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『……………ワシらはソレを穢れの主と呼んでおる。とても恐ろしい存在じゃのう。』

「にゃあ(魔王じゃなくて)?」

『………魔王と穢れの主は別物じゃのう。』

大地の精霊はため息をついていた。もちろん風の精霊も額に手を当ててやっぱりかといった顔をしていた。

「にゃあ(どうしたんだ)?」

『………魔王や魔族といった存在は、世界そのものを司る存在により穢れを閉じ込めておき、世界のバランスを保つのが役割と定められた存在なのじゃ。』

「にゃあ………(じゃあ私達の本とかに書いてある魔王ってもしかして)。」

精霊達はため息をついた。

『………………………あれは穢れの主のことじゃのう。』

『………人間に魔王と穢れの主の区別が難しかっただけじゃな。まあ、無理もないのじゃ。』

『『穢れの主が実体化したら魔王とそっくりすぎて双子のようじゃ(からのう)』』

……………なるほどな(汗)

『………とはいってものう。』

『穢れの主が出てきたのはかなり昔のことじゃ。世界そのものを司る存在や精霊の王や上級精霊以外でとなると、おそらくは古の一族の初代くらいのはずじゃ……知っているといえば。』

『魔王とて滅多にこちらに現れる存在ではないのじゃからのう。』

『穢れの主と魔王がそっくりという話自体知っているとなると……。』

「にゃあ(つまり数億するような高価な骨董品レベルで珍しい話だから普通は知らないはずなのか)。」

『そうじゃのう。』

『むしろ魔王が悪いことして退治されたって話が伝わっているのも不思議なくらいなのじゃ。』

『あのとき、一度人間は滅びているからのう。古の一族の初代は魔王の加護を受けていたからかろうじて無事じゃったがのう。』

………つまり、それだけ恐ろしい存在ってことなのか…。

『そなたの婚約者やゴリラだったかえ?』

『いやオナラじゃなかったかのう』

「…………にゃあ(オリガだぜ)」

…………………………。

何でオリガがゴリラやオナラになったんだ(汗)

二人ともあれ?そうだっけ?って顔してるぜ。

『人間の名前覚えるのめんどくさいのじゃ。』

『何千何万と生きる我らに記憶しておけという方が無理なのじゃのう。』

………まあ、確かにそれは覚えられないかもな(汗)。

『人間を助けたいのじゃろう?』

『………そして、古の一族やその他種族すらも助けたいと言うのなら、魔王と契約するのが一番手っ取り早いと思うえ。』

『………人間には少し無理そうじゃがのう。』

そうか…………………………。

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