその細工とやらは何かはわからない。私はこれまでの遺跡でのことを思い浮かべた。何らかの不思議な助力のようなものを受けて思っていたよりはすんなりと通れてしまった道のり。

この遺跡に使われている数多くの石が本当に命の石だとしたら、それを助けようとする者がいてもおかしくないことくらい闇の一族は予想できるはずだ。なのにこんなに簡単に侵入できていること自体正直おかしな話である。


…………………この扉、もしかしたら命の石を使うことで開く扉なのではないだろうか……………。


それならかなり不味い。しかし、この扉の向こうに入らなければならないと直感が訴えかけている。

……………どうしたものか。
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