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『………忘れられてたのか』

「にゃう(そうそう)。」

『だがそのあとどうして爵位を貰うことになったんだ?』

『ガイア王国建国の際、土地を貰うということはガイア王国の爵位ももらったのだろう?』

「にゃあ……(それがな)」

引きこもり体質が幸いしたのか、はたまた特に特産というか見所、目立つところもなかった私達の一族の領地は見事に他の国にも忘れ去られていた。
引きこもり体質をよく理解していた………というよりはむしろ国からもう諦められていたため、年に一度人を国から寄越して税金代わりの長期保存向けの食べ物献上………という流れになっていた。それ故、人が訪ねてくるのもその年に一度の日だけ。情報を得るのも年に一度。

『当時の国からよく爵位どころか領地取られなかったな。』

「にゃあ(そうなればまあ別のところに引きこもればいいやって思ってるの当時の国王にバレてたらしい)」

『……………。』

「にゃあ(人畜無害だしそのままで…となったんだぜ)」

『なんというか………。』

その場がなんとも複雑な雰囲気というか……まぁそのまま話を続けるとするか。

「にゃあ(それでな)」

私達の一族どころか領民すら、他国からの侵略に全くといっていいほど気付かなかった私達は結局、終戦近くまで知ることはなかった。戦時中だと知ったのは偶然、他国の………というか今のガイア王国の北にあった、今はないモリガ王国の第二王子が怪我して迷いこんできて助けたらしい。

そのモリガ王子の第二王子というのは私達の一族がいたヤリーロ王国への進軍の指揮をしていた人だった。どうやら戦いに勝ったや否や自分の兄の部下らしきひとから暗殺されかけたらしい。

知らず助けてしまった私達の一族は、知ったあともいつものごとく、引きこもれて美味しいもの食べれたらそれでいいや精神でそのまま第二王子を保護したままにしていたからか、建国の際にヤリーロ王国では子爵だったからか、子爵の位を賜り、土地ももらった。

『なるほど。』

「にゃあ(他の国からも引きこもり食べること好き変人扱いの存在感薄の領主という認識はされていた)」

ガイア王国国王となる人を助けたこともあわさり、文句がでなかったことは喜ぶべきか、むしろ変人扱いを嘆くべきなのか………。

自分の国への侵略に気付かなかった愚か者扱いされているわけではなかったことを喜ぶべきか。

なんていうか、まあ、気付かなくてもしょうがないよなって雰囲気だったようだ。他の国からも知っている人は知っていたらしいからな。引きこもることと食べることにしか興味ない、権力どうでもいいって思ってたのは………。
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