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『……………まさかとは思うのだが………。』

「にゃあ(そのまさかだぜ)」

ヤリーロ王国の王は自分の国に王を任せられる器の者がいないことに落胆した。しかし、他国にはいたのだ。任せられる器の者がな………。

だが、それには大きな問題もあった。
その人物はよりによってモリガ王国の第二王子様。

彼を後継者にと望めば、いかにモリガ王国の王がよき王であっても、その後継者は自分が後継にと望んだ彼の兄。そして彼の兄はいい噂を聞かず、欲に忠実な人として知られていた。モリガ王国の王も本当に継がせていいのか悩むほどだった。
だが、モリガ王国は代々最初に生まれた男児が継ぐのが常であった。その状態でモリガ王国が第二王子をヤリーロ王国に養子に出すわけがなかった。



第二王子はモリガ王国の頼みの綱だったのだから………。



モリガ王国の後継たる皇太子殿下を止められるのは王以外にはいない。だがそれでも諌めることができるのは第二王子だけだった。万が一、王が亡くなった場合の皇太子殿下のストッパー役………。

下手な話が第二王子がいない状態で王が亡くなった場合、あの皇太子殿下のことである。当時、軍事力が優れていたモリガ王国の軍事力を使い、ヤリーロ王国に侵攻し属国としかねなかった。第二王子を王にするわけにはいかずとも、モリガ王国にいてもらうことは必要なことだった。

『………だが結局、モリガ王国はヤリーロ王国へ攻撃を仕掛けてきた……と。』

『王も第二王子も止められなかったということか…………。』

「にゃあ。にゃ。(王が病気で倒れたんだ。そしてそれを皇太子殿下は好機と見たんだ)」

第二王子の監視もすり抜けてヤリーロ王国へ攻撃したんだ。戦いが始まったとき、王はもう意識がなかったらしい。

『なんと言うことだ…』

私はため息をついた。………なんで私の実家にこんなことが書いてある書物が残ってんだよって話である…………。

「にゃあ(あまり長々と話してもいけないから簡単に話すけどな)」

つまりこういうことである。

モリガ王国の王が病気で倒れた。
     ↓
第二王子の監視もすり抜けてモリガ王国の皇太子がヤリーロ王国へ戦をしかけた。
     ↓
第二王子はヤリーロ王国へ慌てて向かうことにした。

『ん?』

『第二王子がヤリーロ王国へ向かった?』

「にゃあ(そう)」

第二王子はとっさに思ったみたいだ。もともとヤリーロ王国の王から“養子に来ないか?そしてこの国の王となる気はないか”って他国を呼ぶような大がかりなパーティーとかでそれとなく打診があった。
被害を最小限にするためにヤリーロの王に協力を求めよう………てな。
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